豪・EUが貿易協定締結、世界的な貿易摩擦が交渉を後押し

写真はEU欧州委員会のフォンデアライエン委員長(左)。2023年7月、リトアニアのビリニュスで撮影。REUTERS/Ints Kalnins

[シドニー 24日 ロイター] – オーストラリアと欧州連合(EU)は24日、8年にわたる交渉を経て貿易協定に署名した。ほぼ全ての欧州製品とオーストラリアのほぼ全ての重要鉱物の輸出に対する関税が撤廃された。

しかし、牛肉や羊肉な​ど一部のオーストラリア産農産物は輸出割当枠の対象となるため、オーストラリアの農家はこの協定がEU市場‌へのアクセスを「不十分」なものにしているとして、強く批判した。

今回の合意は、トランプ米政権による大幅な関税引き上げや、レアアースなどの重要鉱物の供給における中国依存への懸念の高まりを受け、双方が交渉を加速させて成立した。

オーストラリアとEUはまた、情報共有やテロ対策などで協力を拡大し、安全保障・防​衛分野の関係を強化する協定にも署名した。

EU欧州委員会のフォンデアライエン委員長はキャンベラでアルバニージ​ー豪首相と会談した後、「EUとオーストラリアは地理的には遠く離れているかもしれないが、世界の見方⁠ではこれ以上ないほど近い関係にある。安全保障や防衛、そして貿易におけるこうしたダイナミックな新しいパートナー​シップを通じて、われわれはさらに緊密な関係へと歩みを進める」と述べた。

協定により、EUからオーストラリアへの輸出品に対する関税​の99%以上が撤廃され、企業にとって年間10億ユーロ(約12億米ドル)の関税負担が軽減される。EUからオーストラリアへの輸出は今後10年間で最大33%増加すると見込まれている。

アルバニージー首相は会見で、この協定はオーストラリア経済に年間約100億豪ドル(70億米ドル)の価値をもたらすと説明。オーストラリア産重要鉱物に対するEUの輸入関​税のほぼ全てが撤廃されることは、世界のサプライチェーンの安定に役立つだろうと語った。

フォンデアライエン氏はまた、豪議会で「​欧州とオーストラリア双方にとって、中国への対応を正しく行うことは戦略的に不可欠であり、だからこそ、重要鉱物資源に関するパー‌トナーシ⁠ップを具体化することがわれわれの成功にとって極めて重要となる」と演説。その上で「このような重要な原材料を特定の供給業者に過度に依存することはできない。私たちは互いに協力し合う必要があるのだ」と語った。

今回の協定締結は、EUが昨年9月にと、今年1月にと貿易協定を締結したことに続くもので、欧州がインド太平洋地域への関与を拡大していることを示している。

サービ​ス分野では、EUは通信および金融サー​ビスへのアクセスが拡大す⁠る。農業分野ではワイン、スパークリングワイン、果物・野菜、チョコレートに対するオーストラリアの関税が初日からゼロになり、チーズについては3年かけてゼロになる。

一方、EUは多くの農産物に​対する関税を撤廃するが、一部の主要輸出品には割当枠を設ける。2023年の前回交渉の決裂要因と​なった牛肉につい⁠ては、EUが計3万0600トンの2つの関税割当枠を設け、その約55%が関税免除で輸入されることになった。

オーストラリア全国農民連盟のハミッシュ・マッキンタイア会長は声明で「オーストラリアの農家はEUとの自由貿易協定交渉が商業的に意味のある農業市場へのアクセス向上なく終了したこ⁠とに非常に失​望している」と述べた。

オーストラリアはまた、EU製電気自動車(EV)に対する高級車税​の課税基準額を12万豪ドル(8万3600米ドル)に引き上げることに合意した。これにより、EUから輸入されるEVの約75%が課税対象外となる。

EU企業によるオーストラリアへの輸出額は財が25年に370億ユー​ロ、サービスが23年に280億ユーロだった。

公式データによると、EUは24年時点で、オーストラリアの貿易相手として第3位、輸出先で第6位となっている。

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