ホワイトハウスでの記者会見で質問に答えるトランプ米大統領=6日、ワシントン(写真:共同通信社)
8日朝(日本時間)、トランプ米大統領がイランへの攻撃を2週間停止すると表明したことで、米WTI原油先物価格(原油価格)は一時、1バレル=91ドル台まで急落した。「文明を破壊する」といった激しい攻撃を示唆するトランプ大統領の発言を受けて、それまで原油価格は110ドルを上回る水準で推移していた。
米国とイランが即時停戦で合意し、2週間はホルムズ海峡の封鎖が解除されるという報道もあり、原油市場はいったんは安堵した格好だ。だが、トランプ大統領の言動に原油価格はこれまでも大きく乱高下しているだけに、予断を許さない状況は今後も続くと見ておいたほうがいい。
すでに、米国・イスラエルとイランの間の戦争(中東戦争)による経済への影響は世界中で顕在化し始めており、今後、深刻さが増すことが懸念されている。例えば欧州でも中東戦争の悪影響が4月に入り、経済活動の至る所に出始めている。
欧州に迫るエネルギー危機
国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は4月1日「(中東戦争に伴うエネルギー供給の混乱が)欧州でも4月以降に顕在化する」との見通しを示した。
ビロル氏は特にジェット燃料と軽油の不足に注目しており、「アジアで見られる影響が欧州にも波及するだろう」と言及した。欧州の運輸部門はジェット燃料や軽油の輸入の4割を中東地域に依存しているからだ。
指標となる欧州の軽油先物価格は2日、1バレル=200ドルを超え、2022年以来の高値を付けた。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたため、同海峡を通過して欧州に運ばれていた軽油が止まったことが理由だ。欧州では短期のスポット取引が多いため、国際市場の変動が輸入価格にすぐに反映されることも災いした。
欧州域内では恒常的に軽油の生産量が消費量を下回っており、専門家は「ホルムズ海峡の封鎖が続けば数週間以内に欧州は軽油不足になる」と警戒している。
このため、欧州連合(EU)のエネルギー担当委員ヨルゲンセン氏は、運輸部門に焦点を当てた自主的な需要削減措置(在宅勤務の奨励や公共交通機関の利用促進など)を検討するよう、加盟国のエネルギー相に求めている。
軽油などの不足が心配される中、欧州でも日本と同様、ガソリンなどの価格抑制措置を講じる国が相次いでいる。
