土佐和紙作りの技法をいかした商品開発に挑戦する企業が高知県土佐市にあります。
根底にあるのは、伝統を残したいという思いです。

清流・仁淀川の澄んだ水に恵まれ、古くから土佐和紙づくりが盛んな土佐市。
この地で和紙づくりの技術を活かしたさまざまな商品開発に挑戦する三昭紙業です。

キッチンぺーパーやウェットティッシュ、介護用不織布に化粧品など暮らしに欠かせない日用品を製造・販売しています。
これらの商品に共通して使われているのは土佐和紙の製造技術をいかした「不織布」です。

2027年に創業60年を迎える三昭紙業。40年前、土佐和紙の需要が徐々に減っていくなかで、新たな道を模索していました。

■三昭紙業・鈴木相談役
「私の人生の中はほぼずっと紙に携わってきてやっぱり時代の流れに合ったものを作っていくというそのままでは紙も消費者も暮らし方が変わってくるのでそれにちょうど寄り添える紙を作り出していくということに先人から努力をしてきたという流れがある」

そこで開発されたが、土佐和紙づくりの技術を活かした「不織布」です。

保水の役割があるパルプ層を肌触りの良いレーヨンでサンドして厚みを出すことで保水力と強さを確立した不織布。この不織布に「土佐和紙をすく技術」が応用されています。

和紙は職人による手すきで水の中で繊維を絡ませ、一枚の紙を作りますが、三昭紙業では仁淀川の伏流水を高圧でパルプに当てる独自の技術でその動きを再現して不織布を作っています。
この技術は県内だけでなく全国でも珍しい、独自の製法です。

独自の技術でつくられた不織布は地元の商店でも使われています。鮮魚店では不織布のキッチンペーパーを店頭に並ぶ魚の下に敷いたり発送用の冷凍商品を包むのに使っています。

■さかなの森澤・森澤祐太 店主
「ずっと10年以上使っている。違う 何が一番違うかと言ったら魚に繊維がつかない それが一番大きい 吸水率も高いので使い勝手がいい」

その吸収率を市販のキッチンペーパーと比べてみました。
色付きの水を染み込ませ、吸水力の違いを見ていきます。水を入れた直後から、すでに吸水力に差が出ていますが、さらに。

■樺山アナウンサー
「では10分ほど経過しましたが全然違う こんなに違うもの?」「不織布の製法でこんなに差が出る」

三昭紙業がこだわるのは、人々の暮らしに寄り添う商品作りです。

そのこだわりを体験させてもらいました。こちらは先月発売したばかりのボディシートです。

■樺山アナウンサー
「大きい 顔隠れちゃうくらい 普通のボディシートをイメージしてたから。大きさも普通のボディシートより大きめに設定 さらに厚みを持たせて一枚で全身拭ける。厚みもすごいし本当に紙なのかと思うくらい むしろタオルくらいの感じがする それくらいしっかりしている」

伝統の土佐和紙づくりの技術を大切にしながら新たな商品を生み出していく三昭紙業。
土佐和紙の文化を絶やさないための活動にも力を入れています。

工場の敷地内にある楮畑です。

3月に刈り取りが終わり、今は切り株から芽が生えている状態です。高さ5、6メートルに大きく育った楮。三昭紙業では地域の楮生産を守りたいと、10年前から楮を自社で育てています。

楮栽培担当の山本翔さんです。

■グリーンアグリ担当 山本翔さん
「中山間地域でも育てている方が少なくなってきてピークの何十分の一という話も聞いているが楮が無くなったら三大和紙の土佐和紙の文化も無くなっていってしまうと思うのでそれを守るというか少しでも貢献できたらという思いでいまやっている」

三昭紙業のグループ会社では現在、楮を使った糸を開発していて、その糸を活用した新たな商品づくりに取り組んでいます。子どもの頃から土佐和紙が身近だったという相談役の鈴木さん。鈴木さんにとって土佐和紙とは。

■鈴木相談役
「人生の友。ボンボヤージュという言葉が好きで常に新しい世界に暮らしに合う紙を作り続けるというのが自分たちの務め」

高知が世界に誇る土佐和紙。技術の継承が課題となる中、三昭紙業は伝統と新たな技術を融合させていまの暮らしに寄り添った商品を作り続けます。

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