世界ラリー選手権で大活躍したセリカたち
ドイツ・ケルンの「トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ博物館」には、各年式のラリーマシンがずらりと並ぶ。その中で特に強い輝きを放つのが、「アフリカン・タイフーン」の愛称を得た、1983年式のTA64型トヨタ・セリカだろう。
ツインカム・ターボエンジンを積み、過酷な長距離ラリーで圧倒的な強さを披露。1983年から1986年にかけてコートジボワール・ラリーで3勝し、東アフリカ・サファリ・ラリーでも3度の勝利を奪っている。
世界ラリー選手権(WRC)を制したST185型トヨタ・セリカ GT-FOUR マックス・エドレストン(Max Edleston)
この博物館を管理する、ジョン・デイ氏が説明する。「構造はシンプルでも、非常に堅牢なんです。当時のドライバーたち、特に(スウェーデンの)ビョルン・ワルデガルドさんなどは、素晴らしい手腕を発揮しましたね」
トヨタが世界ラリー選手権(WRC)を初めて制したのは、ST185型セリカ GT-FOURで挑んだ1992年。カルロス・サインツ氏が、ドライバーズ・タイトルを獲得している。1993年と翌年には、ドライバーズとコンストラクターズ、両タイトルを勝ち取った。
21世紀初頭に挑んだF1とル・マン
展示室には、他にも1999年のタイトルを獲得したAE111型カローラや、躍進を続けるGRヤリスまで、歴代のWRCマシンがずらりと並ぶが、2000年から2017年には空白がある。その前半、2002年から2009年に、トヨタはF1世界選手権へ挑んでいた。
トヨタのF1マシンは、すべてケルンで生産されたが、各年のマシンが一同に会する様子は壮観。2001年のテストマシンや、実戦には投入されなかった2台の2010年仕様まで、裏側の歴史を目の当たりにすることもできる。
世界耐久選手権への復帰を飾った、TS030 ハイブリッド・ハイパーカー マックス・エドレストン(Max Edleston)
同時期のトヨタは、ル・マン24時間レースを含む耐久レースにも挑戦し、開発されたのがGT-One。その規定ではワイパーの装備が義務付けられていたが、サイズは指定されておらず、空気抵抗を抑えるため予選仕様のブレードは数cmと驚くほど短い。
規定サイズのスーツケースを積めることも、要件の1つだった。それは、特別に成形された燃料タンクを採用し、クリアしている。1999年のル・マンで、GT-Oneは最速の性能を誇ったが、信頼性で及ばず2位完走で終わった。
1台だけが作られたナンバー付きGT-One
耐久レースを戦った2台のGT-Oneの間には、公道仕様も飾られている。これも、参戦規定を満たすために作られたもの。量産メーカーのトヨタにあって、唯一1台だけが作られた、ナンバー付き車両ではないだろうか。
ダッシュボードは、フォード・カーのものの流用で、今でも公道を走ることができるそうだ。ルーフ上のエアインテークはフォーム材で蓋がしてあるが、そこからテニスボールがぶら下がっている。うっかり外し忘れて、走行しないように。
1台だけ生産された、公道仕様のトヨタGT-One マックス・エドレストン(Max Edleston)
2012年以降も、トヨタは耐久レースへ挑んでいるが、その歴代マシンも年代毎に展示されている。フェルナンド・アロンソ氏とセバスチャン・ブエミ氏、中嶋一貴氏の3名で、悲願のル・マン総合優勝を初めて掴んだ、2018年式のTS050も。
貴重なトヨタ車を間近に鑑賞できる聖地
画像 間近に鑑賞できる聖地 トヨタ・コレクションとガズー・レーシング博物館 往年のトヨタも 全141枚
