鳥取市の地域インフラを担うエネルギー大手「鳥取ガス」(鳥取市五反田町)において、経営トップの電撃解任という激震が走っている。同社は2026年10月2日、本社で緊急会見を開き、会社資金の私的流用や無断送金などを理由に、児嶋太一社長(47)を9月14日付で解任したと発表した。新社長には、児嶋氏の実姉で同社取締役(元総理理事長)の佐藤陽子氏(50)が就任した。会見には佐藤新社長や同社顧問弁護士らが出席し、長年にわたる同族経営が今回の事態を招いた一因であることを認めて陳謝した上で、企業統治の再構築と信頼回復を約束した。
会見で明かされた社内調査結果によると、不正行為の内容は多岐にわたり、巨額に及んでいる。児嶋氏は2023年6月から2026年8月にかけて、鳥取ガスおよびグループ会社「鳥取ガス産業」の法人クレジットカードを私的に利用し、エルメスのバッグをはじめとする高級ブランド品などの購入に計約2億8200万円を充てていた。また、2026年3月から6月末にかけては、取締役会の承認を得ることなく両社の口座から自身の個人口座へ複数回にわたり計約10億8000万円を不正に入金させていた。このほかにも、2026年6月に自身が設立した個人会社「エネトピアホールディングス」への約3000万円の不正な資金移転、グループ企業に対するCM制作費約8000万円の不適切請求、私的に利用していた高級乗用車3台のカーリース料約6200万円の負担、さらには親族6人が所有していた計約10万株の株式を自身や妻、娘の名義に無断で書き換える名義変更、東京在住でありながら東京行きを出張扱いにして旅費や出張日当を請求していた行為などが次々と発覚した。流用額は今後の精査でさらに膨らむ可能性があるとされている。
個人口座に振り込まれた10億8000万円については、発表前日となる10月1日までに全額が返金されたことが確認されたが、カードの流用分や別会社への資金移動など残る約3億1000万円は未返還のままであり、同社は今後回収手続きを進めるとともに、返還が進まない場合は刑事告訴も視野に入れて調査を徹底する方針である。解任劇の舞台裏では、9月14日に開かれた取締役会において、経理責任者でもあった実姉の佐藤氏が児嶋氏の解任を求める緊急動議を発議。児嶋氏を除く取締役5人全員がこれに賛成して解任が決議され、児嶋氏の父であり同社会長を務める祥悟氏の推薦を受ける形で佐藤氏の新社長就任が決定した。佐藤新社長は、長年続いてきた同族経営の負の側面を断ち切るため、家族の縁を切る覚悟で解任に踏み切ったと語り、今後は自己株式の買い取りや従業員持株会の設立などを通じて株式を分散させ、大株主が思うままに経営できる体制を是正していくと強調した。また、自身も当時は経理責任者として社長命令を拒めず送金指示に従ってしまった責任を感じているとし、経営の健全化に全力を尽くす考えを示している。
これに対し、解任された児嶋太一前社長側は真っ向から反論を展開している。児嶋氏は代理人弁護士を通じて声明を発表し、今回の事態を「経営上のクーデター」と批判。不正と判定された約10億円の送金については「事業年度途中の『期中残高』に過ぎず、従来から決算に向けて返済・清算を行ってきたものであり、金銭はすでに会社へ支払っている」と主張した。さらに、銀行送金の承認権限を有し実際の送金作業を行っていたのは佐藤新社長自身であったと指摘し、会社側の一方的な事実認識と法的評価による解任処分に対して不服を表明するとともに、佐藤氏が指揮を執る社内調査の独立性や客観性について強い疑義を呈しており、双方の主張は激しく対立している。
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日向坂46 平尾帆夏さん出演 エネトピアグループ新TVCMを鳥取で初披露
2011年6月に32歳の若さで父親の後任として社長に就任した児嶋氏は、約15年にわたりエネトピアグループの牽引役として手腕を振るってきた。同社の事業範囲を島根県へ進出させたほか、2015年には鳥取市との共同出資により県内初の地域電力会社「とっとり市民電力」を立ち上げ、現在は公共施設約350カ所に電力を供給し年間約4億9400万円を売り上げる規模に成長させた。さらに他業種への参入も精力的に推進し、2022年6月には小型プロペラ機で各地の空港を結ぶ地域航空会社「フィールエアホールディングス(FAH)」を個人として設立。2024年に成田空港、2026年には神戸空港および鳥取県内2空港(鳥取・米子)を拠点とした運航開始を目指して「100年に1度のチャンス」と意欲を語っていた。飲食分野でも2023年4月に鳥取市片原のショールーム一角を改装して「児嶋珈琲店」をオープンさせるなど多角化を進め、2025年11月には鳥取商工会議所の副会頭に選任されるなど、地域経済の次世代リーダーとして大きな期待を集めていた。
地域インフラを担う公性の高い企業の突然の不祥事に対し、行政や経済界には大きな動揺と困惑が広がっている。鳥取県商工労働部の佐々木徹部長は驚きを隠さず、事業者や利用者の動揺を懸念しながら迅速なガバナンスの立て直しと信頼回復を求めた。県によると、同社が参加する「鳥取すいそ学びうむ」の管理運営への影響はなく、設立報告のみで県費の支出実績がない航空会社「フィールエアホールディングス」についても特段の影響はないとしている。
一方、共同出資を行う鳥取市経済・雇用戦略課の大角真一郎室長は市民からの信頼失墜を注視する姿勢を示した。地元の経済人や鳥取商工会議所の平井耕司会頭も突然の解任劇に大きな衝撃を受けており、今後の不祥事の全容解明と経営体制のゆくえが地域社会全体から注視されている。関連ブログ
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