2026.10.07
伊藤氏
大阪府薬剤師会は6日、同会館で定例記者会見を開催し、伊藤憲一郎会長が処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売」を巡る東京地裁の訴訟判決について言及した。
まず、「処方箋なしの医療用医薬品の販売は“医行為”に該当し、国の通知や規制は過剰ではない。原則、処方箋に基づくべき」とした東京地裁の判決に対し、「司法の判断は尊重したい」と明言。
その上で、「制度の建前と地域で生じている現実のニーズの間で少なからず乖離があることを強く感じている。とりわけOTC類似薬の保険給付除外が進む中、患者さんの自己負担や自己判断の増大が懸念される」と指摘した。
さらに、「こうした不安を取り除くには、医療用医薬品と一般用医薬品の中間に位置し、薬剤師の専門的な対面評価を前提とした新たな医薬品区分の創設を検討する必要がある」と訴えかけた。
会見では、羽尻昌功副会長が大阪府内の地域フォーミュラリへの取り組みの現状にも触れ、「現在、大阪府の北部、南部の地域薬剤師会がモデル地域として手挙げしている。これからの地域での横展開も含めて実施する地域を選定していく」と報告した。
東京地裁は9月18日、零売を巡り薬局側が「零売の規制は違憲・違法である」として国を訴えた訴訟において原告側の請求を退けた。
その主な理由として、「患者の病状に合わせて薬を選ぶ行為は、高度な医学的知識・技能を要する“医行為”に当たる」、「医療用医薬品の選択では、患者の症状を踏まえた専門的な判断が不可欠であり、原則として処方箋に基づくべきである」などを挙げ、「国の通知や規制は過剰ではない」と結論付けた。
原告は長沢薬品(東京)など3社で、判決を不当として控訴する方針を示している。一方、提訴後の法改正で、「全ての医療用医薬品は処方箋に基づく販売が原則である」との考えがより明確化されており、改正法は2027年5月に施行される予定だ。
この判決に対し伊藤氏は、「医療用医薬品の販売は、原則として処方箋に基づくべきであるとの従来の制度と建前が改めて確認された。司法の判断は尊重したい」との認識を示した。
その一方で、「制度の建前と地域で生じている現実のニーズにおいて、少なからず乖離が生じているのを薬剤再業務の中で強く感じている」と断言。その上で、「とりわけ、OTC類似薬の保険給付除外が進む中、患者さんの自己負担や自己判断の増大が懸念される」と指摘し、「一般用医薬品だけでは十分に対応できない症状や状況において、薬剤師が対面で状態を評価し、必要量や成分を適切に選択できる仕組みを整えることは、国民の安全性と利便性の両立に不可欠である」と訴えかけた。
伊藤氏は、その具体的な施策にも言及し、「医療用医薬品と一般用医薬品の中間に位置し、薬剤師の専門的な対面評価を前提とした新たな医薬品区分の創設について制度的な検討を進める必要がある」と強調。さらに、「これは医療の質を損なうことではなく、国民の不安や不便を軽減するための現実的な選択肢であり、地域医療の持続性に資するものである」と説明した。
大阪府薬では、今後、「国民の健康を守る最後の砦として、行政、医師会、関係団体と丁寧に会話を重ね、現場の実態に合った制度の在り方を模索していく」考えを示した。
大阪府内の地域フォーミュラリの取り組みは、2018年~21年度に八尾市、2022年~23年度に天王寺区、高槻市、2024年度に堺市、守口市をモデル地域に実施された。
2026年度については、現在、大阪府の北部、南部の地域薬剤師会が手挙げしており、これからの地域での横展開も含めて実施するモデル地域(2地域)を選定していく。


医薬通信社