【質問】去年奈良に修学旅行に行きました。奈良は自然がたくさんあって静かでとても素敵だと思いました。大好きになりました。お坊さんに質問です。お坊さんはいつもどんなものを食べていますか?パンなども食べますか?お野菜が多いですか?教えてください。よろしくお願いします。(10代女性)

 

【回答】堀内瑞宏(秋篠寺住職)

 

【我知なヒント=唐古・鍵遺跡の道の駅の食パンがおいしいと思う派です】

 

 いつもは何を食べているのか?この質問が出るということは、質問者さまの中での僧侶は特別な食生活をしているイメージがあるのですね。俗世坊主の個人的な答えとしては、普段の食事は僧侶以外の人たちと食事をしますので、(パンも含めて)皆さまと同じものをいただいています。しかし仏教行事の期間など特別な時期は、お経を読み語る体調を整えるためにも適切な食生活となるように心掛けています。

 

 そもそも僧侶の食事が制限されているというイメージは、仏教の戒律(約束事)で動物などを意識的に殺すことを禁じていることが広く知られているからでしょう。生き物を殺してはだめなんて当たり前だと思われるかもしれませんが、人は(人に限りませんが)さまざまな生き物の命を食事という形でいただいていることは事実です。

 

 ただ多くの場合、食卓に並ぶものは「料理」として認識され、「命」であることを忘れがちになってしまいます。そのことを忘れないためにも、お寺によっては行事に関わる期間中は、植物性食材のみで作られた「精進料理」をいただく所もあると聞きますので、戒律には食事の意味を再確認し、命への感謝を深める意味もあるといえます。

 

 とはいうものの、普段から常に命について考えを巡らすのは難しいでしょう。また質問者さまが食事を楽しみながら家族友人と過ごすことも大切なことです。ですから食事についての別の考え方として、調理してくれた人への感謝の気持ちを持つことを覚えておいていただければと思います。

 

 なぜなら食事は命をいただくと同時に、作ってくれた人の時間をいただく行為でもあるからです。飲食店などで「お金を払ってるんだから」と不必要に注文して残す人もおりますが、処分費や追加料金をもらったとしても、命も時間も戻ることはありません。戻ることのない貴重なモノが自分のために消費されている事実は、中学生、高校生、大人になっても、またどのような立場、職業、性別、健康状態であっても変わらないのです。

 

 「いただきます」。この一言にさまざまな思いが宿っていることを、新しい環境へと進む質問者さまの記憶の片隅にとどめていただければ幸いです。

 

【我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる】

 奈良の僧侶が悩み相談や質問に答えるコーナー。お坊さんに相談したい、 仕事や人間関係、恋の悩み、人生相談や信仰・仏教の教え、お寺への質問などが対象です。お坊さんへの質問を募集しています。採用は弊社と回答者で判断し、掲載の有無や掲載日についてお答えすることはできませんのでご了承ください。

 

【回答者】

興福寺 辻 明俊さん

金峯山寺 五條 永教さん

秋篠寺 堀内 瑞宏さん