
冬の大舞台への切符を懸けた戦いが、いよいよ本格化する。ウインターカップ県予選は10月24日から男女ともシード校が登場し、頂点を巡る争いはここから一気に熱を帯びる。全国への一枚を争う男女8校の現在地と、この冬に懸ける思いに迫る。男子の最終回はU18日清食品トップリーグ・ディビジョン2に初参戦し、開幕3連勝と勢いに乗る別府溝部学園。3年ぶりのウインターカップ出場へ、仕上がりは順調だ。
残り1.4秒。99―99。一本のシュートに勝敗が託された。原口優人(3年)が放った3点シュートがリングを射抜く。102―99。U18日清食品トップリーグ・ディビジョン2に初参戦している別府溝部学園が、興南(沖縄)との激しい点の取り合いを制した。開幕から無傷の3連勝。3年ぶりのウインターカップ出場を目指すチームにとって、弾みのつく勝利となった。
「選手がよく頑張った。本当にそれに尽きる」。伊藤滋監督は殊勲の選手たちをたたえた。ただ、劇的な結末に酔うことはなかった。99失点という数字に目を向け、「本当は70点台ぐらいに抑えたかった」と課題を口にする。
今夏、力を入れてきたのが守備の強化である。これまでは得点しても、それ以上に奪われる試合が少なくなかった。ドライブへの対応、ルーズボール、リバウンド。細部を見直し、粘り強く守るチームへの変貌を目指してきた。
勝負強さが際立つ原口(背番号21)
攻撃にも変化がある。ドリブルに頼るのではなく、パスでボールを動かして相手の守備を崩す。練習を重ねるにつれて選手同士のタイミングが合い始め、3点シュートの精度も上がった。興南戦では100点を超えたが、伊藤監督が求めるのは打ち合いを制するだけのチームではない。「やっぱりディフェンスで勝ちたい」。その言葉に目指すバスケットが凝縮されている。
一方、勝負どころで一本を決め切れる選手がいることは大きい。その象徴が原口だ。興南戦で最後のシュートを託されたのは偶然ではない。「たくさん点を取るというより、プレーのアベレージが高い。勝負どころでも決めてくれる」と伊藤監督は信頼を寄せる。派手に得点を重ねるタイプではなくとも、必要な瞬間に仕事をする。ウインターカップ県予選でも頼れる存在となりそうだ。
さらに、チームにはまだ伸びしろが残されている。興南戦はインフルエンザなどの影響で主力を欠き、本来先発を務める鈴木太陽(同)も病み上がりで出場時間が限られた。留学生のオコイェ・チェクべチュク・ポール(2年)も体力や精神面を含めて成長の途上にある。選手がそろえばローテーションに厚みが増し、戦い方の選択肢も広がる。
守備強度を再確認して試合に臨む
その先に待つ最大の壁が、ウインターカップ県予選3連覇を狙う柳ケ浦である。別府溝部学園はここ3年間、その壁に苦しめられてきた。「やっぱり柳ケ浦は強い。そこを意識してずっとやっている」(伊藤監督)。
柳ケ浦の留学生の高さと得点力を完全に封じるのは難しい。だからこそ伊藤監督は「30点は取らせない」と現実的なラインを設定し、その上で周囲を全員で抑える青写真を描く。想定するのは70点台から80点前後の勝負。守備で耐え、磨いてきた3点シュートで食らいつく。
強豪との実戦で得た3連勝は、自信を与えてくれる。ただし、まだ完成形ではない。伊藤監督は「選手がそろえば、今よりいろいろなことができる。そこは楽しみ」と期待する。劇的な一本で勝った興南戦は通過点である。守備を磨き、パスをつなぎ、勝負どころでシュートを決める。欠けていた戦力まで戻ったとき、別府溝部学園はどんな姿になるのか。3年間阻まれてきた壁を越え、3年ぶりの冬の全国舞台へ。その答えを示す県予選が近づいている。 (柚野真也)
