
ホテルバンク編集部が2026年10月2日時点の販売データを集計したところ、兵庫県の10月17日(土)の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は、宿泊15日前の段階でシティホテル85.7%・旅館83.7%・ビジネスホテル81.6%・リゾートホテル79.2%だった。45日前に13.3ptあった業態間の開きは6.5ptまで縮んでおり、遅れて動いたビジネスとリゾートが30日で16pt台を積み上げた格好になる。一方、三連休初日の10月10日(土)を同じ15日前で並べると、旅館とリゾートはともに5.4pt高いのに対し、シティは0.3pt差、ビジネスは逆に10月17日のほうが2.6pt高い。本稿では10月10日・17日・18日の3日を「45日前・30日前・直近観測」の3定点で読み、連休の効き方と日曜の落ち方が業態でどう違うかを整理する。
対象: 兵庫県のシティホテル N=24施設/ビジネスホテル N=74施設/旅館 N=179施設/リゾートホテル N=41施設(主要予約サイト掲載ベース)。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年10月3日(直近観測は10月2日)。
Key Takeaways
— 13.3pt→6.5pt — 10月17日(土)の業態間の開きは45日前から15日前(2026年10月2日観測)までに半減。ビジネス+16.4pt・リゾート+16.5ptが後半に追い上げた。
— +5.4pt — 同じ15日前で三連休初日(10/10)が通常土曜(10/17)を上回ったのは旅館・リゾートのみ。シティは+0.3pt、ビジネスは−2.6ptと10/17のほうが高い。
— 7.0pt対1.0pt — 16日前の土曜−日曜の差はビジネス7.0pt・シティ5.8pt・旅館4.2pt・リゾート1.0pt。リゾートは日曜が土曜の受け皿になっている。
— 大阪・兵庫に共通 — 近隣5府県で比べると、都市型で連休の上乗せが表れないのは大阪・兵庫だけ。日曜の落ち込みは兵庫が5府県で最も浅い。
— −8.7%〜+2.8% — 確定済みの2026年8月の推定成約ADRは、シティ・旅館・リゾートが前年割れ、ビジネスのみ前年比+2.8%。
10月17日(土) — 45日前の13.3pt差が、15日前には6.5ptに縮んだ
まずは連休のかからない通常の土曜、10月17日から見ていく。45日前(9月2日観測)の推定OCCはシティ76.0%・旅館75.0%が先行し、ビジネス65.2%・リゾート62.7%とは10pt以上の開きがあった。ところが直近観測の15日前(10月2日)には、最上位のシティと最下位のリゾートの差が6.5ptまで詰まっている。早く埋まる業態と遅く埋まる業態の違いが、水準の差ではなく「いつ積むか」の差として表れたといえる。
表1 10月17日(土)宿泊の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)と完売施設率 — 3定点
業態対象45日前
(9/2)30日前
(9/17)15日前
(10/2・直近)上積み幅
45→15日前完売施設率
45日前→15日前
シティホテルN=24施設/3,727室76.0%79.7%85.7%+9.7pt4.2%→8.3%
ビジネスホテルN=74施設/9,038室65.2%73.8%81.6%+16.4pt5.4%→14.9%
旅館N=179施設/3,746室75.0%79.2%83.7%+8.7pt26.0%→37.4%
リゾートホテルN=41施設/1,778室62.7%74.5%79.2%+16.5pt12.2%→19.5%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。
上積み幅を前半と後半に分けると、動く時期の違いがさらにはっきりする。リゾートは45日前から30日前までの15日間に+11.8ptを積み、その後の15日間は+4.7ptにとどまった。ビジネスは前半+8.6pt・後半+7.8ptとほぼ均等に積み続けており、直近まで勢いが落ちていない。これに対してシティは前半+3.7pt・後半+6.0pt、旅館は前半+4.2pt・後半+4.5ptと、もともと高い位置から小刻みに上がる形だった。
図1 10月17日(土)宿泊のブッキングカーブ(宿泊45日前〜15日前)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
もう一つ注目したいのが、推定OCCと完売施設率の並びが一致しない点である。旅館の推定OCCは15日前で83.7%とシティを下回るが、完売施設率は37.4%と4業態で最も高い。客室数の小さい施設が1軒ずつ売り切れていく一方で、残りの在庫は一部の施設にまとまって残っている構図と読める。シティの完売施設率は8.3%(N=24施設のため1施設が約4.2ptに相当)にとどまり、こちらは多くの施設が少しずつ在庫を残しながら全体の水準を上げている。同じ「8割台」でも、残り方の形は業態で異なるということになる。
10月10日(土・三連休初日) — 旅館は45日前に79.9%、8日前には4業態が85.7〜91.7%に収束
次に、スポーツの日(10月12日・月曜)を含む三連休の初日、10月10日を見る。こちらは宿泊8日前(10月2日観測)まで進んでおり、3定点の「直近」が10月17日より1週間深い。45日前(8月26日観測)の時点で旅館は79.9%に達し、完売施設率もすでに32.0%だった。リゾートは70.5%、シティは68.5%、ビジネスは63.4%と続き、最上位と最下位の差は16.5ptあった。
表2 10月10日(土・三連休初日)宿泊の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)と完売施設率 — 3定点
業態対象45日前
(8/26)30日前
(9/10)8日前
(10/2・直近)上積み幅
45→8日前完売施設率
45日前→30日前→8日前
シティホテルN=24施設/3,727室68.5%73.2%90.0%+21.5pt12.5%→4.2%→29.2%
ビジネスホテルN=74施設/9,038室63.4%70.5%85.7%+22.3pt5.4%→13.5%→23.0%
旅館N=179施設/3,744室79.9%84.5%91.7%+11.8pt32.0%→45.5%→55.3%
リゾートホテルN=41施設/1,778室70.5%79.1%89.2%+18.7pt34.1%→36.6%→43.9%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。
直近の8日前では、旅館91.7%・シティ90.0%・リゾート89.2%・ビジネス85.7%と、4業態が6.0ptの幅に収まった。45日前からの上積みはビジネスが+22.3pt、シティが+21.5ptと大きく、先行していた旅館は+11.8ptにとどまる。旅館は「早い段階で勝負がついている」業態であり、30日前に完売施設率が45.5%に届いたあとは、残り在庫が少ない中での積み増しになっていた。
図2 10月10日(土・三連休初日)宿泊のブッキングカーブ(宿泊45日前〜8日前)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
シティのカーブには一段の段差がある。30日前(9月10日)の73.2%から翌日の29日前には78.7%へと、1日で+5.5pt上がった。同じ日のビジネスは+0.1pt、旅館は+0.5ptの動きにすぎず、シティだけがまとまった消化を見せたことになる。N=24施設の母集団では大型施設1軒の動きが全体に響きやすいため、自館が同業態であれば、この前後で自館の予約が同じように動いたかを照合しておきたい。その後は8日前の90.0%まで滑らかに積み上がり、完売施設率は30日前の4.2%から29.2%へ上昇した。
同じリードタイムで並べる — 三連休の上乗せは旅館・リゾートの5.4pt、シティ・ビジネスには表れない
ここまでの2日は直近観測の深さが違うため、そのまま比べると連休側が高く見える。そこで両日とも観測がそろう45日前・30日前・15日前の3点に合わせ、三連休初日(10月10日)と通常土曜(10月17日)の差を取り直したのが表3である。
表3 同じリードタイムで比べた推定OCC — 10月10日(三連休初日)と10月17日(通常土曜)
業態45日前30日前15日前
10/1010/17差10/1010/17差10/1010/17差
シティホテル(N=24)68.5%76.0%−7.5pt73.2%79.7%−6.5pt86.0%85.7%+0.3pt
ビジネスホテル(N=74)63.4%65.2%−1.8pt70.5%73.8%−3.3pt79.0%81.6%−2.6pt
旅館(N=179)79.9%75.0%+4.9pt84.5%79.2%+5.3pt89.1%83.7%+5.4pt
リゾートホテル(N=41)70.5%62.7%+7.8pt79.1%74.5%+4.6pt84.6%79.2%+5.4pt
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。差は10月10日−10月17日。10月10日の15日前は9月25日観測。
結果は業態できれいに割れた。旅館は45日前+4.9pt・30日前+5.3pt・15日前+5.4ptと、どの定点でも三連休初日が5pt前後高い。リゾートも+7.8pt・+4.6pt・+5.4ptで、連休の上乗せが一貫して確認できる。ところがシティは45日前に−7.5pt、30日前に−6.5ptと通常土曜の10月17日のほうが高く、15日前でようやく+0.3ptに並んだ。ビジネスに至っては3定点すべてで10月17日が上回っており、15日前でも2.6ptの差が残る。
つまり兵庫県では、三連休という暦の効果が宿泊需要の押し上げとして表れるのは旅館とリゾートであり、シティとビジネスは「連休だから強い」という前提が今回の2日には当てはまらない。都市型の2業態にとって10月17日は、暦の上では通常の土曜でも、予約の進み方は三連休初日と同等かそれ以上の日ということになる。同じ傾向は隣の大阪府でも観測されており、大阪の10月三連休を業態別ブッキングカーブで読んだ記事では、23日前時点の比較でシティ・ビジネスとも10月17日が10月10日を上回っていた。8月に公開した兵庫県のカテゴリ別ブッキングカーブの記事では業態ごとの上積み幅の違いを取り上げたが、10月は「どの日が強いか」の序列そのものが業態で入れ替わっている。
10月18日(日) — 土曜との差はビジネス7.0pt・リゾート1.0ptと業態で7倍
一方で、翌日が平日となる10月18日(日)はどうか。直近観測の16日前(10月2日)では、シティ79.7%・旅館79.4%・リゾート78.0%・ビジネス74.0%だった。前日の土曜と同じ16日前で比べると、ビジネスは7.0pt、シティは5.8pt、旅館は4.2pt低く、リゾートだけが1.0pt差とほぼ並んでいる。
表4 10月18日(日)宿泊の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)と、前日土曜との差(土曜−日曜)
業態対象45日前
(9/3)30日前
(9/18)16日前
(10/2・直近)土曜との差
45日前土曜との差
30日前土曜との差
16日前完売施設率
16日前
シティホテルN=24施設/3,727室72.3%74.3%79.7%+3.7pt+5.4pt+5.8pt8.3%
ビジネスホテルN=74施設/9,038室60.0%67.3%74.0%+5.2pt+6.5pt+7.0pt2.7%
旅館N=179施設/3,720室70.0%74.7%79.4%+5.0pt+4.5pt+4.2pt27.4%
リゾートホテルN=41施設/1,778室65.7%71.2%78.0%−3.0pt+3.3pt+1.0pt17.1%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。土曜との差は10月17日−10月18日を同じリードタイムで比較。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。
リゾートの動きは特に興味深い。45日前の時点では日曜の推定OCCが65.7%と、土曜の62.7%を3.0pt上回っていた。その後、土曜が先に積み上がって30日前には+3.3ptの差がついたものの、16日前には再び+1.0ptまで詰まっている。土曜の在庫が細るにつれて日曜へ予約が回っている可能性があり、リゾートでは日曜が「土曜の受け皿」として機能していると考えられる。
図3 土曜(10/17)と日曜(10/18)の推定OCC差(土曜−日曜・pt)。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
対照的に、ビジネスは45日前+5.2pt・30日前+6.5pt・16日前+7.0ptと、土曜との差が広がり続けている。日曜の完売施設率も16日前で2.7%と低く、ほとんどの施設に在庫が残る。ただし日曜自体も45日前から+14.0ptを積んでおり、止まっているわけではない。土曜の伸びがそれ以上に速いために差が開いている、というのが実態に近いだろう。旅館は土曜との差が+5.0pt→+4.5pt→+4.2ptとほぼ横ばいで、日曜の完売施設率は27.4%だった。
近隣府県と並べる — 都市型で連休の上乗せが消えるのは大阪・兵庫に共通、日曜の落ち込みは兵庫が最も浅い
兵庫県で見えた「三連休の上乗せは旅館・リゾートだけ」「日曜の落ち方は業態で7倍」という2つの特徴が、兵庫に固有のものか、関西・中国地方に共通するものかを確かめるため、大阪府・京都府・岡山県・鳥取県の同じ業態を同じ宿泊日・同じリードタイムでそろえた(表5)。三連休の上乗せは両日とも観測がそろう15日前、日曜の落ち込みは10月18日の直近観測にあたる16日前で、前日の10月17日と比べている。
表5 近隣府県との比較 — 三連休初日の上乗せ(15日前)と日曜の落ち込み(16日前)
府県業態対象10/10
15日前(9/25)10/17
15日前(10/2)連休の上乗せ
10/10−10/17日曜の落ち込み
10/17−10/18
(16日前)
兵庫県シティホテルN=24施設※/3,727室86.0%85.7%+0.3pt+5.8pt
兵庫県ビジネスホテルN=74施設/9,038室79.0%81.6%−2.6pt+7.0pt
兵庫県旅館N=179施設/3,746室89.1%83.7%+5.4pt+4.2pt
兵庫県リゾートホテルN=41施設/1,778室84.6%79.2%+5.4pt+1.0pt
大阪府シティホテルN=42施設/9,790室90.4%92.9%−2.5pt+12.0pt
大阪府ビジネスホテルN=289施設/47,472室77.3%79.5%−2.2pt+12.4pt
大阪府旅館N=25施設※/665室74.3%73.1%+1.2pt−0.3pt
京都府シティホテルN=37施設/5,084室96.7%95.5%+1.2pt+8.3pt
京都府ビジネスホテルN=188施設/18,377室98.1%93.7%+4.4pt+8.9pt
京都府旅館N=122施設/2,179室88.7%78.8%+9.9pt+2.6pt
岡山県ビジネスホテルN=48施設/6,251室86.3%80.6%+5.7pt+14.5pt
岡山県旅館N=32施設/641室92.0%78.3%+13.7pt+10.6pt
岡山県リゾートホテルN=14施設※/839室93.3%83.9%+9.4pt+6.7pt
鳥取県ビジネスホテルN=25施設※/2,608室100.0%99.8%+0.2pt+25.5pt
鳥取県旅館N=51施設/1,448室97.2%94.8%+2.4pt+8.9pt
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。推定OCCはOTA掲載在庫ベース。各府県とも同じ宿泊日・同じリードタイムで比較。対象施設数が9以下で集計対象外の業態(大阪・京都のリゾート、岡山・鳥取のシティ、鳥取のリゾート)は掲載していない。※はN=30施設未満で、1施設の動きが全体に響きやすい参考値。大阪府ビジネスホテルの10/18は290施設、京都府旅館の10/10・10/18は121施設のコホート。
まず連休の上乗せである。大阪府はシティ−2.5pt・ビジネス−2.2ptと、兵庫県(シティ+0.3pt・ビジネス−2.6pt)と同じく通常土曜の10月17日が三連休初日と並ぶか上回った。一方で京都府はビジネス+4.4pt、岡山県はビジネス+5.7ptと、都市型でも連休初日のほうが高い。都市型で連休の上乗せが表れない形は、今回の5府県では大阪・兵庫の2府県に限られており、「都市型だから連休が効かない」と一般化はできない。旅館の上乗せは京都府+9.9pt・岡山県+13.7pt(N=32施設の参考値)と比べると、兵庫県の+5.4ptは小さめで、10月17日の旅館がすでに高い位置にあることが差を縮めている。鳥取県はビジネスが両日とも99%台にあり、上乗せを測れる余地がほとんど残っていない。
次に日曜の落ち込みである。兵庫県の土曜−日曜の差はビジネス7.0pt・シティ5.8ptで、大阪府(ビジネス12.4pt・シティ12.0pt)、京都府(同8.9pt・8.3pt)、岡山県(ビジネス14.5pt)、鳥取県(同25.5pt)のいずれよりも浅い。旅館も兵庫県の4.2ptは京都府の2.6ptに次ぐ浅さで、岡山県(10.6pt)や鳥取県(8.9pt)を下回る。兵庫県は日曜の落ち込みが周辺より小さい市場であり、ビジネスの7.0ptも周辺と比べれば「まだ浅い側」にある。要因はこのデータからは特定できないが、日曜を土曜の延長として売る設計は、兵庫県では周辺府県より通しやすい条件にあるといえる。
10月17日の8日前時点の目安 — 10月10日の上積み幅を倍率別に当てはめた感度
10月17日の宿泊日まではまだ2週間ある。自館の進み方を点検する物差しとして、1週間先行している10月10日の15日前→8日前の上積み幅(シティ+4.0pt・ビジネス+6.7pt・旅館+2.6pt・リゾート+4.6pt)を、10月17日の15日前の水準に倍率を変えて当てはめた(表6)。
表6 10月17日(土)宿泊の8日前時点の目安 — 10月10日の15日前→8日前の上積み幅を倍率別に当てはめた感度
業態10/17
15日前(10/2)10/10の上積み幅
15日前→8日前低位
(×0.5)中位
(×1.0)高位
(×1.5)
シティホテル85.7%+4.0pt87.7%89.7%91.7%
ビジネスホテル81.6%+6.7pt85.0%88.3%91.7%
旅館83.7%+2.6pt85.0%86.3%87.6%
リゾートホテル79.2%+4.6pt81.5%83.8%86.1%
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。10月10日(三連休初日)宿泊の15日前(9/25観測)→8日前(10/2観測)の推定OCCの上積み幅を、10月17日宿泊の15日前の値に倍率を掛けて加算した試算。予測値ではない。
中位(×1.0)で置くと、10月17日の8日前はシティ89.7%・ビジネス88.3%・旅館86.3%・リゾート83.8%が目安になり、ビジネスは低位でも85.0%に届く。ただし10月10日は三連休初日であり、旅館は8日前に91.7%と上限に近づいていたため、その上積み幅(+2.6pt)は残り在庫の少なさで抑えられている。10月17日の旅館は残り在庫が厚い分、中位より上に振れる余地がある。表6は予測値ではなく、自館の8日前の数字が市場の目安のどの帯にいるかを確かめるための感度として使いたい。
推定成約ADRの現在地 — 確定済みの8月は3業態で前年を下回り、ビジネスのみ+2.8%
稼働の進み方に単価の文脈を重ねておく。兵庫県の推定成約ADRは、確定値がそろう直近月の2026年8月で、シティ¥13,400(前年同月比−8.7%)、旅館¥20,200(同−7.0%)、リゾート¥24,500(同−8.5%)と3業態が前年を下回った。ビジネスは¥8,100で同+2.8%と、4業態で唯一のプラスになっている。シティが前年を下回り、ビジネスが底堅いという構図は上期の確定月から続いており、月ごとの推移は兵庫県の推定成約ADRを確定月の前年同月比で追った記事で整理している。前節までで見たように10月の土曜は15日前の段階で8割前後まで進んでおり、稼働の側には単価を支える材料がそろいつつあるといえる。
表7 兵庫県の推定成約ADR(税抜相当・月次)
業態2025年8月
(確定)2026年8月
(確定)前年同月比2025年10月
(確定)2026年10月
(現時点の販売状況に基づく推定)
シティホテル¥14,632(N=47)¥13,366(N=47)−8.7%¥13,945(N=47)¥15,567(N=47)
ビジネスホテル¥7,884(N=168)¥8,104(N=167)+2.8%¥7,657(N=167)¥10,688(N=162)
旅館¥21,684(N=275)¥20,172(N=277)−7.0%¥18,936(N=273)¥17,759(N=279)
リゾートホテル¥26,808(N=52)¥24,538(N=51)−8.5%¥19,620(N=50)¥20,555(N=51)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成。Nは対象施設数。2026年10月は現時点の販売状況に基づく推定で、今後変動し得る。
10月については、前年の確定値がシティ¥13,900・ビジネス¥7,700・旅館¥18,900・リゾート¥19,600だった。2026年10月の値は現時点の販売状況に基づく推定であり、確定値との単純比較は月末の確定を待つ必要がある。ここでは前年同月比を計算せず、自館の10月設定が前年10月の確定水準に対してどの位置にあるかを確かめるための目安として併記した。
兵庫県でホテル・旅館を運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン
1. 「連休だから強い」は業態で確かめ直したい。同じ15日前で比べると、旅館・リゾートは三連休初日が5.4pt高い一方、シティは0.3pt差、ビジネスは通常土曜の10月17日が2.6pt上回っていた。都市型の施設で連休日だけに販売制限や強気の条件を寄せているなら、10月17日にも同じ扱いを広げる余地があるかを見直したい。
2. 自館の予約ペースは「3定点」で市場と照合するのが有効といえる。10月17日の市場はシティ76.0%→79.7%→85.7%、ビジネス65.2%→73.8%→81.6%と進んだ。自館が45日前に市場を下回っていても、ビジネスやリゾートのように後半で積む業態では遅れとは限らない。逆に旅館は45日前で75.0%に達する市場であり、この時点の立ち遅れは取り返す時間が短い。
3. 旅館は推定OCCより完売施設率を見たい。2026年10月17日宿泊の旅館は15日前時点の推定OCC83.7%に対し完売施設率が37.4%で、周辺の施設が1軒ずつ販売を終えていく局面にある。自館に在庫が残っている場合、競合の選択肢が減るほど自館の在庫の希少性は上がるため、直前に向けて条件を緩めるより、残室を丁寧に売り切る設計が検討に値する。
4. 日曜の扱いは業態で分かれる。リゾートは土曜との差が16日前で1.0ptしかなく、日曜を土曜の延長として設計できる余地がある。ビジネスは差が7.0ptまで開き、日曜の完売施設率は2.7%だった。土曜からの連泊や日曜起点の滞在を組み立てることで、土曜に集まる需要を日曜へ広げる打ち手を検討したい。
表8 アクションプラン(時間軸別)
時間軸打ち手判断トリガー(記事中の数値)狙い
今日〜今週
(10/10向け)残り在庫の販売条件を点検し、1泊のみの受け入れ枠と連泊枠の配分を見直す自館の10/10の消化が、8日前の市場水準(旅館91.7%・シティ90.0%・リゾート89.2%・ビジネス85.7%)を上回っているなら残室を10/11・12の連泊需要に振り向ける余地を確かめる
在庫が残る施設は、周辺の販売終了状況を毎日確認する旅館の完売施設率が55.3%、リゾートが43.9%に達している現状で、自館に在庫があるなら選択肢が減る局面での自館在庫の位置づけを把握する
10月10日まで
(10/17・18向け)シティ・ビジネスは10/17を三連休初日と同じ管理対象日に加える15日前の市場がシティ85.7%・ビジネス81.6%と、同じ15日前の10/10(86.0%・79.0%)と並ぶか上回っている通常土曜として扱うことによる取りこぼしを避ける
10/17〜18の2連泊を組み立て、日曜の消化を土曜に連動させる自館の土曜と日曜の差が、市場の差(ビジネス7.0pt・シティ5.8pt・旅館4.2pt)より大きいなら土曜に集中する需要を日曜へ広げる
11月に向けて11月の土曜について45日前・30日前の自館消化を記録し、今回の市場カーブと並べる10/17の市場は45日前から30日前にリゾート+11.8pt・ビジネス+8.6pt・旅館+4.2pt・シティ+3.7ptを積んだ。自館の同区間がこれを下回るなら積む時期のずれを早い段階でつかむ
10月の確定後に、自館ADRと市場の推定成約ADRを突き合わせる自館の10月実績が、前年10月の市場確定値(シティ¥13,945・ビジネス¥7,657・旅館¥18,936・リゾート¥19,620)に対してどう動いたか稼働が進んだ日の単価設計を次の繁忙月に反映する
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
まとめ — 10月週末を読む3つの物差し
ここまでを整理すると、兵庫県の10月週末は次の3つの物差しで読める。
表9 10月週末を読む3つの物差し(兵庫県・2026年10月2日観測)
物差し今回の観測読み方
いつ積むか10/17の業態差は45日前13.3pt→15日前6.5pt。ビジネス+16.4pt・リゾート+16.5ptが後追い45日前の水準差は、直前の水準差を意味しない
連休の効き方同じ15日前で旅館・リゾートは三連休初日が+5.4pt、シティ+0.3pt、ビジネス−2.6pt暦の効果は観光型に表れ、都市型は日ごとに確かめる
日曜の落ち方16日前の土曜との差はビジネス7.0pt・シティ5.8pt・旅館4.2pt・リゾート1.0ptリゾートは日曜が土曜の受け皿、ビジネスは連泊誘導の余地
3日とも宿泊日はこれからであり、推定OCCは直前まで動き続ける。それでも「45日前・30日前・直近」の3定点で自館と市場を並べておけば、どの日のどの区間で差がついたかを後から特定できる。10月の3日間で得た型は、紅葉期の11月週末を組み立てる際にもそのまま使える物差しになるだろう。
よくある質問
Q. 兵庫県の10月三連休(10月10日)は、どの業態で予約が進んでいますか?
A. 2026年10月2日観測(宿泊8日前)の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は、旅館91.7%・シティホテル90.0%・リゾートホテル89.2%・ビジネスホテル85.7%で、4業態が6.0ptの幅に収まっています。完売施設率は旅館55.3%、リゾート43.9%に達しています。
Q. 三連休初日は、通常の土曜より埋まっていますか?
A. 業態によります。両日とも15日前でそろえると、旅館とリゾートは三連休初日の10月10日が10月17日より5.4pt高い一方、シティホテルは0.3pt差、ビジネスホテルは10月17日のほうが2.6pt高くなっています。
Q. 10月18日(日)は土曜と比べてどれくらい低いですか?
A. 同じ16日前で比べた土曜−日曜の差は、ビジネスホテル7.0pt・シティホテル5.8pt・旅館4.2pt・リゾートホテル1.0ptです。リゾートは日曜がほぼ土曜並みに進んでいます。
Q. 近隣の府県でも同じ傾向ですか?
A. 一部だけ共通します。都市型(シティ・ビジネス)で三連休の上乗せが表れないのは大阪府と兵庫県で、京都府・岡山県ではビジネスホテルも三連休初日のほうが高くなっています。日曜の落ち込みは兵庫県が大阪府・京都府・岡山県・鳥取県より浅い結果でした。
Q. 推定OCCは実際の客室稼働率と同じですか?
A. 同じではありません。OTAに掲載された在庫の消化状況から推定した値で、掲載外の客室を消化済み側に数えるため、実際の客室稼働率より高めに出ます。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設の固定コホートです。
データについて
表10 指標の定義と対象
推定OCCOTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。N がその施設数)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。対象宿泊日は2026年10月10日・17日・18日、観測窓は各宿泊日の45日前から2026年10月2日まで。
ブッキングカーブ宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。本記事の「直近」は2026年10月2日観測で、10月10日宿泊は8日前、10月17日宿泊は15日前、10月18日宿泊は16日前にあたる。
完売施設率OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。
推定成約ADROTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。
対象 N推定OCC・ブッキングカーブ(主要予約サイト掲載ベース): シティホテル N=24施設/3,727室、ビジネスホテル N=74施設/9,038室、旅館 N=179施設/3,744室(10/10)・3,746室(10/17)・3,720室(10/18)、リゾートホテル N=41施設/1,778室。推定成約ADR(2026年8月): シティホテル N=47、ビジネスホテル N=167、旅館 N=277、リゾートホテル N=51。
データ時点データ時点: 2026年10月3日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
■ データソース
主要予約サイトに掲載された客室在庫と販売価格の日次観測(メトロエンジンリサーチ)。推定OCC・完売施設率は兵庫県・大阪府・京都府・岡山県・鳥取県の業態別固定コホート、推定成約ADRは兵庫県の業態別月次集計(確定月と現時点の推定)による。観測日は2026年8月26日〜10月2日。
■ 試算前提
表3・表5の比較は同じリードタイムの値同士の差(表示値の差)。表6の8日前時点の目安は、10月10日宿泊の15日前→8日前の上積み幅(シティ+4.0pt・ビジネス+6.7pt・旅館+2.6pt・リゾート+4.6pt)に0.5・1.0・1.5倍を掛け、10月17日宿泊の15日前の値に加えた感度で、100%を上限とした。
■ 限界・留意点
推定OCCはOTA掲載在庫ベースで、実客室稼働率とは定義が異なり、販売停止も消化として数える。対象施設数が30未満の業態(兵庫県シティ・大阪府旅館・岡山県旅館/リゾート・鳥取県ビジネス)は1施設の動きが全体に響きやすい。表6は三連休初日の上積み幅を通常土曜に当てはめた試算であり、予測ではない。2026年10月の推定成約ADRは月末の確定前の値。
