~ 2026年「技能実習認定取消企業」動向調査 ~


 外国人技能実習制度で実習生を受け入れていた企業のうち、法令違反や不正などを理由に実習実施の認定取消処分を受ける企業が相次いでいる。 2017年11月の現行制度施行以降、累計754社にのぼり、2026年度も8月までに50社が公表され、前年度と同水準のペースで推移している。

 開発途上国への技能移転と国際貢献を目的に最長5年間、外国人実習生の受け入れが可能だが、深刻な人手不足を補う労働力として利用されている側面もあり、多くの企業が活用している。

  

 認定取消処分で社名が公表された実習実施者(以下、認定取消企業)754社のうち、個人事業主などを除く660社について、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで分析した。

 産業別では、製造業が255社(構成比38.6%)と最も多く、次いで建設業の214社(同32.4%)、サービス業他の82社(同12.4%)など、労働集約型や人手不足が顕著な産業が多い傾向にある。

 都道府県別では、愛知県が46社(同6.9%)で最も多いが、大阪府42社(同6.3%)、広島県の41社(同6.2%)も拮抗している。

 技能実習制度は2027年4月以降、「育成就労制度」に改正される。制度の目的も、これまでの国際貢献から人材育成・日本国内の人材確保が明確となり、労働力補完の色彩がより濃くなる。

 認定取消処分を受けると、受け入れた外国人技能実習生は他の受入先への転籍が必要となる。また、取消日から5年間は新たな外国人技能実習生の受け入れができない。技能実習生の労働力頼みの企業には、社名公表による信用失墜とともに死活問題となる。

※ 本調査は、法務省及び厚生労働省が2018年度以降、「技能実習法に基づき、実習実施者に対する認定の取消し」を公表した企業を集計、分析した。実習実施者の単位は(社)とする。調査は今回が初めて。

2026年4-8月は50社が社名公表

 技能実習制度は2017年11月に現制度に改正され、実習計画の認定制度や認定取消に伴う社名公表制度が規定された。

 2018年度以降、年度別の認定取消処分を公表された実習実施者数は2021年度の177社が最も多い。その後、2024年度を除いて年間100社以上が公表されている。

 2024年度の大幅減少は1社の大規模な認定取消処分が発生し、それが影響したとみられる。 

 2026年度は8月までに50社が公表されており、2025年度に並ぶハイペースで推移している。

認定取消処分が公表された実習実施者の推移(年度別)

産業別 製造業と建設業で全体の7割

 認定取消企業660社の産業別では、製造業が255社(構成比38.6%)で最多だった。

 次いで、建設業の214社(同32.4%)が続き、上位2産業で7割(71.0%)を占めた。

 労働集約型の製造業、人手不足が深刻化な建設業は、認定企業数も多いが、認定取消企業数も多い。

 以下、サービス業他が82社(同12.4%)、卸売業が45社(同6.8%)、農・林・漁・鉱業が31社(同4.7%)、小売業が19社(同2.8%)と続く。最も少なかったのは情報通信業の1社(同0.1%)だった。

 産業別をさらに細かく分類した業種別では、最多がとび工事業の51社(構成比7.7%)、次いで、土木工事業が38社(同5.7%)と続く。同2業種を含めて、建設関連が上位10業種中、4業種を占めた。

 アパレル関連業種も、3位の衣服裁縫修理業(35社、同5.3%)をはじめ、上位10社のうち、3業種が占めた。このほか、野菜作農業、水産食料品製造業など、一次産業関連も入った。

認定取消企業 産業別

売上高 100億円以上が38社 

 売上高が判明した認定取消企業のうち、552社を分析した。

 最多は、売上高1~5億円未満の185社(構成比33.5%)で3割を占めた。以下、10~50億円未満と、1億円未満がそれぞれ115社(同20.8%)で続く。

 売上高5億円未満は300社(同54.3%)と半数を超えた。一方で、100億円以上も38社(同6.8%)あり、認定取消処分は売上高に関わらず発生している。

 これまで認定取消処分を受けた企業のうち、売上高の最大は三菱自動車工業(株)(TSRコード:290566729、東京都港区)で、2019年1月に技能実習計画と異なる作業をさせていたとして認定取消処分を受けた。

認定取消企業 売上高別

都道府県別 最多は愛知県の46社

 地区別の社数は、最多が関東の134社(構成比20.3%)。次いで、中部の124社(同18.7%)、近畿の90社(同13.6%)、四国の85社(同12.8%)、中国の82社(同12.4%)、九州の66社(同10.0%)、北陸の31社(同4.7%)、東北の27社(同4.0%)、北海道の21社(同3.1%)の順。企業数の多い東名阪だけでなく、中国、四国でも目立つ。

 都道府県別は、最多が愛知県の46社。次いで、大阪府の42社、広島県の41社、愛媛県の37社、東京都の28社と続く。

 外国人技能実習機構(OTIT)によると、2024年度の技能実習実施者数は、愛知県が6,274社と最も多く、以下、大阪府、東京都、埼玉県、茨城県の順となっている。技能実習実施者の多い都道府県が、認定取消企業でも上位にランクインする傾向となっている。
※ TSRの企業データに基づく集計のため、公表された所在地と異なる場合がある。

認定取消企業 都道府県別(上位)


 国内の技能実習生は、2025年末で約45万人にのぼる(法務省統計)。コロナ禍で一時的に減少したが、その後は再び増加に転じ、コロナ禍前を上回る水準に達する。

 技能実習制度は本来、開発途上国等の外国人に日本の技能や技術を提供し、その成果を持ち帰り、母国の発展に貢献することを目的として創設された。だが、実際は日本国内の労働力の確保として機能している面もあり、人手不足に喘ぐ業種を中心に生産現場を支える重要な役割を担っている。

 一方、実習生を低賃金労働者として扱う雇用体系、長時間労働や賃金未払いなどの法令違反、虐待などの人権侵害といった受け入れ企業の問題もたびたび表面化している。

 個人企業などを除く認定取消企業660社のうち、24社がすでに休廃業・解散状態にあることが認められた。認定取消との因果関係は不明だが、技能実習生の受け入れができなくなった事や信用低下で事業継続を断念した可能性を否定できない。

 技能実習制度は2027年4月以降、人材確保の機能をより打ち出した「育成就労制度」へと大きく転換する。ただ、認定取消等に関する社名公表、ペナルティなどのルールは原則継承される。事業継続や成長のためには国内外を問わず人材確保が重要なポイントとなるなか、企業にはより一層の常識とコンプライアンスの徹底が求められている。

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