宇宙関連サービスを展開するSpace BD株式会社は2026年5月11日、和歌山県立田辺工業高等学校で、宇宙産業人材実践型育成プログラム「HURDLES(ハードルズ)」を提供すると発表しました。和歌山県の令和8年度予算事業「成長産業を支える人材育成事業」を受託して実施される取り組みです。

これまで「HURDLES」は主に大学や企業向けに展開されてきましたが、高校の教育現場に導入されるのは今回が初の事例となります。田辺工業高校の高校3年生を対象とした「課題研究」の授業に組み込まれ、超小型人工衛星の開発を題材とした実践的な教育が行われます。

和歌山県の紀南地域には民間小型ロケット発射場があり、宇宙産業との関わりが深まっています。今回のプログラム導入は、地域に宇宙教育を根付かせ、将来の産業を支える人材育成につなげる狙いがあります。

衛星開発を題材に、設計から試験まで学ぶ

田辺工業高校で実施される授業では、衛星開発のプロセス全体を学んだうえで、ミッションの定義、要求事項の整理、衛星システムの設計、衛星実機の一部設計・製造実習、機能試験・評価、最終成果報告まで、衛星開発の流れに沿った工程に取り組みます。

Space BDによると、プログラムでは工業分野の基礎的な技術に加え、未知の課題に取り組むための技術力やプロジェクト推進力の育成を目指すということです。

また、本事業では単年度のカリキュラム提供にとどまらず、2026年度以降も同校の教員が同様の教育を継続できるよう、授業の計画や実行に関するノウハウも共有されます。

和歌山県立田辺工業高等学校の教員とSpace BDの社員(Credit: Space BD)【▲ 和歌山県立田辺工業高等学校の教員とSpace BDの社員(Credit: Space BD)】宇宙産業人材の育成を地域へ広げる

「HURDLES 衛星システム開発編」は、衛星市場の拡大に伴って不足が指摘される宇宙産業人材の育成を目的としたプログラムです。内閣府が発行する「宇宙スキル標準」に準拠し、CubeSatをコンセプトに衛星開発のノウハウを体系化しています。

Space BDは、人工衛星の取り扱いや国際宇宙ステーション(ISS)をはじめとする宇宙空間利用の支援、教育・人材育成事業などを展開しています。2026年1月時点で、衛星取り扱い数は100件超、宇宙空間での実験実績は620件超にのぼるとしています。

民間小型ロケット発射場がある地域で、工業高校の生徒が衛星開発の流れに触れる今回の取り組みは、宇宙ビジネスを支える人材の裾野を広げる一歩となりそうです。

 

文・編集/sorae編集部

参考文献・出典

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