さまざまな社会課題をディスカッションする「AERAラウンドテーブル」で、子育てしやすい環境づくりに積極的に取り組む企業の担当者と語り合いました。今後ますますライフスタイルや働き方が多様化するなかで、働く親は自分のキャリアをどう選択していけばよいのでしょうか。AERA 2026年3月2日号より紹介します。※前編〈子育てしやすい会社って?うまくいっている企業の「2つの特徴」とは キリン、タカラトミー、ANAの担当者が語る〉から読む
【図表】父親の育休復帰後のメンタル不調、4つのチェックポイントはこちら
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仕事の量や負担感が課題 デジタルツール活用で改善も
親が生き生きと働いている姿を子どもに見せる
○参加メンバー
タカラトミー 変革推進本部 経営企画室DEI推進部 部長 中村真樹さん
キリンホールディングス 人財戦略部 部長 福井直幹さん
ANAホールディングス 未来創造室デジタル・デザイン・ラボ チーフディレクター 冨満 康之さん
インディードリクルートパートナーズ HR統括編集長 藤井薫さん
AERAブランドプロデューサー 木村恵子
AERA with Kids 編集長 鈴木顕
仕事の量や負担感が課題 デジタルツール活用で改善も
鈴木 顕(AERA with Kids編集長):各社子育てしやすい企業に向けて先進的な取り組みがある一方で、課題はありますか。
中村真樹(タカラトミー):仕事の量をどう是正するか、ですね。当社では女性管理職の登用を進めていますが、管理職の業務過多が昇進をためらう阻害要因の一つになっています。仕事の負担感が高い部門にヒアリングをおこなって実態をつかみ、組織活性化研修等を受けてもらうなどの取り組みを始めています。
タカラトミー 変革推進本部 経営企画室DEI推進部 部長 中村真樹さん 撮影:上田泰世(写真映像部)
福井直幹(キリンホールディングス):エンゲージメント調査では、業務効率性、ワーク・ライフ・バランスのスコアが相対的に低いといった課題が浮かび上がってきました。長時間労働の解消は優先的な課題と考えますが、直近ではデジタルツールの活用等を通じて、これらのスコアが向上していることも調査から見えてきています。今後、人財の獲得競争はますます激しくなると予想されますが、キリンは人財戦略の中で「選ばれる会社」になる必要性を示しています。
選ばれるというのは学生や外部労働者だけでなく、今働いている社員も働き続けたい会社であるということも含めています。従業員のウェルビーイングを追求し、いきいきとやりがいを持って働くための制度と風土を整えることが、お客様や患者さんにとっての価値創造につながると考えています。
キリンホールディングス 人財戦略部 部長 福井直幹さん 撮影:上田泰世(写真映像部)
冨満康之(ANAホールディングス):航空会社の業務は、景気や社会情勢に左右されます。コロナ禍では飛行機がほとんど飛べなくなり、空港に人影はなく飛行機だけがずらりと駐機していました。逆に今はインバウンドの需要もあり、フル稼働の状況です。どのような状況下でも、社員が安心して働ける職場を維持していかなければなりません。そのうえで大事なポイントが多様化への対応です。どのような人種、国籍であっても心理的安全性が確保されて、安心して働ける風土作りも大切だと感じています。
ANAホールディングス 未来創造室デジタル・デザイン・ラボ チーフディレクター 冨満 康之さん 撮影:上田泰世(写真映像部)
鈴木:多様化といえば、今後ますますライフスタイルや働き方がさまざまになる中で、不公平感を生まないための工夫はありますか。
福井:人事・評価制度の透明性や納得感が大切です。働き方がますます多様化する中、生産性に評価の基軸を移していかなければならず、制度変更に着手しています。例えば同じ成果でも、労働時間のより短い社員が評価を得られるイメージでしょうか。
中村:透明性と納得性はポイントだと思います。当社では、評価制度と報酬制度をオープンにしました。昇格基準は等級ごとに明確化し、管理職の給与水準も公開しています。これにより、社員は管理職になった場合にどの程度の報酬が得られるのかをイメージできるようになりました。また、昇格基準を公開したことで、次のステージに進むために何をすべきかを理解できるようになりました。評価制度は、従来の相対評価から絶対評価に変更しました。さらに「専門職」の役割定義を見直し、これまで管理職を目指すしかなかった単線型のキャリアパスを複線型にしました。その結果、離職率が低下し、女性の管理職比率も目標数値に到達する勢いで上昇しています。社員のモチベーションが上がっていると手応えを感じています。
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