9月上旬、宇城市・松橋西防災拠点センターの避難所
7月28日に発生した熊本地震。38人の死者(災害関連死2人)が出る甚大な被害となった。長期にわたる避難生活を強いられ、今なお避難所で過ごす人も多い。避難所については、生活環境として「TKB(トイレ、キッチン、ベッド)」という概念が近年指摘されてきた。今回の地震では、TKBは改善されたのだろうか。そして、今後の課題は。現地を取材するとともに、有識者に尋ねた。(文・写真:ジャーナリスト・小川匡則/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
3週間ほど続いた雑魚寝
7月28日午後4時27分、熊本県で発生した地震はマグニチュード7.1を記録。宇城市では震度7の大きな揺れが襲った。
同市に住む本郷妙子さん(86)は、出先から自宅に戻った直後のことだったと振り返る。
「いすに座ってテレビを見ていたら、『ドン!』という衝撃の後、激しい横揺れが続きました。すごく揺れて、とても長く感じました」
この地震により県内で38人の死者、367人の負傷者が出た。住宅の被害も、全壊2249棟、半壊5535棟、一部破損は3万6460棟と甚大だった。
熊本では10年前の2016年4月に2度にわたる大きな地震が発生している。本郷さんの自宅は10年前の地震で半壊した。その年のうちに建て替えた自宅の建物自体は無事だったが、今回の地震ではタンスなどの家具が倒れ、テレビや電子レンジなどの家電も倒れるなど物が散乱。足の踏み場を確保するのがやっとという状態だった。
10年前に甚大な被害を受けた熊本県・益城町復興まちづくりセンターには当時の記録が残されている
「10年前は避難所に行くのが遅れて入れず、車中泊を続けました。大きな地震の2日後に本震がありましたし、雷が来たときなどもとても怖かった。今回、それを思い出すと自宅にいるわけにもいかず、避難所に来ました」
ところが、本郷さんが滞在していた松橋(まつばせ)西防災拠点センターでは、3週間ほど雑魚寝生活が続いた。
「震災当日は床に適当なものを敷いてその上に寝ました。数日すると、マットみたいなのが使えるようになりました。段ボールベッドが入ったのは8月の中旬くらいでした」
