伯耆家で販売した雪かぶりネギ(鳥取県米子市で)
味は変わらないが、雪の重みによる葉の折れやしわなどで見た目が通常の規格を満たさない「雪かぶりネギ」を買い支えることで認知度を高める動きが広がっている。農家と取引があるラーメン店が独自にネギを販売したほか、JA鳥取西部は初めて直販会を実施。計約1・8トンの消費につなげ、農家は「落ち込んでいたが、励まされた」と歓迎の声を上げている。(藤川泰輝)
「雪の影響で不良ネギが弓ヶ浜にて発生中・・・」「やっぱり地元弓ヶ浜産の
穫(と)
れたてのネギはめちゃくちゃ甘くて
旨(うま)
いです」「ヘルプ!!」――。鳥取県米子市夜見町のラーメン屋「伯耆家」が2月16日、X(旧ツイッター)に投稿すると、またたく間に拡散され、20万回閲覧された。
同店は「家系」と呼ばれる豚骨しょうゆのスープが売りで、ネギも使う。仕入れで取引がある地元農家との雑談でネギが大雪の被害を受けていると知り、力になろうと「あるだけ持ってきてください」と伝えた。
届いたネギは約35キロ。1日100杯以上を売り上げるラーメンの薬味で使ったほか、4本200円、2・5キロ1000円、5キロ2000円での販売にも乗り出した。約4日で完売し、追加の約40キロも、店での消費分を除いて売り切れた。
米子市富益町のネギ農家森本千尋さん(30)は「気持ちを込めて作っているのでたくさんの人に食べてもらえてうれしい。経営面でも利益につながり、助かった」と感謝する。
冬ネギは例年、収穫期を控えた頃の降雪で葉が折れたり、しわができたりしてしまう。全長58センチを下回るか、傷ができるかすると通常の出荷の規格を満たさなくなる。こうした品質でも出荷できるよう、長さが58センチ以下で、しわや葉の裂けがあるものを「雪かぶりネギ」として規格を緩和してきた。
だが、緩和された規格を満たさないものも発生。県のまとめによると、今冬は例年以上の大雪となり、同市を中心に約1・1ヘクタール、約1100万円の被害が出た。雪が早く解けたことで被害は軽かったものの、主に業務用のカットネギなどの加工商品に回すか、廃棄するかを余儀なくされた。毎年雪害による損失を見越しているとはいえ、売り上げ減少とともに処理の費用も負担することになった。

地道な消費促進だけでなく、JA鳥取西部も今年は新たな取り組みを開始。これまでは、普段通り青果店に卸していたが、2月24日に米子市役所など3か所で販売会を開催。各所とも盛況で、用意した約750キロは1時間足らずで売り切れた。25~28日はJA直売所でも販売したが、約1トンが飛ぶように売れた。店頭では「お買い得」「安くてうれしい」の声が聞かれた。
JA鳥取西部によると、オンライン販売でも約75キロが購入された。特産園芸課の美甘勇介さん(41)は「完売が続出し、農家からもうれしいという声をたくさん聞いた。もう少しで出荷できる、というタイミングでの損傷は農家にとって精神的にダメージが大きい。買ってもらうことが一番の応援になる」と強調している。
◆雪かぶりネギ=
JA鳥取西部が雪害がひどかった年に、販売促進策として独自に呼び始めた。見た目が劣る一方で、寒さで糖度が上がる。
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