神奈川の連休明け週末、10/18(日)のビジネスホテルは推定OCC65.6% — 初日との差30.2ptが残る業態と、16.5ptまで縮むリゾート

神奈川県のホテルについて、10月三連休の初日10/10(土)と、その翌週末にあたる10/17(土)・10/18(日)の予約進捗を10月3日時点で照合すると、ビジネスホテルの10/18は宿泊日16日前の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)が65.6%にとどまり、同じ16日前の10/10(95.8%)との差は30.2ptに達していた。一方でリゾートホテルは、45日前に31.7ptあった差を16日前には16.5ptまで縮めている。同じ「連休明けの谷」でも、差が残り続ける業態と自然に縮まる業態があるわけだ。本稿では45日前・30日前・16日前の3定点と10月2日の最新観測を使ってこの違いを読み解き、谷の一日に向けた在庫の開け方、連泊・延泊の誘導、平日型客層の取り込みを整理する。

対象: 神奈川県のビジネスホテル N=119施設(16,356室)、シティホテル N=26施設(5,112室)、リゾートホテル N=35施設(4,568室)、参考として旅館 N=160〜161施設(4,010〜4,017室)。いずれも主要予約サイト掲載ベース。稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値で、定義は記事末尾に記した。本記事は予約進捗のみを扱い、価格指標は掲載していない。データ時点: 2026年10月3日(最新観測日は10月2日)。

Key Takeaways

— 30.2pt — 16日前(2026年10月2日観測)でそろえた10/10(土)と10/18(日)の差はビジネスホテルで30.2pt。45日前の31.9ptからほとんど縮まっていない。
— 31.7pt→16.5pt — リゾートホテルは10/18が29日間で+20.7ptを積み、差が半分近くまで縮んだ。シティは16.4pt、旅館は7.4ptで、谷の深さは業態で4倍違う。
— 65.6% — ビジネスの10/18の16日前は9/27の通常日曜と同じ値。9月の日曜は前日までに+13.6〜+15.8ptを積んでおり、当てはめると前日の目安は79.2〜81.4%。
— 6都県で2番目 — ビジネスの差30.2ptは静岡県の34.9ptに次ぐ深さ。ただし45日前から差が縮んだのは神奈川・静岡だけで、東京・千葉・埼玉・山梨では広がった。
— 5都県で最も深い — リゾートの差16.5ptは、縮んだ後でも東京・千葉・山梨・静岡を上回る。10/12(月・祝)もビジネス72.1%・リゾート69.0%で、もう一つの谷になっている。

3定点で見る連休初日と翌週末 — ビジネスは30ptの差がそのまま残った

まずは全体像を押さえておきたい。下の表は、連休初日の10/10、連休最終夜の10/12、翌週末の10/17と10/18について、宿泊日の45日前・30日前・16日前の推定OCCを業態別に並べたものである。16日前を3つ目の定点に置いたのは、最も遠い10/18の最新観測(10月2日)がちょうど16日前にあたり、4つの宿泊日を同じ残り日数で比べられる最後の点になるためだ。10/10はすでに8日前、10/17は15日前まで観測が進んでいるので、右端にはそれぞれの最新値も併記した。

表1 10/10・10/12・10/17・10/18の推定OCC — 3定点と最新観測(神奈川県・業態別)業態宿泊日45日前30日前16日前最新観測(10/2)完売施設率(最新観測)ビジネス10/10(土・連休初日)86.0%92.7%95.8%97.9%(8日前)68.1%ビジネス10/12(月・祝)59.7%65.8%69.3%72.1%(10日前)2.5%ビジネス10/17(土)64.5%71.5%78.8%79.6%(15日前)16.8%ビジネス10/18(日)54.1%59.5%65.6%65.6%(16日前)0.8%シティ10/10(土・連休初日)85.6%94.0%96.3%97.9%(8日前)53.8%シティ10/12(月・祝)64.2%70.2%75.7%77.3%(10日前)0.0%シティ10/17(土)75.8%83.5%89.3%90.0%(15日前)7.7%シティ10/18(日)67.3%75.1%79.9%79.9%(16日前)0.0%リゾート10/10(土・連休初日)81.1%88.5%86.6%87.0%(8日前)40.0%リゾート10/12(月・祝)49.0%58.1%67.8%69.0%(10日前)2.9%リゾート10/17(土)60.9%77.9%83.9%84.2%(15日前)20.0%リゾート10/18(日)49.4%61.2%70.1%70.1%(16日前)14.3%旅館(参考)10/10(土・連休初日)82.0%87.4%91.9%93.3%(8日前)62.7%旅館(参考)10/12(月・祝)66.8%74.1%78.2%82.2%(10日前)36.0%旅館(参考)10/17(土)79.2%86.6%90.4%90.8%(15日前)47.5%旅館(参考)10/18(日)72.2%80.4%84.5%84.5%(16日前)33.8%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注: 推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。45日前の観測日は10/10が8月26日、10/12が8月28日、10/17が9月2日、10/18が9月3日。16日前は同じ順に9月24日、9月26日、10月1日、10月2日。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。10/12以降の値は宿泊日まで変動し得る。

表から最初に読み取れるのは、ビジネスホテルの差の大きさと、その動かなさである。10/10は45日前の時点で86.0%に達し、16日前には95.8%、8日前の最新観測では97.9%まで進んだ。完売施設率も45日前の47.9%から68.1%へ上がり、3施設に2施設はOTA等で掲載在庫が確認できない状態になっている。これに対して10/18は45日前54.1%、30日前59.5%、16日前65.6%と推移し、完売施設率は0.8%だった。45日前の差31.9ptが16日前に30.2ptと、ほとんど縮まっていない点に注目したい。

ただし、10/18の予約が止まっているわけではない。45日前から16日前までの上積みは10/10が+9.8pt、10/18が+11.5ptで、谷の日のほうがわずかに速く積み上がっている。つまりビジネスホテルの連休明け日曜は「出遅れている日」ではなく、「出発点が30pt低いまま同じ速さで進んでいる日」と読める。土曜の10/17は16日前78.8%で、10/10との差は17.0ptだった。翌週末の2夜のうち、谷として扱うべきは日曜の1夜に絞られる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

図1: 神奈川県ビジネスホテルのブッキングカーブ(推定OCC・OTA掲載在庫ベース)。対象119施設/客室16,356室(主要予約サイト掲載ベース)。横軸は宿泊日までの残り日数で、各線は10月2日の観測まで。

リゾートは遅れて埋まる — 45日前の差31.7ptが16日前に16.5ptへ

一方で、リゾートホテルの線はまったく違う動き方をしている。45日前の時点では10/10が81.1%、10/18が49.4%で、差は31.7ptとビジネスとほぼ同じ幅だった。ところが10/18はそこから30日前に61.2%、16日前に70.1%へと進み、29日間で+20.7ptを積んでいる。同じ期間の10/10は+5.5ptにとどまったため、差は16.5ptまで縮んだ。土曜の10/17にいたっては45日前60.9%から16日前83.9%へ+23.0pt伸び、10/10(86.6%)との差は2.7ptしか残っていない。

背景にあるのは、予約が入る時期の違いだろう。連休初日は早い段階で大半が決まるのに対し、通常の週末は宿泊日の1か月前から2週間前にかけて需要が本格化する。リゾートの10/10は24日前の92.8%をピークに16日前86.6%、8日前87.0%と、いったん消化された在庫が再び掲載される動きも見られた。完売施設率が45日前11.4%から8日前40.0%へ上がっていることと合わせると、施設ごとの埋まり方にばらつきが大きい業態といえる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

図2: 神奈川県リゾートホテルのブッキングカーブ(推定OCC・OTA掲載在庫ベース)。対象35施設/客室4,568室(主要予約サイト掲載ベース)。各線は10月2日の観測まで。

シティホテルはこの2業態の中間に位置する。10/10は16日前96.3%、10/17は89.3%、10/18は79.9%で、初日との差は土曜が7.0pt、日曜が16.4ptだった。45日前の差(日曜18.3pt)からの縮小は1.9ptと小さいものの、谷の底そのものが8割近くにあるため、埋めるべき幅はビジネスの半分程度になる。参考までに旅館を見ると、10/18は16日前84.5%、完売施設率33.8%で、初日との差は7.4ptしかない。業態によって谷の深さが4倍違うことになる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

図3: 10/10(土)と10/18(日)の推定OCCの差(pt)を、45日前と16日前で比較。対象はビジネス119施設/16,356室、シティ26施設/5,112室、リゾート35施設/4,568室、旅館160〜161施設/4,010〜4,017室(主要予約サイト掲載ベース)。

ここで見落としやすいのが、連休最終夜の10/12(月・祝)である。16日前の推定OCCはビジネス69.3%、シティ75.7%、リゾート67.8%で、シティとリゾートでは翌週の日曜10/18(79.9%・70.1%)よりも低かった。最新観測(10日前)でもビジネス72.1%、リゾート69.0%にとどまり、完売施設率は2.5%と2.9%である。10月中旬の神奈川には、連休最終夜と翌週日曜という2つの谷が1週間おきに並んでいると整理できる。隣の静岡県を同じ枠組みで見た分析は、静岡の三連休翌週末、谷が深いのはビジネスホテルにまとめている。

9月の通常日曜と重ねる — 直前16日間でどこまで積まれたか

では、16日前に65.6%という水準は、ここからどの程度動き得るのか。手がかりとして、連休にかからなかった9月の日曜3日(9/6・9/13・9/27)について、同じ16日前の値と宿泊前日の値を並べてみる。前日の値はすでに観測が終わった実績で、10/18の行は16日前までしか埋まっていない。

表2 9月の通常日曜の16日前と前日 — 10/18の16日前と照合(神奈川県)業態宿泊日16日前前日直前16日間の上積みビジネス9/6(日)67.8%81.4%+13.6ptビジネス9/13(日)63.8%79.6%+15.8ptビジネス9/27(日)65.6%79.7%+14.1ptビジネス10/18(日)65.6%—(未到来)—シティ9/6(日)74.1%80.7%+6.6ptシティ9/13(日)77.2%86.6%+9.4ptシティ9/27(日)80.2%86.2%+6.0ptシティ10/18(日)79.9%—(未到来)—リゾート9/6(日)59.6%68.2%+8.6ptリゾート9/13(日)47.8%66.6%+18.8ptリゾート9/27(日)60.1%75.0%+14.9ptリゾート10/18(日)70.1%—(未到来)—

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注: 推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。9月の対象はビジネス118〜123施設(15,921〜16,592室)、シティ28〜29施設(5,477〜6,071室)、リゾート37〜38施設(4,596〜4,633室)で、宿泊日により施設数がわずかに異なる。10/18の前日値は未到来のため空欄とした。

ビジネスホテルでは、9月の通常日曜は16日前に63.8〜67.8%の帯にあり、そこから前日までに+13.6〜+15.8ptを積んで79.6〜81.4%に届いていた。10/18の65.6%は9/27の16日前と同じ値で、連休の翌週だからといって通常の日曜より沈んでいるわけではないことがわかる。裏を返せば、日曜泊の予約は残り2週間に厚く入る性質があり、この先の売り場の状態がそのまま結果に表れやすい。10/18がこの帯をなぞるかどうかは現時点では確定していないが、照合の物差しとしては使えるだろう。

シティホテルは9月の日曜が16日前74.1〜80.2%で、10/18の79.9%はその上端に近い。直前16日間の上積みは+6.0〜+9.4ptとビジネスより小さく、早めに形が決まる業態と読める。リゾートは9月の日曜が16日前47.8〜60.1%だったのに対し、10/18は70.1%と10pt以上高い位置にある。秋の行楽期に入り、日曜泊でも9月より早く埋まり始めているといえる。なお土曜の10/17についても同じ照合ができ、ビジネスの15日前79.6%は、9月の通常土曜3日(9/5・9/12・9/26)の同時点70.1〜87.4%の範囲内に収まっていた。

10/18の前日はどこまで届くか — 9月の上積み幅を当てはめた3シナリオ

表2の上積み幅をそのまま10/18に当てはめると、前日時点の目安は表3のようになる。9月の3日曜の最小・中央値・最大をそれぞれ低位・中位・高位とした。

表3 10/18(日)宿泊の前日時点の目安 — 9月の通常日曜3日の直前16日間の上積みを当てはめた3シナリオ
業態10/18
16日前(10/2)9月日曜の上積み
16日前→前日低位
(最小)中位
(中央値)高位
(最大)
ビジネスホテル65.6%+13.6〜+15.8pt79.2%79.7%81.4%
シティホテル79.9%+6.0〜+9.4pt85.9%86.5%89.3%
リゾートホテル70.1%+8.6〜+18.8pt78.7%85.0%88.9%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注: 推定OCC(OTA掲載在庫ベース・神奈川県・2026年10月2日観測時点)。10/18の16日前の値に、9/6・9/13・9/27の16日前→前日の上積み幅(表2)の最小・中央値・最大を加えた試算で、予測値ではない。

ビジネスホテルは低位79.2%〜高位81.4%と幅が2.2ptしかなく、中位の79.7%は10/17(土)の15日前の水準(79.6%)とほぼ並ぶ。9月並みに積めば、日曜の前日の着地は「翌週土曜の2週間前」と同じ水準にとどまる計算だ。シティは85.9〜89.3%と最も高い帯に収まり、リゾートは78.7〜88.9%と10.2ptの幅がある。リゾートは9月の日曜の上積みが日によって8.6ptから18.8ptまでばらついており、直前2週間の売り場の状態で結果が大きく変わる業態といえる。

なお、この上積みには宿泊直前の販売停止も含まれる点に注意したい。推定OCCは掲載から外れた客室を消化済み側に数えるため、9月の日曜のビジネスホテルでは、16日前→前日の上積みのうち32〜40%が最後の2日間(3日前→前日)に集中していた。表3の値は、実際の客室稼働の目安としては上振れ側に読むのが妥当である。

近隣5都県と並べる — ビジネスの差が広がらなかったのは神奈川・静岡だけ、リゾートの谷は縮んでも5都県で最も深い

ここまでの「ビジネスは差が残り、リゾートは縮む」という読み方が神奈川に固有のものかを確かめるため、東京都・千葉県・埼玉県・山梨県・静岡県の同じ業態を、同じ宿泊日・同じリードタイムでそろえた(表4)。10/10と10/18の差を、45日前と16日前の2時点で比べている。

表4 近隣5都県との比較 — 10/10(土)と10/18(日)の差、45日前と16日前(業態別)
都県業態対象10/18
16日前(10/2)差
45日前差
16日前差の変化
45日前→16日前
神奈川県ビジネスホテルN=119施設/16,356室65.6%31.9pt30.2pt−1.7pt
東京都ビジネスホテルN=542施設/78,403室78.6%4.6pt7.4pt+2.8pt
千葉県ビジネスホテルN=92施設/10,965室69.7%12.0pt12.7pt+0.7pt
埼玉県ビジネスホテルN=56施設/6,089室62.1%18.2pt27.9pt+9.7pt
山梨県ビジネスホテルN=44施設/3,792室68.6%21.4pt25.1pt+3.7pt
静岡県ビジネスホテルN=123施設/13,001室60.7%35.2pt34.9pt−0.3pt
神奈川県シティホテルN=26施設※/5,112室79.9%18.3pt16.4pt−1.9pt
東京都シティホテルN=52施設/16,054室85.1%6.4pt8.2pt+1.8pt
千葉県シティホテルN=26施設※/7,907室52.4%7.0pt19.3pt+12.3pt
静岡県シティホテルN=20施設※/2,156室72.4%20.2pt23.1pt+2.9pt
神奈川県リゾートホテルN=35施設/4,568室70.1%31.7pt16.5pt−15.2pt
東京都リゾートホテルN=12施設※/1,018室83.2%11.0pt8.0pt−3.0pt
千葉県リゾートホテルN=39施設/4,319室73.7%3.2pt6.8pt+3.6pt
山梨県リゾートホテルN=32施設/1,928室83.8%3.5pt7.7pt+4.2pt
静岡県リゾートホテルN=111施設/6,378室75.3%8.1pt10.8pt+2.7pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

注: 推定OCC(OTA掲載在庫ベース・2026年10月2日観測時点)。差は10/10の値−10/18の値で、各都県とも同じ宿泊日・同じリードタイムの値どうしを比べた(45日前は10/10が8月26日、10/18が9月3日の観測。16日前は9月24日と10月2日)。対象施設数が9以下の業態(埼玉県・山梨県のシティ、埼玉県のリゾート)は掲載していない。※はN=30施設未満の参考値。東京都・千葉県のビジネスホテルは宿泊日により541〜542施設・91〜92施設のコホート。

ビジネスホテルでは、16日前の差は静岡県34.9pt、神奈川県30.2pt、埼玉県27.9pt、山梨県25.1pt、千葉県12.7pt、東京都7.4ptの順で、神奈川は6都県で2番目に深い。注目したいのは差の動き方で、45日前から16日前にかけて差が縮んだのは神奈川県(−1.7pt)と静岡県(−0.3pt)だけだった。東京都・千葉県・埼玉県・山梨県では、連休初日が先に埋まる分だけ差は逆に広がっている(埼玉県は+9.7pt)。神奈川の「差が縮まらない」は、周辺と比べればむしろ広がらずに持ちこたえている形であり、10/18の積み上げが連休初日と同じ速さで進んでいることの裏返しといえる。一方で10/18の16日前の水準そのものは、東京都78.6%、千葉県69.7%、山梨県68.6%に対して神奈川県は65.6%で、周辺より低い位置にあることに変わりはない。

リゾートホテルの比較では、神奈川の特殊さがよりはっきりする。45日前の差は千葉県3.2pt、山梨県3.5pt、静岡県8.1pt、東京都11.0pt(N=12施設の参考値)に対し、神奈川県は31.7ptと突出していた。16日前に16.5ptまで縮んだ後も、その差は5都県のなかで最も大きい。他の4都県のリゾートでは10/18がもともと連休初日に近い水準で推移しており、神奈川のリゾートの日曜は「縮んだ谷」ではあるものの「まだ最も深い谷」として扱う必要がある。シティホテルも差が縮んだのは神奈川県(18.3pt→16.4pt)だけで、千葉県は7.0ptから19.3ptへ、静岡県は20.2ptから23.1ptへ広がった。

神奈川のビジネス・シティ・リゾートホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

ここまでのデータを、自館の運営に引き寄せて読み直したい。本稿は予約進捗だけを扱っているため、以下も価格水準ではなく、在庫の見せ方と需要の導線に絞って整理する。神奈川の価格面の動きについては、神奈川県ホテルの推定成約ADR(2026年8月)で扱っている。

1. 谷は「遅れ」ではなく「水準差」として扱う。ビジネスホテルの10/18は、45日前から16日前までに+11.5ptと、連休初日(+9.8pt)を上回る速さで積まれていた。それでも差が30.2pt残るのは、出発点が低いためである。自館の予約ペースを市場と照合するときは、連休初日ではなく、9月の通常日曜(16日前63.8〜67.8%)を比較対象に置くほうが実態に合う。

2. 日曜泊は残り2週間が本番になる。9月の通常日曜では、ビジネスで+13.6〜+15.8pt、リゾートで+8.6〜+18.8ptが直前16日間に積まれていた。販売を止めている室タイプや経路があれば、この期間に開いているかどうかで受けられる需要の量が変わってくる。早い段階で形が決まる連休初日とは、点検の時期をずらして考えたい。

3. リゾートは「待てば縮む差」と「残る差」を分けて見る。土曜の10/17は16日前に初日との差が2.7ptまで縮んでおり、追加の打ち手を急ぐ局面ではない。残るのは日曜10/18の16.5ptと、連休最終夜10/12の水準(最新観測69.0%)である。連泊や延泊の案内は、この2夜に絞ると効率がよい。

4. 満室日の接点を谷の日に回す。10/10はビジネスの完売施設率が68.1%、シティが53.8%に達している。連休中は新規の販売余地が小さい代わりに、宿泊客と接する機会が最も多い。翌週末の再訪や日曜泊の延長を案内する場として活用する余地がある。

以上を時間軸に落としたのが次の表である。判断トリガーはすべて本稿で示した数値に紐づけてあり、自館の同じ宿泊日の消化状況と見比べながら使うことを想定している。いずれも検討の出発点であり、結果を約束するものではない。

表5 アクションプラン — 時期別の打ち手と判断トリガー時期打ち手判断トリガー(本稿の数値)狙い今日〜今週(10/18の14日前前後)10/18(日)の販売室タイプと販売経路を棚卸しし、止めている枠があれば開ける自館の10/18の消化が、市場の16日前65.6%(ビジネス)・79.9%(シティ)・70.1%(リゾート)を下回っているなら上積みが最も大きい直前2週間を、売り場が開いた状態で迎える今日〜今週10/17(土)の最低宿泊数や販売条件を見直し、土日連泊の受け皿をつくる10/17の市場が16日前78.8%(ビジネス)・89.3%(シティ)と、10/18より13.2pt・9.4pt高い位置にあることを踏まえて土曜に集まる需要を日曜へ1泊延ばす導線を用意する連休中(10/10〜10/12)連休の宿泊客に、翌週末や日曜泊の再訪・延泊を館内と予約確認の連絡で案内する10/10の完売施設率がビジネス68.1%・シティ53.8%と、送客できる接点が最も多い3日間であるため満室日の接点を、谷の日の需要づくりに回す連休中(10/10〜10/12)10/12(月・祝)の残り枠を、日曜からの延泊と月曜発の出張前泊の両方に見せる10/12の最新観測がビジネス72.1%・リゾート69.0%で、完売施設率は2.5%・2.9%にとどまるなら連休最終夜というもう一つの谷を、レジャーと業務の両面から埋める直前1週間(10/11〜10/17)日曜泊・月曜朝業務の出張者、研修、近隣の法人需要に向けた販売面を整えるビジネスの10/18が、9月の通常日曜の16日前(63.8〜67.8%)と同じ帯にあり、そこから前日までに+13.6〜+15.8ptが積まれていたことを目安に直前に動く平日型の客層を取りこぼさない直前3日土曜の宿泊予約者へ延泊を個別に案内し、当日に近い需要は販売条件を緩めて受ける10/18の完売施設率が0.8%(ビジネス)・0.0%(シティ)のまま推移しているなら最後に残った枠を、既存客の滞在延長で消化する

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 連休明けの谷を測る3つの物差し

ここまでを整理すると、神奈川の連休明け週末は次の3つの物差しで読める。第一に、同じ残り日数で比べること。16日前でそろえると、10/10と10/18の差はビジネス30.2pt、リゾート16.5pt、シティ16.4pt、旅館7.4ptで、業態ごとの谷の深さがはっきり分かれた。第二に、差の縮まり方を見ること。リゾートは45日前の31.7ptから半分近くまで縮んだのに対し、ビジネスは31.9ptからほぼ動いていない。前者は時間が解決する部分が大きく、後者は直前期の売り場づくりが効いてくる構造といえる。

第三に、通常日の軌道と重ねること。ビジネスの10/18は9月の通常日曜と同じ帯にあり、その日曜は前日までに+13.6〜+15.8ptを積んでいた。谷の一日は連休の反動で特別に沈んでいるのではなく、日曜という曜日の性質がそのまま表れていると考えられる。この3つの物差しは、11月以降の連休とその翌週末にもそのまま当てはめられるはずだ。ビジネスホテルの日曜の谷を曜日別に掘り下げた例としては、広島のビジネスホテルの曜日別推定OCCも参考になる。

よくある質問

Q. 神奈川県の10月三連休明けの週末は、どの業態の予約が遅れていますか?

A. 2026年10月2日観測で10/18(日)の16日前の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は、ビジネスホテル65.6%・リゾートホテル70.1%・シティホテル79.9%・旅館84.5%です。連休初日10/10との差はビジネスが30.2ptと最も大きく、旅館は7.4ptにとどまります。

Q. 10/18のビジネスホテルの65.6%は、通常の日曜と比べて低いのですか?

A. 低くはありません。連休にかからない9/27(日)の16日前も65.6%で、9月の通常日曜3日は63.8〜67.8%の帯にありました。日曜という曜日の水準がそのまま表れていると読めます。

Q. この先、10/18はどこまで埋まりそうですか?

A. 9月の通常日曜の16日前→前日の上積みを当てはめると、前日時点の目安はビジネスホテル79.2〜81.4%、シティホテル85.9〜89.3%、リゾートホテル78.7〜88.9%です。直前の販売停止も消化として数えるため、上振れ側の目安として扱ってください。

Q. 近隣の都県と比べて、神奈川の谷は深いのですか?

A. ビジネスホテルの差30.2ptは、東京都・千葉県・埼玉県・山梨県・静岡県を含む6都県で静岡県(34.9pt)に次ぐ深さです。リゾートホテルの差16.5ptは、比較できた5都県で最も大きい値です。

Q. 推定OCCは実際の客室稼働率と同じですか?

A. 同じではありません。OTAに掲載された在庫の消化状況から推定した値で、掲載外の客室や販売停止した客室を消化済み側に数えるため、実際の客室稼働率より高めに出ます。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設の固定コホートです。

データについて
表6 指標の定義と対象
推定OCCの定義OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(宿泊日ごとに、観測期間を通じて同じ施設集合。旅館のみ宿泊日により160〜161施設)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。
ブッキングカーブ宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。本稿の定点は45日前・30日前・16日前で、最新観測日は2026年10月2日(10/10の8日前、10/12の10日前、10/17の15日前、10/18の16日前)。9月の参考日は宿泊前日まで。
完売施設率OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。
価格指標本稿は予約進捗のみを対象とし、推定成約ADRなどの価格指標は掲載していない。
対象 N の内訳神奈川県。10月の宿泊日: ビジネスホテル119施設/16,356室、シティホテル26施設/5,112室、リゾートホテル35施設/4,568室、旅館160〜161施設/4,010〜4,017室。9月の参考日: ビジネス117〜123施設、シティ28〜29施設、リゾート37〜38施設。
データ時点データ時点: 2026年10月3日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

■ データソース

主要予約サイトに掲載された客室在庫の日次観測(メトロエンジンリサーチ)。推定OCC・完売施設率は神奈川県・東京都・千葉県・埼玉県・山梨県・静岡県の業態別固定コホートによる。観測日は2026年8月21日〜10月2日(9月の参考日を含む)。

■ 試算前提

表1・表4の差は同じリードタイムの表示値どうしの差。表3の前日時点の目安は、10/18の16日前の値に、9/6・9/13・9/27の16日前→前日の上積み幅(ビジネス+13.6〜+15.8pt・シティ+6.0〜+9.4pt・リゾート+8.6〜+18.8pt)の最小・中央値・最大を加えた感度で、100%を上限とした。

■ 限界・留意点

推定OCCはOTA掲載在庫ベースで、実客室稼働率とは定義が異なり、掲載外の客室や販売停止も消化として数える。9月の日曜のビジネスホテルでは上積みの32〜40%が最後の2日間に集中しており、表3は上振れ側の目安になる。対象施設数が30未満の業態(神奈川県・千葉県・静岡県のシティ、東京都のリゾート)は1施設の動きが全体に響きやすい。10/12以降の値は宿泊日まで変動する。

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