株式会社UPDATERは2026年9月16日、海外の生産・調達拠点を再生可能エネルギーで支える事業「Pole Solar(ポレソーラー)」において、タンザニアの現地EPC(設計・調達・施工)企業Photons Energy Ltdと戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。

水力発電に依存し電力供給が不安定なタンザニアで、系統電力に頼らない電源を生産現場に導入し、供給の安定と脱炭素化を両立させます。2030年度までにアフリカで発電容量1GWの分散型電源構築を目指します。

電力不安がサプライチェーンの課題に

日本にゴマやコーヒー豆を輸出するタンザニアでは、水力発電が発電量の約6割を占める主要な電源です。

一方、気候変動に伴う干ばつや水資源の変動、設備・送配電網の課題、電力需要の増加などを背景に、安定した電力供給が課題となっています。この不安定さは現地の生産活動だけでなく、日本へつながるサプライチェーンにも影響を与えます。

日本企業全体で見ると、アフリカとの貿易・投資規模はまだ大きくありませんが、重要鉱物に加え、ゴマ、コーヒー、カカオ、タコなど日本の暮らしに身近な原料の供給地域としても存在感を持っています。

水力発電が主要な地域では、干ばつや降雨パターンの変化が発電量の低下につながるリスクが指摘されています。タンザニアでは、停電による損失が企業の年間売上の約15%に相当するとの分析もあります。

さらに東アフリカでは、世界の平均気温が産業革命前と比べて1.5〜2℃上昇した場合、コーヒーの栽培適性が10〜30%低下し、栽培地域がより標高の高い地域へ移動すると予測されています。

UPDATERは、電力の不安定さや気候変動は日本への供給そのものを左右するサプライチェーン上のリスクだとし、安定した電力の確保と電力の脱炭素化の重要性が高まっていると説明しています。同社は「みんな電力」で培ったノウハウを生かし、この課題に再生可能エネルギーで応える事業としてPole Solarを展開しています。

敷地内で発電するオンサイトPPAの仕組み

Pole Solarは、太陽光発電設備を需要家の敷地内に設置する「オンサイトPPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)」モデルを採用しています。

設備はUPDATERが施工・所有し、需要家は使用した電力に応じて電気料金を支払う仕組みです。送配電網を経由せず、敷地内で発電から消費までを完結させるため、系統側の停電や電力不足の影響を抑えられます。

需要家が自ら大きな設備投資を行う負担を抑えながら、安定した電源を確保できる点も特長です。再生可能エネルギーの活用は生産工程のCO2排出量削減にもつながります。

現在はタンザニアを中心に事業を展開していますが、2029年までにケニア、ウガンダ、ルワンダなどへの展開を計画し、2030年度までにアフリカ全域で発電容量1GWの分散型電源構築を目指しています。

事業拡大とソーシャルインパクトの両立も掲げています。国内で寿命前に使用を終えたリユース太陽光パネルを性能検査の上で活用し、将来の大量廃棄を見据えた資源循環に取り組みます。

また、現地エンジニアの採用・育成を通じて、農村部の若者や女性を含む地域の人々が電気エンジニアとして技術を身につけ、質の高い雇用につながる機会を広げることも目指しています。

こうした事業内容が評価され、Pole Solarは東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択されています。

6分野で協業、まず10MWを共同目標に

狙いは両社の強みの相互補完です。UPDATERはプロジェクトファイナンス、PPAの組成、カーボンクレジット開発、資産保有を担い、Photons Energyは営業開拓、技術実現性調査、EPC、O&M(運用・保守)、現地オペレーションを担います。ザンジバル市場への協業拡大も検討します。

重点分野は6つです。第1に産業用太陽光発電の拡大で、2028年3月までに累計導入容量10MWを共同目標に設定し、Photons Energyからの案件紹介も受け入れる双方向のパイプラインを構築します。

第2に太陽光ポンプの共同展開で、農業・灌漑・上水道分野への拡大も視野に入れます。

第3に、学校・大学・病院などの施設向けクックストーブ(薪や炭を燃料とする調理用かまど。改良型は燃料使用量や煙を抑え、森林保全やCO2削減につながる)分野での協業検討です。

第4に、農業用ため池の多いタンザニアと東アフリカでの水上太陽光発電の共同開発、第5に中古太陽光パネルのリユース・回収・リサイクルの仕組みづくり、第6に気候関連プロジェクトから生まれるカーボンクレジットの共同開発です。

Photons Energyは2012年設立でアルーシャ市に本社を置き、太陽光発電のEPCやオフグリッド・ミニグリッド構築を手がけます。UPDATERは2021年にみんな電力株式会社から社名変更した企業です。

Pole Solar事業プロジェクトマネージャーのFathia Jombi氏は「農村地域やザンジバルを含むタンザニア全土に、信頼できる持続可能なエネルギーが広がっていくと信じています」とコメントしています。

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