
現地からオーストラリアの最新情報を伝える【SURFMEDIAオーストラリアSURFNEWS】今回はバーレーヘッズで行われた、オーストラリアン・ボードライダーズ・バトル(ABB)と翌日9日から15日にかけてニューカッスルで行われたCS最終戦であるバイオグラン・ニューカッスル・サーフェストなどのお話。
取材、文、写真:菅野大典
3月のゴールドコースト。
朝晩と肌寒くなり、秋の始まりが感じられますが、太陽が登っている日中は夏そのもの。あいかわらず海にはたくさんの人が集まりゴールドコーストのビーチを満喫している人の姿を目にします。

サーフィン目的だけでなく、多くの人が集まるレインボーベイのビーチ。白い砂浜が広がり、1年を通してライフガードが監視している安全な浅瀬の海水浴エリアは人気のスポットの一つ。

まだまだ水温は25度近く。ボードショーツ一枚で海に入ることができています。
ゴールドコーストの波の状況は先月に引き続きとても良いコンディション。ポイントブレイクは毎日最高なコンディションでサーフィンができていました。
極上のライトハンドブレイクを見せるスーパーバンク。スナッパーロックスからキラポイントまで約2kmに渡って質の高い波が割れています。
スナッパーロックスのピークと比べると比較的レベルも高くなく、乗りやすい波がブレイクするグリーンマウント。子供とタンデムしながらクルーズしている姿も。
中塩佳那。良い地形を保ち続けているバーレーヘッズでは、チューブコンディションになる事が多く、例年よりも混雑しているように感じます。
波が掘れていればエアーも見れる。ダコダ・ウォルターズがスーパーハイエアーを決めていました。
大きな低気圧が発生し3月はついにキラでチューブコンディションに。
何本も大きな波にプルインしチューブをメイクしていたジェシー・ファーガソン。強いオーストラリアジュニア世代の16歳。これからが楽しみなサーファーの一人です。
同じくジュニア世代の17歳のジギー・マッケンジーもエグい波に果敢にチャージ。ニューカッスルで行われたCSでは、ワイルドカードで出場し2位という結果を収めた。
波が良ければ観衆もたくさん。夕方の散歩がてら歩道や堤防の上にはたくさんの人が集まっていました。
ジェットスキーが出るまでもないコンディションと思っていましたが、サイズも上がり最終的には10台以上も。朝方のスナッパーロックスのはるか沖ではジャック・ロビンソン等がステップオフをやっていたりと、相変わらずサーフィンのトレーニングにジェットスキーが当たり前に使われています。
オーストラリアの南東部周辺では、XXLサイズとなり今年1番の大きさとなるコンディション。
ビッグウェーブサーファー&シェイパーとしての地位を確立しているディラン・ロングボトム。もはや同じサーフィンと思えないくらいスケールの大きさを感じさせられます。
3月はイベントも盛りだくさん。サンシャインコーストのヌーサでは、13日から22日にかけて2026 ヌーサフェスティバル・オブ・サーフィンが行われ、バイロンベイでは22日から29日にはオーストラリアン・プロ・アダプティブ・サーフィン・チャンピオンシップが開催するなど、オーストラリアの東海岸のハイシーズンだけあって各地で大きなイベントが行われています。
スナッパーロックスに行けばWCT ボンソイ・ゴールドコースト・プロのトライアルのトライアルがボードライダーズクラブ内で開催。
D-BAHでは、27日〜29日にかけて総勢36クラブが集まり、キラチームチャレンジのイベントも開催。この時期のゴールドコーストはコンディションもよく、各クラブからたくさんの代表選手が出場できるので、普段機会に恵まれない選手にとっても嬉しいイベント。
ベン・ザナッタ
ベン・ザナッタ
オーストラリアのアップカマー選手として注目されている、ベン・ザナッタ。各クラブ、オープンサーファー6名、ジュニアサーファー2名の代表によるイベントながら、オープンの代表選手に出場しているジュニア世代の活躍が目立っており、今のジュニア世代の強さを感じさせられました。
たくさんあったイベントの中でも、特に注目だったのは、3月7日、8日にバーレーヘッズで行われた、オーストラリアン・ボードライダーズ・バトル(ABB)と翌日9日から15日にかけてニューカッスルで行われたCS最終戦であるバイオグラン・ニューカッスル・サーフェスト。
サーフメディアの記事でも連日レポートしましたが、ニューカッスルで行われたCS最終戦は、日本人選手にとっては厳しい結果となりました。
都筑有夢路 Credit: WSL / Darren Anderson
日本人で唯一自力でのクオリファイの可能性を残していた都筑有夢路でしたが、終了間際に逆転され17位という結果に。
松岡亜音 Credit: WSL / Darren Anderson
他の日本人選手がマンオンマンラウンドまで行けない中、1人奮闘していた松岡亜音。ラウンドオブ16でティア・ゼブロウスキーに敗れるものの9位という結果。
オーシャン・ランカスター(AUS)Credit: WSL / Darren Anderson
ワイルドカードで出場した選手の活躍が見られた今大会。ラウンドオブ64のヒートでは、8.33ポイントのシングルハイエストスコアをマークした若干16歳のオーシャン・ランカスター
マテウス・ハーディ( BRA)Credit: WSL / Hannah Anderson
長年の夢であるCTクオリファイをついに果たしたマテウス・ハーディ。毎日のように劇的な展開が続き、CTクオリファイをかけた戦いは最終日まで続きました。
ファイナリストの4名、左から男子2位カウリ・ヴァスト、女子2位ジギー・マッケンンジー、男子優勝アリスター・レジナート、女子優勝アリッサ・スペンサー。PHOTO: WSL / Hanna Anderson
アリスター・レジナート(AUS)Credit: WSL / Darren Anderson
アリスター・レジナートは、2週間前に行われたQS4000 フィリップアイランドプロで優勝後、ABBにノースショアボードライダーズの一員として大会屈指のパフォーマンスを披露。その直後に一晩中車を走らせてニューカッスルに到着し、寝不足のまま翌日のラウンドオブ80からスタートしての優勝。
4名のワイルドカードのオージーサーファーがファイナルデイまで進出するという層の厚さを見せると同時に、前日まで行われていたABBに出場し、大会当日に8時間のロングドライブを経て会場入りした選手が多くいたという、いかにオージーサーファーがタフであるかという事も感じとれた大会となりました。

2年前にバーレーヘッズで開催されてから新しいサーフィンイベントの形として世界に衝撃をもたらしたABB。今年もバーレーヘッズの丘全体に巨大スクリーンをはじめ、どの場所でもイベントを楽しめるような大規模のセットアップが施され、会場には多くの人が詰めかけていました。

イベントは各チーム5人(オープン2人、18歳以下1人、女子1人、40歳以上1人)のメンバーによるリレー方式の70分ヒートで行われ、それぞれのサーファーのベスト1ウェーブに加えてパワーサーファー(5名の中から選出した1人が最後に2回目の演技をする)のライディングの合計6つのスコアによる戦い。
各サーファーは何本でも波に乗っていいが、パワーサーファーは1本しか波に乗れない、時間内に帰ってこれなければマイナス5ポイントなど、オーストラリアでは定番となっているチームイベントのフォーマットが採用。
バーレーヘッズという巨大な海のフィールドに加え500mある上り坂のランニングコースはまさにサーフィン・トライアスロンといった感じ。
バーレーヘッズといえばロックジャンプでのエントリー。危険も伴うが、躊躇していれば時間のロスにもつながるため、素早く慎重に行かなくてはならない。
ただ単にサーフィンの技術が高いだけでは勝てない。チームとしての戦術、自分の役割、状況判断、体力、アスリートとして必要な能力がためされる。
波のサイズは3−4ftありながら、地形も決まっているため素晴らしいコンディション。スカボロー・ボードライダーズのパワーサーファーとして8.25のエクセレントスコアを出したニック・スクイアーズ。
パワーサーファーを務めニードスコアをクリアしたものの、制限時間内にゴールエリアに戻れずに呆然とするタイ・リチャードソン。
ジョエル・パーキンソンやジョッシュ・カーといった選手が不在ということで、40歳以上代表にマーク・オキールポが出場するなどと話題になったスナッパーロックス・ボードライダーズですが、まさかのラウンド1での敗退。初日からたくさんのドラマがありました。
ファイナルデイはあいにくの天気でしたが、会場には選手とサポートメンバーと観客でいっぱいに。
ラウンドを重ねるごとに錚々たる顔ぶれに。この大会に出れる事はオージーサーファーにとってとても重要なこと。自分の地元を代表しプライドを賭けて戦っています。
一つ一つのライディングに大きな歓声が上がり、選手が近くを走れば歓声が上がる。見る者にとって退屈だと言われていたサーフィンの大会ですが、このイベントに関しては全く違う。今大会も会場の一体感を感じさせてくれました。
個人戦とは違い、試合の状況に合わせて選手が動かなければならない。ファイナルでも最後の最後まで試合がわからない白熱した試合展開が繰り広げられました。
足が攣りながらも仕事をこなし、全力で走り切ったノースシェリー・ボードライダーズのジャクソン・コーワン。
最後にドラマを作った、バイロンベイ・ボードライダーズのダコダ・ウォルターズ。残り時間5分ほどでスタート地点から全力で走り、岩ゲットを経て、すぐさま沖に到達し、セットの波でエクセレントスコアをゲット。まさにフリーサーフィンで養われた本能というべきか、人間離れした事をやってのけた。
ヒューイ・ヴォーン
ほぼ優勝と思われていたノースシェリー・ボードライダーズですが、制限時間のプレッシャー、他チームの追い上げ等により逆転され、万事休すかと思われたが、最後の最後にまたしても人間離れしたエアーを決めたヒューイ・ヴォーン。
最終的に全チームがゴール地点に戻って来れず、マイナス5ポイントとなり、最後のダコダ・ウォルターズとヒューイ・ヴォーンのスコアは同じ8.08ポイント。チーム合計ポイントはわずかに0.04ポイント差で、見事ノースシェリー・ボードライダーズが優勝となりました。
優勝のアナウンスを聞き歓喜に溢れるヒューイ・ヴォーン。
ABBファイナルデイYOUTUBE
白熱のファイナルの攻防をぜひ見てほしい。
今年も大きな盛り上がりを見せ大成功に終わったオーストラリアン・ボードライダーズ・バトル。
やはりチームイベントは盛り上がるし、何よりも、ジュニア世代からマスタークラス世代までのサーファーが一つのチームとして、自分の地元という看板を背負って戦うというのは、とても誇らしい事。

若干13歳にしてバイロンベイ・ボードライダーズ代表メンバーのレイハニ・ゾイック。
もはやティア・ゼブロスキーが15歳でCTにクオリファイしているので驚きではないが、チームの代表に入る事はCTという特別な舞台ではなく、もっと身近で現実的であり、周りにいる同じチームの地元のサーファーが活躍することで”自分もやってやる”って感じになる。
ニューカッスルでCSの調整をしていたが、この試合のために戻ってきたアイラ・ハパッツ。自身も2年前にこの大舞台で主役となる活躍を見せて優勝を経験しており、そこから一気に才能が開花した。
他にも翌日からCSの試合が控えるにも関わらずに出場している選手が何人もおり、いかにこのイベントがオージーサーファーにとって重要なのかを感じさせられました。

そして今大会、間違いなく主役となったヒューイ・ヴォーン。このような大舞台は選手の限界をプッシュし、意図せずともに選手達がドラマを作ってくれる。
今月2つのビッグイベントを見て、改めて国内でビッグイベントを開催する事が選手を大きく成長させ、将来性のあるサーファーにとって、とても重要性のあるものだと感じさせられました。
4月はいよいよWCTの開幕。ベルズビーチから始まり、マーガレットリバー、スナッパーロックスとオーストラリアのハイシーズンは続きます。

菅野大典:オーストラリアのゴールドコーストを拠点にして、サーフボード・クラフトマンとして働きながら、サーフィン修行のために来豪する日本のサーファーをサポート。写真や動画撮影のほか、選手の試合に帯同、大会のジャッジやサーフコーチなどマルチに活動している。
