NASA(アメリカ航空宇宙局)とロシアの国営宇宙企業Roscosmos(ロスコスモス)は2026年6月、ISS(国際宇宙ステーション)で発生している空気漏れ問題の最新状況を明らかにしました。

ISSのロシア区画で確認された空気漏れの増加に対応する作業の実施にともなって、安全確保のために宇宙飛行士が一時的に宇宙船へ退避したものの、その後は通常の運用に戻るとともに、引き続き修復作業が進められています。

2021年11月に撮影されたISS(国際宇宙ステーション)の外観(Credit: NASA)【▲ 2021年11月に撮影されたISS(国際宇宙ステーション)の外観(Credit: NASA)】漏れの増加と一時的な退避措置

NASAによると、2026年6月1日の週に、ISSロシア区画のサービスモジュール「Zvezda(ズベズダ)」の後部にドッキングしている補給船「Progress(プログレス)MS-34」で荷物作業が行われました。

この時、Zvezda後端の移送チャンバー(PrK)と呼ばれるトンネル構造からの空気漏れが、1日あたり2ポンド(約0.9kg)に増加していることが確認されるとともに、空気の漏えいが起きていると疑われる箇所が新たに2つ特定されました。

新たな漏えいの可能性を受けて、Roscosmosはより広範囲の検査と構造の修復を決定しました。ただ、漏えいの疑いがある箇所へアクセスしやすくするためには、ブラケット(支持具)の一部を切断する必要があり、この作業によってリスクが高まる可能性がありました。

そこでNASAは、現在ISSに滞在している宇宙飛行士のうち、作業に携わらない「Crew-12(クルー12)」ミッションの4名と、ロシアの宇宙船「Soyuz(ソユーズ)MS-28」でISSに到着したNASAのChris Williams宇宙飛行士に対して、作業中の安全確保のために、Crew-12の宇宙船「Crew Dragon(クルードラゴン)」の船内へ退避するよう指示を行いました。

その後、6月5日にRoscosmosは作業を一時中断して追加の測定とデータの評価を行うことを決定したため、宇宙飛行士の安全確保のための退避も終了したということです。Roscosmosによると、2箇所のうち1箇所はシーリング材を用いて速やかに塞がれており、6月6日時点では残る1箇所を塞ぐための準備が進められています。

ISSロシア区画のサービスモジュール「Zvezda(ズベズダ)」の側面図とスペック(ロシア語)。側面図は左がISS前方で、移送チャンバーは右側の茶色い部分の内側にあるトンネル構造を指す(Credit: Roscosmos)【▲ ISSロシア区画のサービスモジュール「Zvezda(ズベズダ)」の側面図とスペック(ロシア語)。側面図は左がISS前方で、移送チャンバーは右側の茶色い部分の内側にあるトンネル構造を指す(Credit: Roscosmos)】長期化するZvezdaモジュールの空気漏れ

ISSのロシア区画では、Zvezdaの移送チャンバーからの小規模な空気漏れが2019年から続いています。これまでNASAとRoscosmosは共同で根本的な原因の特定に努めており、シーリング材による漏えいの緩和や継続的な監視が行われてきました。

今回の漏えい率増加についてRoscosmosは、宇宙飛行士の安全や船内のシステムへの脅威ではなく、ISS船内の気圧は規定のレベルで安定して維持されている点を強調しています。NASAは今後について、ロシア側のチームやほかの国際パートナーとも引き続き協力して、問題の解決に向けた評価を継続するとしています。

2030年の運用終了まであと3年半となったISSですが、モジュールの老朽化対策は重要な課題のひとつであり、今後の対応が引き続き注目されます。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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