ホンダのお膝元である鈴鹿サーキットを舞台に、アストンマーティン・ホンダはまたしても信頼性の壁に突き当たった。2026年F1第3戦日本GPでフェルナンド・アロンソがチームに今季初完走をもたらした一方、ランス・ストロールは30周目にマシンを降り、ガレージへ戻ることを余儀なくされた。
新たな規則下での3戦目となったが、チームは依然としてAMR26のパッケージングに潜む問題を完全には取り除けていない。一方で、リタイアを喫したストロールは、意外にも清々しい表情を見せた。
今シーズン開幕以来、アストンマーティン・ホンダを悩ませてきたのは、主にバッテリー関連の不具合だった。だが、今回ストロールをリタイアに追い込んだトラブルは、それとは異なる新たな系統の問題だったようだ。
リタイアを余儀なくされた原因について、ストロールは「水圧の問題だと思う。まだ詳しく調べる必要はあるけど、現時点ではそう考えている」と述べ、冷却系に致命的な欠陥が生じた可能性を示した。
チーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックはその後、「ICE(内燃エンジン)の水圧トラブル」がリタイヤの原因だと説明した。
自身の愛する鈴鹿サーキットで完走を逃した無念さは計り知れないはずだが、降車後のストロールは意外にも、さばさばとした様子だった。マシンがベストな状態になかったことを認めつつも、アロンソとの間で繰り広げられた「孤独な戦い」に一定の充実感を見いだしていた。
「フェルナンド(アロンソ)と僕らなりのささやかなチャンピオンシップ争い、いわば『アストンマーティン選手権』での争いは楽しかった。ペースは遅かったけど、レース自体は楽しめていた。最下位争いだったけどね」
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited
子どもたちとハイタッチを交わしながら笑顔で歩くアストンマーティン・ホンダのランス・ストロールとフェルナンド・アロンソ、2026年3月29日(日) F1日本GP決勝前セレモニー(鈴鹿サーキット)
ライバルチームに大きく引き離され、ポイント獲得の可能性が皆無であっても、同じマシンを駆る2度のF1王者と伝説的なコースで競り合うことは、彼にとって特別な意味を持っていたようだ。ストロールはこう続ける。
「鈴鹿はいつ走っても気持ちのいいサーキットだし、走ること自体は楽しかった。だから、最後まで走り切れなかったのが残念だよ」
アロンソが完走を果たしたことで、ようやくひとつの壁を越えたとも言えるが、ストロールのリタイアは、依然として足元が不安定であることを示した。ホンダとのパートナーシップが真に機能し、この「アストンマーティン選手権」をグリッド前方で展開できるようになるまで、彼らの忍耐の日々は続く。
