東京国立博物館(上野公園)で前田育徳会創立百周年記念 特別展「百万石! 加賀前田家」が、4月14日から6月7日まで開催されます。
加賀・越中・能登の三国を治め、江戸時代最大級の石高を誇った前田家。本展では、歴代当主の歩みとともに、伝来の名品の数々を通して、その文化と美の全貌をひもときます。東京で大規模にコレクションが紹介されるのは実に60年ぶり。
また、「刀剣乱舞ONLINE」に登場する、「国宝 太刀 銘 光世作(名物 大典太)」、「重要文化財 短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)」、「国宝 刀 無銘 義弘(名物 富田江)」(いずれも前田育徳会蔵)が展示されることにも注目です。

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前田育徳会創立百周年記念
特別展「百万石!加賀前田家」

会場:東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)

会期:2026年4月14日(火)~6月7日(日)
前期展示:4月14日~5月10日 後期展示:5月12日~6月7日
※会期中、一部作品の展示替えあり。上記日程以外にも展示替えがあります

休館日:月曜日(ただし4月27日、5月4日は開館)

開館時間:午前9時30分~午後5時
※入館は閉館の30分前まで
※毎週金・土曜日および5月3日(日)~5日(火)は午後8時まで開館

観覧料:
【前売券】 一般 2,100円 /大学生 1,100円/高校生 700円
【当日券】 一般 2,300円 /大学生 1,300円/高校生 900円

問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

展覧会公式サイト:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kagamaedake2026/
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前田育徳会の創立百周年を記念した加賀文化に触れる展覧会

加賀前田家は、初代・前田利家が北陸に領地を得て以来、金沢を本拠に、江戸時代を通じて加賀・越中・能登の三か国、百万石以上の規模を誇る大名家として、明治維新に至るまで領国統治を行ないました。近代に入って東京に本拠を移し侯爵となった後も、前田家伝来の文化財の保全に努め、16代・利為は、大正15年(1926)に育徳財団(現在の前田育徳会)を設立しました。

令和8年(2026)、前田育徳会は創立百周年を迎えます。これを記念して、加賀前田家歴代当主の事績を振り返るとともに、本展では旧蔵品を含めた加賀前田家伝来品の数々が紹介されます。前田育徳会収蔵品の大規模な展覧会は、東京では半世紀以上も開かれておらず、その意味でも本展は貴重な機会といえるでしょう。百万石の城下で花開いた技術と造形、知識と思想を通じて、今に続く加賀文化の美の真髄に迫ります。

重要文化財 荏柄天神縁起 巻上(部分) 鎌倉時代・元応元年(1319) 前田育徳会蔵 前期展示 4/14(火)-5/10(日)展示
5つの見どころで味わう歴史と名品

本展では、加賀前田家の歴史とコレクションの魅力をひもとく、5つの見どころが用意されています。まず注目したいのは、初代・前田利家をはじめとする歴代当主ゆかりの武具や甲冑です。利家所用と伝わる華やかな甲冑や陣羽織をはじめ、戦国の気風を今に伝える品々が並び、百万石の「御細工所おさいくじょ」で誂えた武具の粋を体感することができるでしょう。

銀箔押鯰尾形兜「鯰之尾御兜」 前田利長所用 江戸時代・17世紀 前田育徳会蔵 通期展示

続いて、圧倒的な蔵書と文化事業の成果にも目を向けたいところです。「天下の書府」と称された豊富な典籍に加え、工芸標本である『百工比照ひゃっこうひしょう』など、前田家が築いた知の集積が紹介されます。突出した石高を背景に展開された、多彩な活動を展覧します。

重要文化財 百工比照 第三号箱第六架 釘隠引手等金具 第二重 戸時代・17~18世紀 前田育徳会蔵 通期展示

さらに、古筆や名画、舶来品、名刀、名物茶道具といった、前田家ならではの蒐集品が一堂に会する点にも注目です。前田家だからこそ集まった、希代の名物をまとめて味わう贅沢な空間をお見逃しなく。

重要文化財 大名物 唐物茄子茶入 銘 富士 南宋時代・13世紀 前田育徳会蔵 通期展示

明治以降の前田家の歩みも重要な見どころです。東京・駒場の旧前田家本邸を彩ったコレクションや、前田育徳会の設立につながる活動などを通して、近代における文化財保護の取り組みが紹介されます。そして何といっても旧蔵品も含めた加賀前田家伝来品の数々が、東京では60年ぶりに公開されるということ。その「美」と「武」に触れることができる絶好の機会といえるでしょう。

バン フランソワ・ポンポン作 フランス・1930年 前田育徳会蔵 通期展示
武具からポンポンのシロクマまで 多彩な前田家のコレクションに触れる

本展は、加賀前田家の歴史と文化を5つの章で丁寧に紹介します。

第1章 加賀前田家歴代

加賀前田家は、江戸時代、最大規模の石高を誇る大名家として、徳川一門との関係を重視しつつ領国統治に努め、14代にわたり家名を繋ぎました。本章では、初代・前田利家ゆかりの品々と、歴代当主が身にまとった甲冑と陣羽織を通して、加賀前田家の歴史と血脈を紹介します。

重要文化財 金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用 安土桃山時代・16世紀 前田育徳会蔵 通期展示
重要文化財 陣羽織 淡茶縬地菊鍾馗図 前田利家所用 安土桃山時代・16世紀 前田育徳会蔵 通期展示
第2章 百万石の文化大名

江戸時代、太平の世へと移りゆくなかで、百万石を超える突出した石高を擁する加賀前田家は、その豊富な財力から文化大名として飛躍していきます。3代・利常は貴重な書画や舶来の文物を精力的に蒐集し、京都から名工を招いて武具や調度の工房「御細工所」を充実させます。その蒐集にかける情熱は、やがて5代・綱紀の時代に頂点を迎えることになります。

重要文化財 アエネアス物語図毛綴壁掛 ニカシウス・アエルツ作 ベルギー・16~17世紀 前田育徳会蔵 通期展示
第3章 加賀前田家の武と茶の湯

加賀前田家の武と美は、刀剣と茶道具にも象徴されています。「名物」 と称される名品をはじめ、旧蔵の名品も再結集させ、その全体像を紹介します。「名物」揃いの展示空間も必見です。

名物 大井戸茶碗 福嶋井戸 朝鮮時代・16世紀 前田育徳会蔵 通期展示
国宝 太刀 銘 光世作(名物 大典太) 平安時代・12世紀 前田育徳会蔵 通期展示
第4章 天下の書府

3代・利常の文化事業は、孫の5代・綱紀に引き継がれました。綱紀が蒐集した典籍の豊富さはとくに注目され、その圧倒的な蔵書は「天下の書府」と評されたほどです。本章では、綱紀が自ら整理分類し命名した工芸標本「百工比照」、さらに綱紀が礎を築いた「加賀宝生」の能面や能装束などもあわせ、加賀前田家の知と美の世界を紹介します。

国宝 宝積経要品(部分) 足利尊氏・直義・夢窓疎石合筆 南北朝時代・康永3年(1344) 前田育徳会蔵 後期展示 5/12(火)-6/7(日)展示
松唐草葵紋散蒔絵婚礼調度 溶姫所用 江戸時代・19世紀 前田育徳会蔵 通期展示
第5章 侯爵前田家のコレクション

近代以降、加賀前田家は本拠を金沢から東京に移し、侯爵家へと転身します。16代・利為は5代・綱紀の偉業にならい、美術工芸品の蒐集や伝来品の整理に努めました。そして前田家伝来品を確実に後世へ存続させるべく、大正15年(1926)に育徳財団(現在の前田育徳会)を創立しました。本章では、利為蒐集品を紹介するとともに、東京・駒場にある旧前田家本邸洋館の室内に飾られていた品々を展示します。

シロクマ フランソワ・ポンポン作 フランス・1930年 前田育徳会蔵 通期展示
オートグラフ バッハ楽譜 ヨハン=セバスティアン・バッハ著 1743~1746年 前田育徳会蔵 5/12(火)-5/24(日)展示
「刀剣乱舞オンライン」とのコラボ企画も充実
「刀剣乱舞ONLINE」コラボレーションビジュアル ©2015 EXNOA LLC/NITRO PLUS

本展では、展示にあわせたコラボレーション企画や音声ガイドにも注目です。人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボレーションでは、前田家ゆかりの名刀、「国宝 太刀 銘 光世作(名物 大典太)」、「重要文化財 短刀 銘 吉光(名物 前田藤四郎)」、「国宝 刀 無銘 義弘(名物 富田江)」(いずれも前田育徳会蔵)の展示を記念し、刀剣男士との特別企画を実施。パネル展示やグッズ販売、企画チケットの販売など、本展ならではの楽しみ方が用意されています。

また、音声ガイドのナビゲーターは、声優の浪川大輔さんと入江玲於奈さんが担当。前田家の歴史をひもときながら、武具や茶道具、書画、工芸品といった多彩なコレクションの魅力をわかりやすく案内します。

特別展「百万石!加賀前田家」は、まもなく開幕します。名品の数々を通して浮かび上がるのは、ひとつの大名家が築き上げた文化の奥行きです。その豊かさと広がりを、会場でじっくりと感じてみてください。(美術展ナビ)