最近、中国のSNSでは「OpenClawはいずれ無給のインターンに置き換えられるだろう」といった冗談が聞かれるようになった。インターンシップなら無給でも学生が手を貸してくれるかもしれないが、OpenClawを使うには費用のかかるトークンを大量に消費しなければならないのだ。

真の勝者

OpenClawの熱狂のなかで浮かび上がった最も重要な点は、AIにお金を払う意欲が中国の一般の人々にもあるということだ。これは驚くべきことである。というのも、中国ではデータや広告の閲覧と引き換えにソフトウェアを無料で使うことが当たり前になっているからだ。

そんななか、OpenClawの利用者は、クラウドサーバーやAPIの利用料金をためらいなく支払うほど熱心、あるいはそれだけ強い必要性を感じていた。中国企業がこの流れに積極的に乗り、無料のインストール支援やライブ配信のチュートリアルを提供しているのも不思議ではない。

同時に、OpenClawはオープンソースであることから、主要な中国テック企業のほとんどが独自にカスタマイズしたバージョンの開発に乗り出している。テンセントのQClaw、ByteDanceのArkClaw、MoonshotのKimiClaw、Z.aiのAutoClawなどがその例だ。各社は自社版のほうがインストールしやすく、ユーザーがすでに利用しているアプリと簡単に連携できると主張している。とはいえ、各社の狙いがユーザーを自社の製品エコシステム内に囲い込むことであるのは明らかだ。

今週初め、OpenClawの生みの親であるピーター・シュタインベルガーは、中国のこうしたテック企業の動きを批判した。テンセントがOpenClawの機能をローカルで提供しているというXの投稿に対し、「真似するだけで、プロジェクトをまったく支援してくれていません」と悲しい顔の絵文字を添えてコメントしたのである。

熱狂の裏で利益を得ている人々

中国でOpenClawを広めるイベントの多くは、暗号資産関連のイベントを手がけてきた人たちが主催している。かつてWeb3.0を前面に打ち出していたコミュニティは、いまはWeb4.0、すなわちエージェント型インターネットへと軸足を移しているのだ。

技術に精通した開発者たちも、OpenClawのインストールを代行することで収益を上げるニッチな市場を見つけている。ある人物は『MIT Technology Review』に対し、AIエージェントのインストール作業を1件あたり約34ドルで、これまでに7,000件以上請け負ったと語っている。

中国の地方政府も、この流れにいち早く乗ろうとしている。OpenClawにセキュリティリスクがあることが広く知られているにもかかわらず、少なくとも5つの地方政府が開発者向けの助成制度を立ち上げたのだ。

これはOpenClawに公式に支持する動きのように見えるが、実際にはテック人材を歓迎し、その人たちのことを理解しているとアピールするための地方政府による機会主義的な動きである可能性が高い。わたしは2022年、地方政府が企業に資金を出して都市のデジタルな複製をつくり、メタバースを推進する動きを取材した。2026年現在、それが多くの観光客を呼び込めているとは考えにくい。

(Originally published on wired.com, translated by Nozomi Okuma)