インド科学技術省(MoST)は2月22日、インドのムンバイで開催された「Global Conference on AI in Agriculture and Investor Summit 2026」において、人工知能(AI)を農業政策、研究、投資の中心的な柱と位置づけることを発表した。

(出典:PIB)

会議の開会演説で、ジテンドラ・シン(Jitendra Singh)科学技術相は、AIがインドの次の農業革命を主導すると述べた。農業分野では、不安定な気象条件や情報格差、市場の分断といった構造的課題が長年生産性を制約してきたが、AIはこれらの問題に対しスケーラブルな解決策を提供すると指摘した。

同相は、農業を旧来のセクターではなく戦略的セクターと位置づけ、インド政府が推進する総額1037億2000万ルピー規模のIndia AI Missionと関連付けている。また政府主導の大規模言語モデル基盤Bharat Genは、22のインド言語に対応した農業特化AIモデル「Agri Param」を公開しており、農家が母語で農業助言を受けられる環境を整備している。

さらにインド科学技術庁(DST)は、国内の農業AIソリューションを共通基盤に接続できる「India AI Open Stack」の構築を支援している。アヌサンダン国家研究基金は、インド工科大学(IIT)やインド理科大学院(IISc)、インド農業研究評議会(ICAR)と連携し、農業AIを含むディープテック研究を支援している。また、2026~2027年度連邦予算では、多言語AIツール「Bharat-VISTAAR」が提案されており、AgriStackやICARの農業データと連携した個別化アドバイスの提供も計画されている。

インドには約1億4000万の農業経営体が存在するが、AI活用により農家1戸あたり年間5000ルピーのコスト削減が実現すれば、全体で年間約7000億ルピーの経済価値を生み出す可能性があるという。政府は州政府や国際研究機関と連携した国家農業AI研究ネットワークの構築や農業データ共有基盤「Agri Data Commons」の整備を進め、農業分野におけるAI活用を全国規模で拡大する方針を示した。演説の最後に同相は、インドは受益者ではなく、世界的な農業AI枠組みの共同設計者として行動する意向を表明した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部