土田陽介のユーラシアモニター
【土田陽介のユーラシアモニター】ジェット燃料危機とカザフ産原油停止が突きつける、日本への警告
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土田 陽介
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員
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2026.5.3(日)
カザフスタン原油をドイツに送っているドルジバ・パイプライン(写真:ロイター/アフロ)
ドイツ最大手の経済紙ハンデルスブラットは4月20日、ドイツのカテリーナ・ライヒェ経済・エネルギー相が航空業界や製油所の関係者らとの会合後、ドイツ国内ではジェット燃料不足は生じないと述べたと報じた。しかし翌週の27日、同紙はドイツが5月にも深刻な燃料不足に陥ると航空業界が危機感を強めていると報じた。真逆だ。
日本も同様だが、今次のイラン発のエネルギーショックに関しては、政府と現場の認識に著しいギャップが生じているように見受けられる。現場の危機感は非常に強く、例えば、ドイツ最大の航空会社であるルフトハンザドイツ航空はジェット燃料不足を理由として、10月までに国内の不採算路線を中心に2万便を減便する方針を示している。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)のデータより、2024年時点のEU27カ国のジェット燃料(ケロシン型)の調達先を確認してみると、その27%をクウェートとアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアといった中東3カ国から輸入していることが確認できる。少なくともこの分が、今回のショックで入手できなくなったようだ。
【図表 EUのジェット燃料調達先 (注)上位10位まで (出所)ユーロスタット】
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一方、国際エネルギー機関(IEA)は4月16日付のレポートで、欧州がジェット燃料の75%を中東産に依存していると指摘している。航空機は発着地のみならず、到着地でも給油する。それに国際線の場合、利用するジェット燃料の量も多くなる。こうしたことを加味した実質的な中東産ジェット燃料への依存度は75%にも達するようだ。
ライヒェ経済・エネルギー相は、原油そのものはノルウェーや米国、そしてカザフスタンなどから安定供給されているから、ドイツ国内でもジェット燃料を精製できると説明していた。ただ、その発言のすぐ後に、今度はロシアが技術的な理由として、ドルジバ・パイプラインを通じたカザフ産原油のドイツへの供給を停止すると発表する事態となった。
