【舛添直言】欧州を覆う「極右」の台頭、民主主義の安定は揺らぎ始めているのか
![]()
舛添 要一
国際政治学者
著者フォロー
フォロー中
2026.9.26(土)
9月21日、ドイツ・ベルリンの州議会選挙後、メディア対応に臨むAfD共同党首のアリス・ワイデル氏(右)と同ティノ・クルパラ氏(写真:ロイター/アフロ)
ドイツで9月20日に行われた2つの州議会選挙では、旧東ドイツの州で移民排斥をうたう極右のAfD(ドイツのための選択肢)が躍進した。また、都市州ベルリンでは、急進左翼の「左派党」が勝利した。極右と極左が躍進するという政治情勢は、ヒトラーが政権を獲得する直前のワイマール共和国に似ている。ナチス時代の再来はあるのか。
続くAfDの躍進
旧東独のメクレンブルク・フォアポンメルン州では、AfDが得票率38.2%で第1党となった。2021年の前回選挙よりも21.5ポイント上昇している。
SPD(社会民主党)が35.5%(前回比-4.1ポイント)、左派党が6.5%(-3.4ポイント)、緑の党が5.7%(-0.6ポイント)、CDU(キリスト教民主同盟)は、得票率4.9%(-8.4ポイント)で5%に達せず、議席を失った(議席を得るには5%以上の得票が必要である)。
CDUが州議会選挙で議会進出を逃したのは、戦後のドイツ連邦共和国で初めてである。
BSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)が4.8%、FDP(自由民主党)が1.0%(-4.8ポイント)である。
SPDは、AfDを警戒する有権者の受け皿となったようである。
AfDが第1党になるのは、チューリンゲン州、ザクセン・アンハルト州に続いて三番目の州となる。この三州はいずれも旧東ドイツの州であり、東西格差への不満もAfD支持を押し上げる背景の一つになっていると考えられる。
ベルリンでは、左派党が25.7%(前回の2023年より13.4ポイント上昇)の得票率で、第1党になった。CDUは18.8%(-9.5ポイント)で第2位、AfDは16.3%(+7.2ポイント)で第3位であった。次いで、緑の党が14.3%(-4.1ポイント)、SPDが12.1%(-6.3ポイント)、BSWが4.7%、FDPが2.5%(-2.1ポイント)であった。
今後は、メクレンブルク・フォアポンメルン州でもベルリンでも連立政権交渉が始まるが、主要政党は、AfDとの連立を拒否している。どのような政権になるかは、注目に値する。
以上の結果を受けて、メルツ首相に対する辞任圧力が強まっているが、メルツは「大惨事だ」と述べたものの、続投の決意を表明している。
9月21日、ベルリンとメクレンブルク・フォアポンメルン州で行われた州議会選挙後、ベルリンのキリスト教民主同盟(CDU)本部で記者会見に臨んだメルツ首相(写真:AP/アフロ)
ギャラリーページへ
