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2026年3月23日
“党宮城の復興創生会議 東北大・栗山進一所長の講演から=要旨” 直接死防ぐ“行動変容”を
住宅耐震化や家具の固定、感震ブレーカー設置必ず

8日に行われた公明党宮城県本部の復興創生会議で、東北大学災害科学国際研究所の栗山進一所長が「命を守る防災」をテーマに講演した。要旨を掲載する。

東日本大震災の発生から今年で15年が経過した。15年で風化が始まり、30年で忘れ去られるとよく言われる。非常に大事な年だ。高台移転などハード面の被災地復興はかなり進んだが、被災者の中長期の健康調査に携わって明らかになったのは、肥満や高血圧の悪化、要介護認定が増えたということだ。抑うつ症状などメンタル面への影響は今も続いている。

こうした影響を少しでも減らし、死者を可能な限りゼロに近づけたい。災害に具体的に備えるためには、死亡原因を特定し、それに対応した備えが重要だ。

災害で亡くなる人を減らす取り組みを進める時、「直接死」と「災害関連死」に分けて考えるべきだ。自治体の地域防災会議に参加すると、避難所のあり方や備蓄状況の議論が中心だが、それは直接死がないという前提だ。なぜそのような話になるかというと、参加者が災害で亡くなった人ではないからだ。もし、亡くなった人の話が聞けたら、次に来る災害に備えてほしいと言っても、備蓄しろとはまず言わないだろう。直接死をなくす一人一人の“行動変容”が何より重要だ。

大切なのは「たこ」と「かに」。すなわち「耐震化(た)」「家具・家電の固定(こ)」「感震ブレーカー(か)」「すぐに逃げる(に)」。建物の耐震化は費用がかかるが必須だ。家具の転倒防止や地震時の通電火災を防ぐ感震ブレーカーは自分で設置できる。震度7の地震が来ても家が崩れなければ避難所もほとんど要らなくなり、支援のあり方も変わる。今、すべきことを知り、例えば「どこかの家で家具が固定されていない。えっ? なんで?」という社会的な雰囲気を醸成したい。

■国家戦略、公明こそ

南海トラフ巨大地震の被害は、2012年時点で32万3000人の方が亡くなると想定されていた。昨年3月の見直しで29万8000人に減少したが、わずか8%だ。自宅の耐震化率や家具の転倒防止の進捗管理を国や自治体レベルで行い、成果が出ているかをチェックする。これを、国家戦略を作って進めるべきだ。それをぜひ、公明党にただしてもらいたい。

「自然は人知を超えることがある」と知らなければならない。避難しても空振りで終わるかもしれないが、それが当たり前だと思ってほしい。

震度5以上の地震は日本中どこでも起こる。南海トラフ巨大地震の経済損失想定は270兆円だ。東日本大震災で16兆9000億円。事前投資しても十分に採算は取れる。

私たちは、東日本大震災も含めた災害で亡くなった人の「想い」を背負っている。事前防災は多くの人の命を救う。国、自治体、個人などあらゆる階層で本気で取り組まなければならない。

このまま何もしないで“あした”になれば、大地震は本当に起こり得る。動き出すのは今しかない。