A US Navy handler assigned to the Marine Mammal Company's explosive ordnance disposal unit rewards a bottlenose dolphin following a training event at Joint Expeditionary Base Little Creek-Fort Story, Va., on June 8, 2010.米海軍の海洋哺乳類中隊・爆発物処理部隊に所属するハンドラーが、訓練を終えたバンドウイルカに褒美を与えている様子。 Petty Officer 1st Class Bruce Cummins/US Navy5月初旬、国防総省の記者会見で「軍用イルカ」をめぐる質問が飛び出し、普段とは異なる展開となった。ペンタゴン幹部は、イランがこうした戦力を保有しているとの報道を否定した。アメリカ軍は長年にわたり、海上監視や機雷探知の目的でイルカを活用してきた。

5月初旬の朝、ペンタゴン(米国防総省)の幹部らは記者会見で、ある記者から異例の質問を受けた。イラン軍が「軍用イルカ」を活用しているとの報道について、事実関係の確認を求めるものだった。

以前からあった「軍用イルカ」の噂

「特攻イルカの話は聞いたことがない」と、統合参謀本部議長のダン・ケイン(Dan Caine)大将は答え、それは「レーザービームを取り付けたサメ」のようなものか?と言った。それは2000年代初頭の映画『オースティン・パワーズ』のセリフをもじった皮肉だった。

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ピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官は、「我々が特攻イルカを保有しているかどうかについては、肯定も否定もできない」と補足しつつ、「ただし、彼らが持っていないことは断言できる」とイラン側に関して語った。

4月下旬、イランが米軍艦に対して潜水艦から機雷運搬用のイルカに至るまで幅広い能力を行使する脅威が存在している、とウォール・ストリート・ジャーナルが報じて以来、「特攻」を担うイルカに関する議論がオンライン上で広まっていた。

イランの「軍隊イルカ」をめぐる噂は、実は20年以上前から存在する。

発端は、旧ソ連海軍のために艦船や戦闘ダイバーを攻撃するよう訓練されたイルカを、イラン政府が買い取ったという報道だった。

米軍は1950年代からイルカを活用してきた

イラン軍の戦闘能力のなかにイルカは含まれていないかもしれないが、アメリカ軍は海洋哺乳類と長い歴史を歩んできた。こうした動物は、水中の機雷の位置を特定したり、敵のダイバーの接近をハンドラーに知らせたりする任務に非常に適しているからだ。イルカは極めて知能が高い動物であり、鋭敏な体内ソナー(音波探知機)を備えていることから、優れた哺乳類センサーとして機能する。

アメリカはバンドウイルカを訓練し、機雷探知から港湾防衛まで、幅広い軍事任務に投入し、1950年代後半以降、さまざまなミッションで彼らを活用し続けている。

例えば、1970年代初頭にはベトナムで陸軍の桟橋を守るために、ごく少数のイルカが短期間活用された。また、1980年代のタンカー戦争(イラン・イラク戦争期にペルシャ湾で発生した一連の船舶攻撃)の際には、米海軍艦艇の防護を支援するため、バーレーンの米軍基地からイルカが派遣されている。

1996年にサンディエゴで開催された共和党全国大会では、海上警備のためにイルカが起用された。その7年後の2003年にも、イラク侵攻を控えたペルシャ湾で米軍のために機雷除去任務に当たるなど、再び実戦に投入されている。

2015年、カリフォルニア州サンディエゴにある宇宙・海軍戦闘システム司令部(Space and Naval Warfare Systems Command)の米海軍海洋哺乳類プログラムはBusiness Insiderの取材に対し、このプログラムで85頭のイルカと50頭のアシカの訓練を統括していることを明かした。現在、何頭が同プログラムに参加しているかは定かではない。

米軍は、重要な探知・防護任務における「軍用動物」としてのイルカの価値を広く認めてきた。その一方で、イルカが敵のダイバーを殺害するよう訓練されているという報道に対して、米海軍は一貫して異議を唱えている。

米海軍が当時イルカプログラムの一部を停止する決定を下したことに関する1990年のニューヨーク・タイムズの記事は、元トレーナーたちの証言として、一部の哺乳類が鼻先に取り付けた銃や爆発物で殺害を行うよう訓練されていたと報じた。当時の海軍報道官はこれに対し、イルカは監視、物体の探知、位置の特定、マーキング、回収だけに活用されていると説明した。

「我々は動物に人間を殺すような訓練はしていない」と、その報道官は語った。

このタイムズ紙の記事以降も、同様の主張が繰り返されてきた。タイタニック号を発見したことで知られる著名な海洋探検家ロバート・バラード(Robert Ballard)氏は、2021年に出版した回顧録のなかで、「ベトナムで敵のダイバーを殺すためにイルカを訓練する」件で打診を受けたと記している。バラード氏によれば、「動物をそのような立場に置くのは正しいこととは思えなかった」ため、その依頼を断ったという。

また、ある元特殊作戦隊員は2023年、Business Insiderの取材に対し、イルカが訓練でネイビー・シールズ(米海軍特殊部隊)などの部隊を相手に防御役を担い、「敵」役の戦闘ダイバーを「殺害」あるいは捕獲しようとしていたと証言した。これは、敵対勢力のイルカやその他の軍用動物と遭遇する事態に備えた訓練だったという。

2022年、米海軍は海洋哺乳類システム(Marine Mammal Systems)プログラムを閉鎖し、イルカやアシカを使って水中機雷の発見・無力化にあたる任務を終了することを検討した。代わりに、高度なセンサーや無人潜水機への依存度を高める計画だった。

しかし結局、テクノロジーはまだイルカの能力を凌駕するところまで進化していないという判断が下された。米海軍のこのプログラムは現在も継続しており、太平洋海軍情報戦センター(Naval Information Warfare Center Pacific)の偵察・阻止部門の管轄下で、探知任務に重点を置いて運営されている。

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