本稿は01Booster に掲載された記事からの転載 本稿は沖縄県主催のスタートアップ支援プログラム「Ryukyu Launchpad 2025」米国コースの Demo Day に登壇したスタートアップのピッチをお届けす […]

本稿は01Booster に掲載された記事からの転載

本稿は沖縄県主催のスタートアップ支援プログラム「Ryukyu Launchpad 2025」米国コースの Demo Day に登壇したスタートアップのピッチをお届けする。

2031年までに世界で1,200万機のドローンが配備されると予測される一方、その運用の80%は開発からデプロイメントまで依然として人手に依存している。

1台のドローンに1人のパイロット——この構造では無人ソリューションの意味がなくなる。

この課題に対し、Agentic AI で無人システムの統合管理を実現するのがインド発の Vyorius だ。2023年に OIST のアクセラレーターに採択されて沖縄に拠点を置く同社が、Ryukyu Launchpad の米国コースで LA に乗り込んだ。CEO のニシャント・シン・ラナ氏が現地で得た手応えを語った。

空・陸・海を問わない「ドローンの OS」

Vyorius が構築しているのは、空・陸・海を問わず、あらゆるメーカーの無人システムを一つのプラットフォームで管理・運用できる「OS」だ。メーカーには型式認証の期間を6カ月からわずか2カ月に短縮する支援を提供し、オペレーターには運用コストの削減と効率化をもたらす。1人のオペレーターが最大6機のドローンを同時制御できる仕組みが、人件費とオペレーションの両面でコスト構造を変えるのだという。

「1,200万機のドローンが世界中に配備される見込みですが、その80%は開発から配備まで人手を必要とします。1ドローン1パイロットの要件があるためスケールできず、無人ソリューションの意味がなくなり、経済的コストが大幅に増加します」(ラナ氏)。

モジュラー設計でハードウェアに依存せず、ダイナミックスウォーム(群制御)にも対応する。Wi-Fi、ラジオ波、衛星、4G、5G といった多様な通信方式をカバーし、災害対応や離島でのオペレーションにも柔軟に対応できるのが強みだ。

LA で約30社と面談——「脱・中国依存」が追い風に

米国コースでの成果は着実に積み上がった。物流、農業、公共安全の分野で約30社のエンタープライズとカスタマーインタビューを実施し、5件の MOU・NDA を締結。プラットフォーム導入を希望する LOI(趣意書)も獲得した。米国 VC との2件のアクティブな投資協議にも至っている。

「地政学的な状況から多くのメーカーが中国製品への依存を減らしており、日本やベトナム、台湾からの技術・製品を購入したいというニーズがありました。日本市場ではセールスまでに長い準備期間が必要ですが、米国では課題を正しく理解してエンドカスタマーにうまく伝えられれば、はるかに早く売れます」(ラナ氏)。

FAA(連邦航空局)との協議も実施し、メーカーと提携して認証を取得する Blue US プログラムの活用が有効だという知見も得た。次の渡米ではカスタマーディスカバリーの事前準備をさらに徹底し、最初の顧客との PoC プランを携えて臨む構えだという。

インドで創業し、沖縄 OIST を経由して日本市場に足場を築き、今度は米国市場へ——Vyorius の歩みは、沖縄のスタートアップエコシステムがグローバル展開のハブとして機能し得ることを示す一つの事例だ。

「ドローンの経済学を書き換える」とラナ氏が語るその挑戦が、どこまで広がるか注目したい。