
イ病を手掛かりにした社会問題を語るパネリストら=富山市湊入船町のサンフォルテで
富山市の神通川流域で発生したイタイイタイ病を分野を超えて学ぶ「イタイイタイ病学」のシンポジウムが29日、同市湊入船町のサンフォルテで開かれ、パネリスト5人がイ病を出発点に、災害や沖縄米軍基地、原発などの問題に意見を交わした。
パネリストは元県立大准教授の奥川光治さん、ゆいま〜る・とやま沖縄つなぐ会の小原悦子さん、とやま市民放射能測定室はかるっチャの道永麻由美代表、京都大名誉教授の川崎一朗さん、イ病研究会幹事の金沢敏子さん。60人が聴講した。
奥川さんは、県による河川や港湾の底の重金属調査が、2023年度から廃止されたことを問題視。カドミウムは自然界に近い値だが、鉛の値は変動が大きいとし、「行政が把握して、長い目で比較できるのが大切だ」と指摘した。
金沢さんは死後にイ病に認定された患者がいたほか、66人が一度は要観察者を解除され、再び認定を受けた例を紹介。「個人の尊厳が無視された切り捨ての歴史を忘れてはいけない」と語った。
小原さんは米軍基地の周辺で発がん性が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)が流失した問題に触れ、「基地に立ち入れず汚染源を特定できない。被害者不在の理不尽がある」、道永さんは「原発がエネルギーだけでなく命の問題という視点が必要だ」と話した。この他、川崎さんが南海トラフ地震と神岡鉱業(岐阜県飛騨市)のたい積場の課題について講演した。
研究会は23年から自主講座を開き、今年で4回目となる。今年第1回の講座は5月17日、サンフォルテで開催。富山大名誉教授の星野富一さんがイ病と県政について解説する。(篠崎美香)
