1人のディーラー経営者が集め始めたコレクション
ドイツの自動車博物館で、往年のトヨタ・カローラがスポットライトを浴びる。欧州のクルマ好きが、今はなき自国ブランドのモデル以上に、トヨタ・スープラへ熱い視線を送る2026年。トヨタ・ドイツは、75台で構成されるコレクションを公開している。
ドイツ南部、アウクスブルクにある「マツダ・クラシック・オートモービル博物館」は、とある自動車ディーラーが熱心に集めたコレクションを発端とする。中西部のケルンにある「トヨタ・コレクション・ケルン」も、経緯は似ている。
当時は珍しくなかったトヨタ・クレシーダ(初代マークII)は、現在では貴重 マックス・エドレストン(Max Edleston)
トヨタが欧州へ進出を始めた頃、ディーラーを開いたペーター・ピヒャート氏は、数10年に渡って同社のモデルを収集していった。彼は南東部のバイエルン州へ博物館を設けるが、2016年にこの世を去り、コレクションはトヨタ・ドイツへ引き継がれた。
果たして、トヨタ・コレクション・ケルンが、従業員向けのテニスコートを潰して完成。大きなホールに、所狭しと名車が並んでいる。
珍しいセリカ・カブリオレにスターレット・コンビ
1970年代初頭の、質実的なカローラやランドクルーザーを口火として、欧州での成功を掴んでいったトヨタ。ピヒャートのコレクションは、小規模な自動車メーカーから世界最大の規模へ躍進していく、過程を表したようなものといえる。
すっかり珍しくなった1970年代のコロナやクレシーダ(初代マークII)、1980年代のターセルやスターレットなど、どれもコンディションは素晴らしい。新車そのままの輝きを残す例も、中には含まれている。
ツインカムエンジンの2000GTは、欧州では販売されなかった マックス・エドレストン(Max Edleston)
コレクションで特に珍しいのが、1977年式カローラ・リフトバックと、1981年式セリカ GTサンチェイサー・カブリオレ、1982年式スターレット・コンビ。ドイツでは、他に殆ど現存例はないといえる。
近代のモデルは、散発的にしかない。それでも、AE86型カローラ・レビンに4代目スープラ、初代RAV4など、象徴的なモデルはしっかり含まれている。欧州では販売されなかった、美しい2000GTやガルウイングドアのセラも観察できる。
実際にシートへ座り車内を観察できる
この博物館で最大の特徴が、2000GTなどの特別なレジェンドを除いて、接近を制限するロープなどがないこと。殆どの展示車はドアを開けられ、実際にシートへ座り、車内を観察することが許されている。これだけでも、訪れる価値はあるだろう。
1990年代の東京で忙しくしていた、運転手付きの役員気分を味わいたいなら、V12エンジンを積んだセンチュリーの後席が理想的。四輪駆動のターセルで、ツイード調シートの感触を懐かしむのも悪くない。
トヨタ・タウンエースは、欧州ではスペースクルーザーの愛称で親しまれた マックス・エドレストン(Max Edleston)
英国の俳優、ロジャー・ムーア氏が所有していたFJ60型ランドクルーザーや、オリジナルのV8エンジンとトランスミッションを維持し、100万kmを走ったレクサスLS 400など、興味深い経歴の車両もある。試作に終わった、FT-86 オープンも。
ガズー・レーシング・ヨーロッパの拠点が向かいに
画像 間近に鑑賞できる聖地 トヨタ・コレクションとガズー・レーシング博物館 往年のトヨタも 全141枚
