大阪市は、メインストリートの御堂筋で景観を維持するため制限している人物やキャラクターを描いた広告(キャラ広告)について、「低層部への設置」など一定の条件を満たせば掲示を認める方針を固めた。早ければ今夏にも基準を変更する。昨年開かれた大阪・関西万博に合わせ、イベントのPRに限ってキャラ広告を解禁したが、景観を損なわない範囲で常時設置を認め、にぎわい創出との両立を図る。(猪原章)

キャラ広告の規制が緩和される見通しとなった御堂筋(14日午前11時25分、大阪市中央区で)=東直哉撮影キャラ広告の規制が緩和される見通しとなった御堂筋(14日午前11時25分、大阪市中央区で)=東直哉撮影

 市は景観計画で定めた広告物基準や指針で、御堂筋地区の広告物のデザインについて、「風格ある御堂筋沿道にふさわしい落ち着いたものとする」などと規定。人物やキャラクターを用いることを禁じるほか、広告物は壁面と同系色とし、鮮やかすぎる色を使わないよう求めている。

 その基準を見直すきっかけとなったのが、万博だ。2023年12月、機運醸成のため、本来は基準に適合しない万博公式キャラクター「ミャクミャク」の像(高さ約2メートル)を特例的に市役所前に設置。開幕まで5か月に迫った24年11月には、イベントPRなど一時的な広告に限り、キャラ広告を解禁した。

 市によると、それ以前から、「広告に人物やキャラクターを使いたい」という事業者の要望は多く、景観に影響を与えない小規模なものに限り、常時設置を認めるよう基準を緩和することにした。

 新たな基準では、キャラ広告について、▽位置は建物の高さ10メートル以下などの低層部に限る▽広告物に占める面積を最小限(0・67平方メートル以下など)にとどめる▽落ち着いた色味(彩度6以下)にする――との要件を満たせば認める。ただし、オフィス街の淀屋橋―本町間は規制を厳しくし、商標に採用されているキャラに限って使用できる。

 変更案は今年2月、有識者でつくる市都市景観委員会で認められた。今後、市民への意見募集や市都市計画審議会での議論を経て、今夏以降に正式に決定する。市都市計画課の担当者は「御堂筋の風格ある景観と上質なにぎわいを両立させ、魅力を高めていきたい」としている。

来年完成90周年変化続け

 来年5月に完成から90周年を迎える御堂筋は、時代に合わせて変化し続けている。

 御堂筋は梅田(大阪市北区)―難波(同市中央区)間を結ぶ南北約4キロの目抜き通り。南行き一方通行の6車線で、沿道にはイチョウの木が植えられ、電柱が地中化されるなど景観を守る取り組みが行われてきた。

 一方で、沿道建物の高さ制限は1995年、31メートルから60メートルに緩和され、2014年には条件付きで100メートル以上も建てられるようになった。昨年5月に淀屋橋駅直結の「淀屋橋ステーションワン」(高さ150メートル)、同12月には「淀屋橋ゲートタワー」(同135メートル)が相次ぎ完成し、高層ビルが目立つようになっている。

 市は完成100周年となる37年を目標に、車道をなくして御堂筋を完全歩道化する構想を描いている。22年以降、側道の歩道化が進んでおり、車両の通行を制限して「歩行者天国」にするイベントも行っている。

「街を訪れる人増える」「統一感が魅力なのに」

 御堂筋沿いのビルに入る企業や通行人からは、様々な反応が聞かれた。

 大阪市中央区の不動産会社の担当者は、「広告の幅が広がれば、多様なテナントが入居を希望し、街を訪れる人の増加にもつながるのでは」と期待した。今月中旬に御堂筋を歩いていた同市港区の会社員の40歳代女性は「広告に目が行くし、華やかになるから良い」と歓迎した。

 一方、同市中央区の小売会社の担当者は「規制によって守られてきた高級感を損なわないようにしてほしい」と注文した。仕事で訪れた奈良市の会社員男性(65)は「今の統一感ある街並みが魅力なので、規制は緩和しない方がいいのでは」と話した。

 
大阪市都市計画審議会の会長を務める嘉名光市・大阪公立大教授
(都市計画)
の話
「キャラクター広告の規制は全国的にも珍しいが、御堂筋では景観への影響を考えて規制されてきた。ただ近年では、デザインをしっかりコントロールすれば、むしろブランド力を上げられるとの考えがあり、今回緩和に至った。今後は広告の質をどう担保するか、審査の運用や広告が掲示された後の検証が重要になってくる」

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