給与ダウンを受け入れるホワイトカラー(頭脳労働者)の割合はすでに憂慮すべき水準に達しています。
人事雇用情報データベースを提供するリべリオ・ラブズ(Revelio Labs)によれば、昨年末時点で転職者の4割が10%以上の給与減を経験しており、これは少なくとも過去10年間で最も高い割合です【図表1】。
【図表1】給与が10%以上アップした転職者の割合はこの10年間で最低水準。一方、10%以上ダウンした転職者の割合は同期間で最高水準(12カ月移動平均)。Revelio Labs/Andy Kiersz/Business Insider
短期的な見通しは暗澹(あんたん)たるものです。
決済大手ブロック(Block)や業務管理ソリューション大手アトラシアン(Atlassian)のような著名企業がここ数週間、相次いで人員削減を発表。メガテック企業でもメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)が従業員総数の20%、1万6000人規模の大規模削減を準備しているとの報道もあります。
採用する側の目はますます厳しくなっており、それは求人票に記載される必須要件の変化からも明らかです。
前出のリべリオ・ラブズによると、ミッドキャリア(中堅)ポジションで10%、シニア(上級)ポジションで11%、3年前と比較して求められる経験年数が長くなっていると。

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こうした状況は、冒頭のスコット氏のような求職者、失業者に長期的な不利と苦痛をもたらす可能性がある——イトウ記者はそう指摘します。
なぜなら、給与半額プラス2段階降格のオファーを受け入れることで、その後の昇給も低い水準から出発せねばならなくなる上、契約満了を経て他社に機会を求める日が来たとしても、今度はそこで一度受け入れた低い給与を基準にオファーを提示されることになるからです。
スコット氏は屈辱的なオファーを受け入れただけでなく、今後何年にもわたって低い収入に甘んじるリスクを負うことになります。経済学の世界で「傷跡効果(scarring effect)」と呼ばれる現象です。
スコット氏への取材を通じてその複雑な心中を読み取ったイトウ記者は、最後にこう書いています。
「彼はあまり期待しないようにしている。と言うより、繰り返し不採用通知を受け取る苦しい経験を経て、もはや高い希望を抱く気になどなれないのだ。
彼はこう考えている。どんなポジションを得たとしても、おそらくレイオフされる前の給与水準には戻れないだろう。それでも、何かのポジションを得て働きさえすれば、かつて歩んでいたキャリアパスに少しでも近づけるはずだ」
