(CNN) 地球の大気に由来する粒子が太陽風によって宇宙空間へと運ばれ、数十億年にわたり月面に着地し続けていた――。昨年12月、そんな研究結果が発表された。これらの粒子は月面の土壌と混ざり合ってきたという。

この研究を受け、一つの謎に新たな光が当たった。その謎とはアポロ計画が月面サンプルを持ち帰って以降半世紀以上続くもので、当該のサンプルに水、二酸化炭素、ヘリウム、窒素といった物質の痕跡が含まれていたというものだ。

初期の研究の理論では、これらの物質の一部は太陽が起源だとされていた。しかし2005年、東京大学の研究者らはそれらが若い地球の大気に由来する可能性もあると示唆。約37億年前に磁場を形成する以前の地球であれば、そうした現象が起こり得ると説いた。著者らは、磁場が形成されると粒子を閉じ込めて宇宙への放出が困難または不可能になるので、この流れが遮断されたのではないかと推測していた。

今回の研究はこの想定を覆すもので、地球の磁場については大気由来の粒子が月へ移動するのを阻害するのではなく、むしろ促進した可能性を示唆する。この移動は現在も続いているという。

「これが意味するのは、地球が酸素や窒素などの揮発性ガスを月面土壌へ常に供給し続けてきたということだ」。今回の研究の共著者であり、米ニューヨーク州ロチェスター大学の物理学・天文学教授を務めるエリック・ブラックマン氏はそう述べる。

1972年、月面でサンプルを採取するアポロ17号の月着陸船パイロット、ハリソン・シュミット/NASA
1972年、月面でサンプルを採取するアポロ17号の月着陸船パイロット、ハリソン・シュミット/NASA

「月は原始地球への小惑星の衝突によって当初形成されたと長い間考えられてきた。その過程でこうした揮発性物質の初期段階の混合が大規模に起こった。物質は地球から月へ移動して混ざり合った」と、同氏は電子メールで付け加えた。「我々の研究結果は、揮発性物質の共有が依然として続いていることを示す。何十億年を経てもなお」

月面における酸素や水素などの有用な元素の存在は、月探査への関心を引き起こすかもしれない。

「月探査に加え、最終的には月面のコロニーがいつの日か実現する可能性がある。その時には自給自足型の資源が必要になる公算が大きい。地球から運搬しなくてすむ環境を整えなくてはならなくなるだろう」とブラックマン氏は指摘する。

「例えば、月面のレゴリス(表土)に処理を施して得た水から水素と酸素を抽出し、燃料を作る方法が研究されている。また太陽風によって月へ運ばれた窒素を活用するアンモニアベースの燃料の研究もある。太陽風が運んだこうした物質は土壌に浸透し、現地の資源の一部になる。それを種々の革新技術によって活用するというわけだ」

貴重な化学的記録

この研究では、研究者らはコンピューターシミュレーションを用い、二つのシナリオを検証した。一つは強力な太陽風(太陽から放出される高速粒子流)が存在し、地球周囲に磁場がない状態。もう一つは太陽風が弱く、地球周囲に強力な磁場が存在する状態だ。これらのシナリオは、おおむね太古と現代の地球の状態に対応している。検証の結果、現代の地球シナリオが地球大気の一部を月へ移送する上で最も効果的であることが判明した。

その後、研究者たちは、当該の結果とこれまでの研究で月面土壌の分析から直接得られたデータとを比較した。

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