西側諸国には強力な防空システムがあるが、大規模な戦争ではどこを守るかという選択を迫られるだろう。Sean Gallup/Getty Images現代の戦争は、ドローンやミサイルの普及により、防空がこれまで以上に難しくなっている。防空に多額の費用を費やしても、すべてを守ることは事実上不可能だ。西側諸国は、大規模な戦争で何を守るべきなのかという厳しい選択を迫られるだろう。
大規模な武力紛争において、最先端の軍隊であってもあらゆる攻撃をすべて止めることは不可能で、何を失うことを許容するのかという厳しい選択が迫られる。
ウクライナと中東での戦争は、大量のドローンと長距離ミサイルによる攻撃という、今後起こり得る戦闘を予見させるものになっている。
ロシアによるウクライナ侵攻は、大規模な戦争での標的が軍事施設だけではないことを示してきた。住宅地や学校、病院、エネルギーインフラなどだ。国内のすべてを防空で守ることは不可能でだと専門家は言う。

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イギリスの王立防衛安全保障研究所の航空戦力専門家であるジャスティン・ブロンク(Justin Bronk)は、ウクライナは最も有用な多層防空システムを備えているが、それでも常に攻撃を受けており「すべてを守ることはできない」ことを示しているとBusiness Insiderに語った。
同様の課題が、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃でも生じた。アメリカのピート・ヘグセス(Pete Hegseth)国防長官は3月上旬、優れた防空システムを保有しているからといって、すべてを阻止できるわけではないと語った。
ブロンクは、すべてを完全に守ることは不可能であるため、西側諸国が広大な防衛網を構築しようとする試みは「見当違いだ」と述べた。システム、そして資金や人材には、限りがあるからだ。
例えば、ロシアの攻撃からヨーロッパ全土を守ろうとするなら、「ヨーロッパ全体の軍事予算以上」が必要になるが、それは現実的ではないし、防衛だけでは戦争に勝利できない。
しかし、防衛は最優先されるべきものだ。「厳しい選択をしなければならない」と、オーストラリアの元陸軍少将のミック・ライアン(Mick Ryan)は語った。
新たな脅威によって防空が複雑になっている
防空は攻撃よりもずっと難しく、費用がかかるようになり、脅威の環境はより複雑になっている。
「一部のミサイルはすり抜けてくるだろう」と、ランド研究所のミサイル防衛専門家、マティアス・エケン(Mattias Eken)はBusiness Insiderに語った。
大規模な攻撃で向かってくるミサイルのすべてを阻止することは、事実上不可能だ。全面的なミサイル防衛の構築は、「おそらく、この地球上で最も費用がかかることだ」とフィンランドの元国防長官のヤルモ・リンドベリ(Jarmo Lindberg)は話した。
現在では、ドローンが問題をさらに悪化させており、かなり少ないコストで多くの標的を脅かしている。
ロシアの攻撃ドローンはウクライナにとって阻止するべき新たな攻撃手段を生み出したが、ウクライナの攻撃ドローンもそれは同じだ。Russian Defense Ministry / Handout/Anadolu via Getty Images
飽和攻撃には、数十機のドローンが一度に使われることもある。戦争以外でも、ドローンはアメリカやヨーロッパで、空港や都市、軍事基地に混乱をもたらしてきた。
国際戦略研究所(IISS)の航空戦力専門家であるダグラス・バリー(Douglas Barrie)は、弾道ミサイルが普及し、戦闘機も依然として存在し、今では大量のドローンもあり、防衛は「より難しくなっている」と語った。
「これは厄介な問題であり、今、我々の身に降りかかっている」
ウクライナは、これが実際にどのような状況になるかを示している。ウクライナはソ連時代のシステム、西側諸国から供与された防衛システム、そして国内で開発された解決策を組み合わせて都市と軍事目標の両方を守っているが、「彼らはいつも攻撃を受けている」とブロンクは述べた。ウクライナは、弾道ミサイルや巡航ミサイル、ドローン、滑空爆弾、その他の脅威の中、防衛に関する選択を迫られている。
