
山梨県の宿泊市場は、富士山の北麓に施設が集中する一方で、客室数では甲府盆地のビジネスホテル・温泉旅館が厚みを持つという「二つの重心」で成り立っている。本稿では、メトロエンジンリサーチの市町村別データをもとに、山梨県内27市町村の施設分布・推定成約ADR・2026年の新規開業・10〜11月の在庫消化・外国語口コミ比率を一枚の地図と表に整理する。結論を先に述べると、施設数の約6割は富士北麓5市町村に集まるが、客室数では5割弱にとどまる。新規開業も1棟貸しが件数の4分の3を占め、客室数では1割台に過ぎない。価格帯では、富士北麓・甲府盆地ともに推定成約ADR1万6,000〜3万円のアッパーミドル帯の客室が薄く、ここに伸びしろがある。
本記事における指標の定義
ADR(平均客室単価):各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。推定成約ADRの対象はビジネス・シティ・リゾート・旅館・カプセルの5業態で、ペンション・貸別荘・民宿などは含みません。
掲載価格:2名1室利用時の1室あたり料金(税込)・全プラン平均(素泊まり〜食事付きを含む)。本稿では補助指標としてのみ使用します。
OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。本稿では、総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定の集計対象について算出しています。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。
LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。本稿の推定OCCはLT45(宿泊日の45日前)時点の値で比較します。
外国語口コミ比率:各施設の宿泊者口コミに占める日本語以外の口コミの比率(言語判定ベース)。
データ出典:メトロエンジンリサーチ(2026年9月22日時点の集計)
Key Takeaways
— 富士北麓に施設の60.7%(633施設)が集まるが、客室数では48.3%。1施設あたり13.7室に対し甲府盆地は37.1室で、客室の36.7%を甲府盆地が担う
— 2026年10月の推定成約ADRは県全体¥13,000(295施設)。富士吉田市¥16,900・富士河口湖町¥16,600が県水準を3割近く上回り、甲府市は¥11,200
— 2026年の新規開業は60施設・449室で全国8位。貸別荘が46施設(76.7%)を占めるが客室数では72室(16.0%)にとどまり、客室の8割近くはホテル・旅館など9施設が供給
— 10月の平日はLT45時点の推定OCCが9月より上昇(旅館+9.2pt、リゾート+6.4pt、ビジネス+5.8pt)。秋の需要は週末の上積みより平日の前倒しで厚くなる
— 富士北麓の外国語口コミ比率は33.4%で、推定成約ADR¥16,000〜30,000帯の客室は2割程度。眺望を軸にしたアッパーミドル客室が最もはっきりしたホワイトスペース
山梨県の宿泊供給は4つの層に分かれる
メトロエンジンリサーチが追跡する施設のうち、2025年10月〜2026年9月に山梨県内で価格の観測があった施設は1,042施設・18,002室である。これを地理的なまとまりで4層に分けると、富士北麓(富士河口湖町・山中湖村・富士吉田市・鳴沢村・忍野村)が633施設・8,703室、甲府盆地(甲府市・笛吹市・甲斐市・山梨市・甲州市・南アルプス市・韮崎市・昭和町・中央市)が178施設・6,604室、八ヶ岳南麓(北杜市)が153施設・1,556室、峡南・大月ほか(身延町・都留市・道志村・大月市など)が78施設・1,139室となる。
施設数で見ると富士北麓が60.7%を占め、山梨の宿泊市場は「富士山の県」という印象どおりである。しかしながら、客室数では富士北麓の比率は48.3%まで下がり、甲府盆地が36.7%まで存在感を増す。1施設あたりの平均客室数は富士北麓13.7室に対し、甲府盆地は37.1室と2.7倍の規模である。つまり、富士北麓はペンション・貸別荘・小規模旅館が数多く並ぶ「小口の集積」、甲府盆地は駅前ビジネスホテルと石和温泉の大型旅館が客室を支える「大口の集積」という対照的な構造になっている。
円の大きさ=施設数、色=地域層。円をクリックすると施設数・客室数・2026年10月の推定成約ADRを表示。対象:1,042施設・18,002室(過去12ヶ月に価格観測がある施設)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
表1 山梨県の地域層別 施設数・客室数(2025年10月〜2026年9月に価格観測がある施設)
地域層施設数施設数シェア客室数客室数シェア1施設あたり客室
富士北麓(5市町村)63360.7%8,70348.3%13.7室
甲府盆地(9市町)17817.1%6,60436.7%37.1室
八ヶ岳南麓(北杜市)15314.7%1,5568.6%10.2室
峡南・大月ほか(12市町村)787.5%1,1396.3%14.6室
山梨県 計1,042100%18,002100%17.3室
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=1,042施設・18,002室、2025年10月〜2026年9月に価格観測がある施設)
業態別に分解すると、この構造はさらに鮮明になる。県全体では貸別荘・コテージが335施設と最も多いが、客室数は1,049室(5.8%)にとどまる。対照的に、ビジネスホテルは72施設(6.9%)ながら5,430室(30.2%)、旅館は177施設で4,953室(27.5%)を担う。富士北麓に限ると、貸別荘・コテージは256施設と層内の4割を占めるが、客室数は700室で8.0%である。「施設数の多さ=客室数の多さ」ではない点は、エリアの受け入れ能力を見積もるうえで押さえておきたい。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=1,042施設・18,002室)。「その他」はホステル・グランピング・簡易宿所等
市町村別の推定成約ADR — 富士北麓の中核は1.6万円台
次に単価の地図を重ねる。2026年10月の推定成約ADR(調査時点の掲載水準に基づく推定)は、山梨県全体で¥13,000(対象295施設)である。市町村別では富士吉田市¥16,900(18施設)と富士河口湖町¥16,600(72施設)が県平均を3割近く上回り、笛吹市¥14,100(48施設)、山梨市¥14,000(5施設)、北杜市¥13,700(23施設)が続く。甲府市は¥11,200(35施設)、山中湖村は¥11,300(31施設)である。
山中湖村が富士河口湖町より低く出るのは、推定成約ADRの対象がホテル・旅館の5業態に限られるためでもある。山中湖村の掲載施設189のうち推定成約ADRの対象は31施設で、残りの多くはペンション・貸別荘などの対象外業態である。つまり山中湖村の数値は「村内のホテル・旅館の標準水準」であり、村全体の宿泊単価を代表するものではない。この点は北杜市(掲載159施設・対象23施設)も同様である。
推定成約ADRの対象施設が5施設以上の市町村のみ表示。2026年10月は調査時点(2026年9月22日)の掲載水準に基づく推定
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
表2 市町村別の推定成約ADR(2026年8月確定・2026年10月推定、対象5施設以上)
市町村地域層掲載施設推定成約ADR対象2026年8月前年同月比2026年10月(推定)
富士河口湖町富士北麓39172¥19,429-9.3%¥16,622
山中湖村富士北麓18931¥11,927※¥11,253
北杜市八ヶ岳南麓15923¥19,982+12.9%¥13,684
富士吉田市富士北麓8518¥15,926+13.2%¥16,897
笛吹市甲府盆地6848¥15,168-8.4%¥14,127
甲府市甲府盆地4735¥9,198+12.5%¥11,154
身延町峡南・大月ほか2010¥10,101+0.8%¥11,624
南アルプス市甲府盆地249¥8,689-6.0%¥11,240
山梨県 全体—1,132295¥13,610-3.3%¥13,013
掲載施設・推定成約ADR対象は2026年10月の値で、地図・地域層別の集計(過去12ヶ月に価格観測がある施設)とは集計範囲が異なる。2026年8月は確定月、10月は調査時点の掲載水準に基づく推定。※山中湖村は推定成約ADRの対象施設数が前年同月の24施設から31施設へ増えており、前年同月比は対象構成の変化の影響が大きいため表示しない
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
対象施設が5施設未満の町村は参考扱いとする。2026年10月の推定値では、忍野村¥9,400(4施設)、鳴沢村¥10,700(4施設)、甲州市¥17,800(4施設)、大月市¥24,500(2施設)、小菅村¥46,600(2施設)、早川町¥45,100(1施設)、西桂町¥39,800(1施設)などがあるが、1〜4施設の単価は個別施設の価格帯がそのまま表れるため、町村間の比較には使わない。市川三郷町は10月の推定成約ADRの対象施設がない。
なお、掲載価格(全プラン平均)は県全体で¥33,800と、推定成約ADRの約2.6倍の水準にある。倍率は甲府市1.5倍、富士吉田市2.1倍、北杜市2.2倍、富士河口湖町2.5倍、笛吹市2.6倍、山中湖村2.6倍で、夕朝食付きプランや大人数向けの客室が多い観光地ほど掲載価格が高めに出る。山梨の場合、この差は単価の割高感ではなく、食事付き・多人数型の商品構成を反映したものと読むのが妥当である。
県全体の月次推移 — 冬・春に伸び、夏は前年並みから小幅下回る
山梨県全体の推定成約ADRを年ごとに重ねると、8月が年間のピークとなる季節形状は2024年から変わっていない。2026年は1月が前年同月比+15.1%、2月+3.4%、3月+3.1%と年初に伸びた一方、7月は-6.4%、8月は-3.3%と、夏は前年をやや下回った。9月以降の推定値(調査時点の掲載水準に基づく)は、10月¥13,000、11月¥13,600と前年同月を上回る位置にあり、12月¥13,600は前年並みである(確定月と推定月では算出の基準が異なるため、比較は参考値)。
山梨県・全業態(推定成約ADRの対象5業態)。2026年9〜12月は調査時点の掲載水準に基づく推定(破線)。対象施設数は各月253〜308施設
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
業態別では、2026年10月の推定値でリゾートホテル¥21,000(59施設)、旅館¥13,200(161施設)、ビジネスホテル¥11,300(72施設)である。ビジネスホテルは前年10月の¥7,800から水準が上がっており、甲府市の10月推定値¥11,200(前年10月¥7,400)と合わせて、甲府盆地の宿泊特化型が秋の観光需要を取り込み始めていることがうかがえる。
2026年の新規開業は60施設で全国8位、うち4分の3が1棟貸し
メトロエンジンリサーチがOTA掲載を確認した2026年の新規開業は、全国で1,592施設、山梨県は60施設で北海道・東京都・沖縄県・静岡県・京都府・長野県・福岡県に次ぐ全国8位である。全国では貸別荘が773施設と48.6%を占めるが、山梨県では46施設・76.7%とその比率がさらに高い。富士山を望む1棟貸しや、愛犬・サウナなどテーマを持つ小規模ヴィラの開業が相次いでいる。
ところが客室数で数え直すと、景色は一変する。山梨県の2026年開業60施設の合計は449室で、貸別荘46施設は72室(16.0%)にとどまる。対して、リゾートホテル3施設が181室(40.3%)、ビジネスホテル2施設が94室(20.9%)を占め、ホテル・旅館・ホステル・グランピングの9施設で358室(79.7%)を供給している。代表例は、笛吹市石和温泉のリブマックスリゾート石和温泉(136室)、ホテル富士トリイゲート(54室)、HOTEL R9 The Yard 南アルプス(40室)である。件数の見出しは1棟貸しが作り、客室数の実体はホテルが作るという二重構造である。
※OTA掲載確認ベース。掲載は開業の数ヶ月前から出るため、直近以降の月は今後の掲載で増加する可能性あり(2026年9月22日時点)
出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、N=60施設・449室)
1棟貸しの増加は、グループ・ファミリー・長期滞在といった、ホテルの標準客室では取り込みにくい需要の受け皿を広げている。一方で、客室供給として地域の収容力を押し上げるのは依然としてホテル・旅館側であり、富士北麓の繁忙日の受け入れ能力を考える際には、件数ではなく客室数で積み上げる必要がある。
10〜11月の在庫消化 — 秋は平日の前倒しが進む
富士山の眺望と紅葉が重なる10〜11月の在庫消化を、宿泊日の45日前(LT45)時点の推定OCCで確認する。同じLTで揃えることで、宿泊日ごとの「早めに埋まる度合い」を比較できる。対象はOTA掲載が総客室の30%以上の施設で、10月は402〜410施設・客室10,217〜10,336室(主要予約サイト掲載ベース)である。
10月の宿泊日(31日分)のLT45推定OCCの平均は、リゾートホテル74.1%、旅館66.8%、ビジネスホテル60.1%である。注目したいのは平日(月〜木、祝日除く)で、9月8〜30日の平日と比べてリゾートホテルは65.2%→71.6%(+6.4pt)、旅館は55.0%→64.2%(+9.2pt)、ビジネスホテルは50.2%→56.0%(+5.8pt)と、3業態そろって上がっている。土曜日はいずれの月も71〜79%台で大きな差はなく、秋の山梨は「週末の上積み」よりも「平日の前倒し」で需要が厚くなる構造である。
LT45時点の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の平均。平日=月〜木(祝日を除く)。対象:9月=393〜410施設・10,181〜10,437室、10月=402〜410施設・10,217〜10,336室、11月1〜5日=405〜408施設・10,279〜10,319室(主要予約サイト掲載ベース)。業態別の施設数はリゾート30〜32施設、旅館90〜95施設、ビジネス42〜46施設
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
日別に見ると、リゾートホテルは10月16日(金)〜25日(日)の10日間、LT45時点で75〜87%台が続き、10月23日(金)は86.7%に達した。紅葉の見頃に向けて、湖畔・高原のリゾートから先に在庫が消化されていく様子が読み取れる。11月1〜5日(参考、5日分)もリゾートホテルは平均76.4%と高い。なお、富士河口湖町観光情報サイトによると「富士河口湖紅葉まつり」は11月7日(土)〜29日(日)の開催で、これらの宿泊日はまだLT45に達しておらず、本稿の集計には含まれていない。
宿泊日別のLT45時点推定OCC(OTA掲載在庫ベース)。対象は上図と同じ。LT45より前の観測は用いていない。宿泊日の30日以上先の日程は予約が進行中であり、最終的な稼働を示すものではない
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
10月3連休の日別の動きは山梨県・10月3連休のブッキングカーブで、お盆期の業態差は山梨のお盆のブッキングカーブ比較で詳しく取り上げている。
富士北麓は口コミの3分の1が外国語
観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年確定値)によると、山梨県の延べ宿泊者数は993万6,000人泊、うち外国人延べ宿泊者数は275万1,000人泊で、外国人比率は27.7%と全国(27.2%)並みである(施設タイプ別の全国の外国人比率は旅館の外国人比率12.9%、シティホテル47.2% — 施設タイプ別に見る1億7,992万人泊を参照)。ところが県内を地域層で分けると、インバウンドの分布は大きく偏る。
ホテルバンク編集部が集計した山梨県内933施設・74,389件の口コミのうち、外国語の口コミは16,397件(22.0%)である。富士北麓は41,067件中13,732件で33.4%に達し、富士河口湖町単独では38.4%、富士吉田市は30.3%である。対して甲府盆地は8.7%、八ヶ岳南麓は6.0%、峡南・大月ほかは7.8%にとどまる。県の外国人宿泊の多くを富士北麓が受け止めていることが、口コミの言語構成からも裏付けられる。
外国語口コミ比率(言語判定ベース、2026年9月時点の集計)。N=富士北麓555施設・41,067件、甲府盆地169施設・22,097件、八ヶ岳南麓141施設・6,656件、峡南・大月ほか68施設・4,569件
出典:ホテルバンク編集部調べ
何が評価されているかも言語によって異なる。直近24ヶ月(2024年10月〜2026年9月)の山梨県の口コミを分析すると、客室からの眺望への言及率は日本語の口コミ(118,569件)で13.0%なのに対し、英語(27,449件)では35.1%、繁体字中国語(5,391件)では42.8%、タイ語(1,606件)では36.0%に上る。日本語の口コミで最も多いのは食事への言及(23.2%)であり、国内客は「食」、訪日客は「富士山の見える部屋」に価値を見いだす傾向が読み取れる。客室の眺望を商品名・客室タイプとして明示することは、訪日客の多い富士北麓で特に効きやすい打ち手といえる。
価格帯のホワイトスペース — 1.6万〜3万円帯の客室が薄い
最後に、推定成約ADRの対象業態(ホテル・旅館)で、過去12ヶ月のうち6ヶ月以上推定値がある276施設・12,536室を、各施設の月次推定成約ADRの中央値で価格帯に分けた。客室数ベースで見ると、富士北麓は¥8,000〜12,000の帯に31.3%、¥12,000〜16,000に18.5%が集まる一方、¥16,000〜20,000は9.0%、¥20,000〜30,000は10.9%と、アッパーミドル帯の客室は合わせて2割程度である。¥50,000以上は2.3%とさらに少ない。
甲府盆地はより低価格帯に寄っており、¥12,000未満が70.2%を占め、¥16,000以上は16.1%にとどまる。石和温泉の旅館と甲府駅周辺のビジネスホテルが客室の大半を担うためで、裏を返せば、秋の平日消化が進み、ビジネスホテルの10月推定値も前年から上がっている甲府盆地には、上位価格帯の商品を積み上げる余地がある。
表3 地域層別・推定成約ADR帯別の客室数(2025年10月〜2026年9月の月次中央値で区分)
推定成約ADR帯富士北麓甲府盆地八ヶ岳南麓(参考)峡南・大月ほか(参考)
¥8,000未満628室(12.2%)1,915室(31.9%)67室248室
¥8,000〜12,0001,608室(31.3%)2,296室(38.3%)83室384室
¥12,000〜16,000954室(18.5%)823室(13.7%)99室45室
¥16,000〜20,000462室(9.0%)355室(5.9%)61室0室
¥20,000〜30,000560室(10.9%)301室(5.0%)46室104室
¥30,000〜50,000815室(15.8%)289室(4.8%)38室45室
¥50,000以上117室(2.3%)21室(0.4%)172室0室
合計111施設・5,144室115施設・6,000室21施設・566室29施設・826室
対象:推定成約ADRの対象業態で、2025年10月〜2026年9月のうち6ヶ月以上推定値がある276施設・12,536室。各施設の月次推定成約ADRの中央値で区分。八ヶ岳南麓・峡南・大月ほかは施設数が少ないため参考値
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
富士北麓では、外国語口コミが3分の1を占め、眺望への評価が特に高い。リゾートホテルは秋の平日でもLT45時点で7割超が消化されている。それでも¥16,000〜30,000帯の客室は2割程度しかなく、1棟貸しの新規開業は件数こそ多いものの客室数では1割台にとどまる。「富士山が見える中規模のアッパーミドル客室」は、需要側の条件がそろいながら供給が薄い、県内で最もはっきりしたホワイトスペースである。
まとめ
山梨県のホテル市場は、施設数で見れば富士北麓の一極、客室数で見れば富士北麓と甲府盆地の二極である。2026年の新規開業60施設は全国8位の勢いだが、その4分の3は1棟貸しで、客室供給の8割近くはホテル・旅館などの9施設が担っている。10月は3業態とも平日の在庫消化が9月より早く進んでおり、秋の需要は週末から平日へ広がっている。
価格帯の地図から見えるのは、富士北麓の推定成約ADR1万6,000〜3万円帯と、甲府盆地の1万6,000円以上帯という二つの伸びしろである。前者は訪日客の眺望ニーズと、後者は秋の平日需要の広がりと結びつけやすい。施設数ではなく客室数で、単価ではなく価格帯の厚みで地図を読み直すことが、山梨の次の一手を考える出発点になるだろう。
よくある質問
Q. 山梨県でホテル・宿泊施設が最も多い市町村はどこですか?
A. メトロエンジンリサーチの集計(過去12ヶ月に価格観測がある施設)では富士河口湖町が349施設・4,858室で最多です。山中湖村180施設、北杜市153施設が続きます。客室数では富士河口湖町に次いで甲府市(2,768室)、笛吹市(2,373室)が多くなります。
Q. 山梨県のホテルの平均単価(ADR)はいくらですか?
A. 2026年10月の推定成約ADR(調査時点の掲載水準に基づく推定)は県全体で約13,000円です。富士吉田市は約16,900円、富士河口湖町は約16,600円、甲府市は約11,200円です。
Q. 2026年に山梨県で新しく開業した宿泊施設は何軒ですか?
A. OTA掲載確認ベースで60施設(449室)、全国8位です。うち46施設が貸別荘ですが、客室数ではホテル・旅館など9施設が358室と8割近くを占めます。
Q. 山梨県の宿泊客に占める外国人の割合は?
A. 観光庁の2025年確定値で延べ宿泊者数の27.7%です。口コミの言語構成では、富士北麓の外国語口コミ比率が33.4%と、甲府盆地(8.7%)や八ヶ岳南麓(6.0%)を大きく上回ります。
⚠ 将来日程のADR・稼働率に関する注意:2026年9月以降の推定成約ADRおよび10〜11月の推定OCCは、調査時点(2026年9月22日)でOTAに公開されている販売価格・在庫に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。本記事のADRは推定値(REIT開示実績との照合で誤差中央値約7%)です。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが収集するOTA公開の価格・在庫データ(市町村別の推定成約ADR・掲載価格、LT45時点の推定OCC、OTA掲載確認ベースの新規開業)と、ホテルバンク編集部が集計した宿泊者口コミの言語構成。県全体の外国人比率は観光庁「宿泊旅行統計調査」(2025年確定値)による。集計は2026年9月22日時点。
■ 試算前提
推定成約ADRは各施設の最安プラン水準(2名1室・税込)に業態別の補正係数を適用した推定値(税抜相当)で、エリア値は対象施設の中央値。2026年9月以降は調査時点の掲載水準に基づく推定。地域層は富士北麓5市町村・甲府盆地9市町・八ヶ岳南麓(北杜市)・峡南・大月ほか12市町村の4区分。価格帯の区分は、2025年10月〜2026年9月のうち6ヶ月以上推定値がある施設の月次中央値による。
■ 限界・留意点
推定OCCはOTA販売在庫に基づく推定で、施設全体の実稼働率とは異なる。推定成約ADRはペンション・貸別荘・民宿などを含まないため、山中湖村・北杜市などでは地域全体の単価を代表しない。対象施設が5施設未満の町村は参考値。新規開業は掲載確認ベースのため、直近月は今後の掲載で増える可能性がある。口コミの言語構成は宿泊者の国籍構成そのものではない。
■ 出典
