現在開催中の愛知・名古屋アジア競技大会で運営上の不手際が相次いでいる。国歌の取り違えに、宿泊施設への不満、送迎バスの手配ミス──。数々の失態に海外メディアからも批判が集まり、日本の信頼が揺らいでいる。

   巨大な国際イベントを主催するのは、もう日本には荷が重いのか。背景には、東京五輪で露呈した大手広告代理店への依存と、開催地の財政を圧迫する経費の膨張がある。

2026年愛知・名古屋アジア大会開会式(写真:ロイター/アフロ)

2026年愛知・名古屋アジア大会開会式(写真:ロイター/アフロ)

2026年愛知・名古屋アジア大会では、クルーズ船を宿舎に活用(写真:VCG/アフロ)

2026年愛知・名古屋アジア大会では、クルーズ船を宿舎に活用(写真:VCG/アフロ)

2026年愛知・名古屋アジア大会開会式(写真:ロイター/アフロ)

2026年愛知・名古屋アジア大会では、クルーズ船を宿舎に活用(写真:VCG/アフロ)

電通が外れたアジア大会の運営

   2026年9月18日のホッケー男子、韓国対バングラデシュ戦では、試合前に韓国ではなく北朝鮮の国歌が流れる致命的なミスがあった。20日のバスケットボール男子決勝では、韓国代表を迎えに来るはずのバスが現れず、直前練習を中止する事態となった。

   仮設のコンテナ型宿舎は、長身の選手にはベッドが短く、室内で水漏れも発生。耐えかねてホテルに移ったチームもいると報じられた。

   これに対して、海外メディアからは「史上最悪の大会」「なぜ日本は開催したのか」「長年、完璧さの象徴だった日本の評判を傷つけかねない状況」といった声が上がっている。

   混乱の一因として指摘されるのが「大手代理店の不在」だ。電通は東京五輪・パラリンピックの汚職・談合事件を受け、本大会ではスポンサー集めを担う代理店候補を辞退したと報じられた。その後は、地元の新東通信を代表とする企業グループがマーケティング業務を受託し、会場内の仮設整備を含む会場運営は仏企業の日本法人が担うなど、旧来とは異なる体制になった。

   複数の報道によると、地元公務員も多く運営に携わる中、関係各所との連絡や調整などで研修不足のスタッフが目立ち、想定外の事態に対応する能力も養われていないと指摘された。こうした状況を受け、不手際の連続は「電通外しの代償」との声もある。

   大手代理店依存を断ち切ったことで、〝素人運営〟になってしまった面はあるのかもしれない。しかし、電通が携わった2021年の東京五輪でも、暑さ対策の不備などで選手から不満が出た。大手代理店に頼ったからといって、不手際を防げるとは限らない。

   大手代理店が関われば、汚職や談合の懸念も拭えない。だからこそ、「電通外し」のアジア競技大会となったのだろうが、その結果は厳しいものとなった。

   近年は、ほかの国際イベントでも多くの不手際が表面化している。

   25年の東京世界陸上では、国立競技場と約3キロ離れたサブトラックとの移動や宿泊環境に対して選手から不満が出た。同年の大阪・関西万博では、猛暑下での入場待ちや給水の行列、閉幕間際の予約難などが問題化。大阪メトロ中央線の運転見合わせで帰宅困難者が続出した際には、情報提供や誘導の不備に批判が相次ぎ、運営側が謝罪した。

   こうした状況が続けば、日本の国際的な評判はガタ落ちになってしまうだろう。

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