マスク氏、米国防総省の将来戦研究に参画 民間技術者らと共同主導

米国防総省は9月30日、将来の戦争で必要となる技術や能力を検討する新構想「プロジェクト・メリディアン」を始動させ、スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が共同責任者として加わると発表しました。発表はバージニア州クアンティコの海兵隊基地で、ピート・ヘグセス国防長官が行いました。

共同責任者には、米防衛テクノロジー企業アンドゥリル・インダストリーズの共同創業者パーマー・ラッキー氏、共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長も起用されました。国防総省は、官僚や軍関係者だけでなく、企業、研究、政策の各分野から人材を集め、将来の軍事技術や戦闘領域を幅広く検討する考えです。

マスク氏は第2次トランプ政権で、政府支出の見直しを担う「政府効率化省(DOGE)」に関与していましたが、2025年5月に政権から離れていました。今回の国防総省プロジェクトへの参画は、マスク氏が政権運営に再び限定的に関わる動きとして注目されます。

プロジェクトの狙いは、現在の戦争への対応策にとどまらず、今後の安全保障環境で米軍が優位を保つために必要な装備、技術、運用能力を洗い出すことにあります。検討対象は地下空間から地球と月の間の「シスルナ空間」まで及び、人工知能(AI)、無人機、ロボット、自律型システムなどが重要な焦点となる見通しです。

ヘグセス長官は、米国の強みであるイノベーターや技術者の力を安全保障政策に取り込む姿勢を示しました。民間主導で急速に発展しているAI・宇宙・無人システムの知見を軍事分野へ結び付け、競争相手国に対する技術面での優位を維持する狙いがあるとみられます。

120日以内に報告書、調達・組織改革にも波及

プロジェクト・メリディアンは、設置後120日以内に検討結果をまとめる予定です。報告書では、将来必要となる兵器や能力に関する提言を示し、一般公開可能な非機密版に加え、機密情報を含む文書も作成される方針です。

同日にヘグセス長官は、AI搭載ドローンやロボットなどを活用する自律型戦闘能力の強化方針も表明しました。新たな統合軍司令部の創設を含む施策が打ち出されており、メリディアンの提言は研究段階にとどまらず、装備調達や軍の組織運営に影響を及ぼす可能性があります。

一方で、宇宙・防衛分野で政府契約を持つ民間企業の経営者が政策検討を主導することについては、技術革新の促進と利益相反の管理をどう両立させるかも課題となりそうです。

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