閉城前に大勢が訪れている広島城の天守=19日

閉城前に大勢が訪れている広島城の天守=19日

 広島城天守(広島市中区基町)が老朽化に伴い、22日限りで内部公開を終え〝閉城〟する。市は将来の木造復元を検討中で、現天守での再開予定はないという。再開発が進む市中心部を見渡せる自慢の眺望は見納めとあって連日、大勢の入場者でにぎわっている。

 もともとの天守は1590年ごろ、戦国大名毛利輝元が築いたとされ、原爆投下での倒壊後、1958年に鉄筋で再建された。5層5階構造で、最上層からはサッカースタジアムや繁華街の高層ビルを一望。別の層では広島藩の歴史や城下町の様子を紹介するコーナーがあり、観光客や歴史ファンの人気を集めてきた。

 市の閉城発表は2025年4月。再建から60年を経て19年度に行った調査で震度6強~7程度の地震で倒壊、崩壊の恐れがあるとの結果を受けた。市民からは木造復元を求める声があり、23年に有識者会議を設けて検討を続けている。完成させたとしても、設計などに時間が相当かかることから最短で49年度を見込む。

 発表以後、入場者は急増し、25年度は2月末時点で62万2千人と前年度の年間49万4千人をすでに上回った。祝日の2月23日は約3400人が訪れたほか、3月には駆け込みで訪れる姿も目立ち出したという。

 19日は天守内部への玄関に入場待ちの列ができたほか、周辺は外観をバックに記念写真を撮る人たちで混雑した。竹原市塩町の平野順子さん(69)は「閉城と聞き約40年ぶりに来た。中に入るのが最後と思うと寂しいが、良い思い出になる」と話した。

 広島市文化振興課によると、天守自体の解体計画は現在ない。「史実を基に忠実に復元された外観を通じ、広島城の魅力に今後も触れてほしい」としている。

 20~22日は安全確保のため入場を1日4千人に制限。午前8時半からチケット購入の整理券を配る。
(岸本渉)