西宮市大谷記念美術館(兵庫県西宮市)で、「スウェーデン・テキスタイル展 暮らしと自然に息づく北欧デザイン」が4月4日から開催されます。
北欧デザインは、日本でも根強い人気を誇っています。スウェーデンのアルメダールス、ボラス・コットン、グスタフスベリ、イケア、フィンランドのマリメッコ、イッタラ、アラビアなど、デザインに関心のある方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。自然と寄り添いながら暮らす北欧のライフスタイルや、シンプルで美しいデザインは、日本の生活文化とも高い親和性を持ち、今なお多くの人々を魅了し続けています。
日本の約1.2倍の国土を持ち、スカンジナビア半島の東側に位置するスウェーデンは、国土の大半が森林に覆われ、約10万の湖と複雑に入り組んだ海岸線に沿って無数の島々が広がる自然豊かな国です。長く厳しい冬を過ごすため、室内を彩る美しいテキスタイルが発達してきました。スウェーデンのテキスタイルは、自然や伝統的なモチーフに着想を得ながらも、大胆でカラフル、そしてどこか抽象的なデザインが特徴です。
本展ではテキスタイルを中心に関連資料なども含めた約250点とともに、これまで日本で紹介される機会が多くなかったスウェーデン・テキスタイルの歴史やデザインの変遷をたどり、デザイナーが作品へ込めた物語をひも解きます。
アダム・オ・エーヴァ(アダムとイヴ) アンナ=レナ・エムディエン 1970年 サラ・アクステイリウス氏蔵
スウェーデン・テキスタイル展
暮らしと自然に息づく北欧デザイン
会場:西宮市大谷記念美術館(兵庫県西宮市中浜町4-38)
会期:2026年4月4日(土)~6月28日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:水曜日、4月30日(木)、5月7日(木)
※4月29日(水・祝)、5月6日(水・振休)は開館
観覧料:一般1,200円、高大生600円、小中生400円
※西宮市内在住65歳以上の方は600円、西宮市内在住の一般の方は1,000円(いずれも要証明書呈示)
※ココロンカード・のびのびパスポート呈示の小中生は無料
※心身に障害のある方及び介助者1名は無料(要手帳等呈示)
アクセス:阪神電車「香櫨園」駅から南西へ徒歩約6分/JR「さくら夙川」駅から南西へ徒歩約15分/阪急電車「夙川」駅から南西へ徒歩約18分
詳細は、西宮市大谷記念美術館公式サイトまで。
展覧会の3つの見どころ
スウェーデン・テキスタイルの歴史を知ろう!
北欧のテキスタイルといえばフィンランドが有名ですが、スウェーデンにも長い歴史があります。もともとは農村での手作業による羊毛や亜麻の織物が起源で、18世紀以前から伝わってきました。19世紀にはボロース(スウェーデン南西部)を中心に、北欧で最も早く工業化が進まり、紡績や織布の機械化が広まりました。1950年代の北欧デザインブームでは、自然をテーマにした美しいデザインが生み出され、世界的な評価を受けました。スウェーデンのテキスタイルは、伝統と技術革新、そして芸術性が融合した豊かな文化を築いているのです。
ノーアクス・アルク(ノアの方舟) ウッラ・エーソン・ボディーン 1977年 サラ・アクステイリウス氏蔵
魅力的なデザイン
スウェーデンのテキスタイルは、自然や植物をモチーフにしたデザインが特徴です。長い歴史の中で、植物を科学的に研究するボタニカルアートの伝統が根付き、自然との共生を大切にする精神がデザインに息づいています。スウェーデンのテキスタイルのもう一つの特徴として、モチーフには物語性が込められ、自然の風景や動植物、日常の何気ないシーンが織り込まれています。特に子ども向けの生地デザインでは、絵本や児童書の世界観を題材にしたものが多く、長年にわたり親しまれています。こうした豊かな物語性と自然美が、スウェーデン・テキスタイルの大きな魅力となっています。
ゴーセン(ガチョウ)[児童文学『ニルスのふしぎな旅』のモルテン] ウッラ・エーソン・ボディーン 1979年 サラ・アクステイリウス氏蔵
暮らしのなかのテキスタイル
スウェーデンのテキスタイル産業は、インテリアとともに発展してきました。1924年設立のスヴェンスク・テンや1902年創業のNK百貨店では、早くからテキスタイル専門部署を設置しました。1930年のストックホルム博覧会を機に機能主義的インテリアが注目され、戦後は紡績会社がデザイナーを採用し、質の高いテキスタイルがカーテンや寝具などに広がりました。1954年NK百貨店で開催された「署名入りテキスタイル」展を契機に、デザインへの関心がますます高まります。ファッション分野でも1950~60年代に多くのデザイナーが活躍し、独自のポップで革新的なデザインを生み出しました。
ヨセフィン イェータ・トレーゴード 1960年 サラ・アクステイリウス氏蔵
主な展示作品を紹介
ソンマルロヴ(夏休み) アンナ=レナ・エムディエン 制作年不詳 サラ・アクステイリウス氏蔵
ヴィンドカントリング(突風) チキ・マットソン 1975年 チキ・マットソン氏蔵
ソンマルフェスト(夏のパーティー) イェータ・トレーゴード 1970年 サラ・アクステイリウス氏蔵
フォルクローレ(フォークロア) イェータ・トレーゴード 1971年 サラ・アクステイリウス氏蔵
アネモーネ(アネモネ) イェータ・トレーゴード 1970年 サラ・アクステイリウス氏蔵
自然豊かなスウェーデンの風土から生まれたテキスタイルは、厳しい冬を明るく、心地よく過ごすための知恵と美学が詰まっています。大胆な色使いや物語性を帯びた図案の数々は、私たちの日常にも新しい彩りと安らぎを与えてくれそうです。これまで日本ではあまり語られてこなかったスウェーデン・テキスタイルの奥深い歴史と、名だたるデザイナーたちが紡ぎ出した美しい世界を、ぜひ会場で体感してみてはいかがでしょうか。(美術展ナビ)
