
左より
仁愛大学 副学長 大森 慈子 さん
福井県立大学 副学長 北島 啓嗣 さん
福井県 副知事 鷲頭 美央 さん
福井大学 副学長 米沢 晋 さん
福井工業大学 副学長 池田 岳史 さん
(対談は2026年2月5日に行われました。)
県内すべての大学・高専の力を福井県の持続的な発展に活かすため、大学等をはじめ、産業界、医療界、金融界、自治体が連携して設立されたのが「未来協働プラットフォームふくい」です。学びと地域を結びつける多様な取り組みが進む中、その意義と可能性について、鷲頭県副知事、福井大学、県立大学、福井工業大学、仁愛大学の各副学長が活発に意見を交わしました。
プラットフォームのこれまでと、これから

鷲頭氏 未来協働プラットフォームふくいは、大学間連携の「ふくいアカデミックアライアンス(FAA)」を基盤に、令和3年に行政や産業界、医療界、金融界も加わって発足しました。対話を重ねながら課題を共有し、6つの部門ごとに具体的なプロジェクトを進めることで、福井の学びと地域発展を支える土台が築かれつつあります。この座談会では、各部門の責任大学が中心となり進める取り組みについて意見を交わし、さらに次の発展につなげていければと考えています。
米沢氏 まず、各大学を代表して、未来協働プラットフォームふくいという対話の場が県主導で生まれたことに感謝申し上げます。プラットフォームのもととなったFAAは、大学や高専が連携して地域課題に取り組む「COC(センター・オブ・コミュニティ)」事業を出発点に、地域活性化とは新しい価値を生み出すこと、つまりイノベーションを起こすことだという考え方へと発展していきました。
イノベーションを生み出すために欠かせないのは、分野や組織、立場の違いを越えた対話です。プラットフォームを通して情報を共有し、継続的に意見交換をしてきたことで、学問分野からの提案、学生の発想、地域の現場の声が重なり、新しいアイデアの種が確実に増えてきていると感じています。
今後は大学間の「横の連携」に加え、初等中等教育から社会人までを含めた「縦のつながり」も強め、対話を軸にイノベーションを生み出す場として発展させていきたいと考えています。

※福井大学 副学長 米沢 晋氏
大学は地域の“知の拠点”となるべき
鷲頭氏 大学は高等教育機関であると同時に、長年にわたり知識や研究を蓄積してきた「知の拠点」でもあります。人材育成や産業振興、文化の発展を支える重要な存在です。また、地域課題の解決という視点でも、大学が果たす役割はますます大きくなっていると感じています。福井のようなコンパクトな地域では、各機関がそれぞれ独立して動くのではなく、連携することが重要です。プラットフォームにて各大学が中心となっている協働の取り組みにについて教えてください。
池田氏 福井工業大学が中心となり、福井で進学する人材を確保し、定着につなげることをテーマに取り組んでいます。そのためには、入学という入口だけでなく、大学での学びや地域企業とのつながり、就職という出口までを一体で考える必要があります。学びと仕事がつながっていることを実感してもらうには、高校だけではなく、それより前、小中学校の段階から地域の産業や魅力に触れる機会をつくることが大切です。その一環として、企業と大学が連携して高校生に学びと仕事のつながりを体験してもらう「Feel Fukui’s Fun」というプログラムも始まりました。こうした活動が広がることで「福井で学びたい」という意識が育ちます。また、「福井だからこそ学べる価値」が外にも発信されれば、県内と県外の人材がバランスよく集まり、地域全体の活力につながっていくのではないかと考えています。

※福井工大 副学長 池田 岳史氏
大森氏 仁愛大学が中心となり、PBL(学生自ら課題を発見し、解決する能力を養う学習)を通して、企業や地域が抱える課題の解決に取り組んでいます。学生が実践的に学ぶ機会は、卒業後も福井に残り、地域で生きていく人材を育てることにもつながります。まずは、企業や地域からの課題と大学・学生を結びつける数とパターンを増やし、改善を積み重ねることが重要だと考え、実践の幅を広げています。学生は、「やらされる学び」よりも、自分で関わりながら成長を実感できる経験を重視します。さまざまな実践の場で実感を得ることで、学びはより深まり、地域や企業とのつながりも、さらに強まるのではないかと思います。

※仁愛大学 副学長 大森 慈子氏
北島氏 県立大学を中心に、県内企業等への就職の促進に取り組んでいます。まず、学生と企業の意識調査を行い、双方の間にいくつかの温度差があることが明らかになりました。そこで、専門家とも連携しながら、学生と企業間のズレの解消を目指しています。しかし、賃金格差、ジェンダーバイアスといった課題は大学だけでは解決できません。だからこそ、プラットフォームで産業界や地域とつながり、対話を重ねることが重要です。学生と企業の接点が増えることで、双方に気づきが生まれ、ポジティブな変化が促されます。大学が地域に開かれ、多様な人や組織を結ぶ存在となることこそ、「地域の知の拠点」としての役割だといえます。

※県立大学 副学長 北島 啓嗣氏
米沢氏 「学び続けること」は、人や地域にとってどんな意味を持つのか。その視点から、福井大学が中心となり、企業との共同研究や社会人のリスキリング教育を進めてきました。学生が企業の研究に関わることで、学びが社会と直結していることを実感し、将来像が具体的に見えてきます。それが地域に残って働くという選択にもつながっていくのではないでしょうか。また、知識や技術の変化が激しい時代だからこそ、社会に出てからも学び続けることが必要です。大学が地域をつなぐ「知の拠点」となり、地域全体がひとつのキャンパスのようになって、さまざまな場所で、さまざまな人と出会いながら学んでいく。そんな姿が、これからの時代にはふさわしいのではないでしょうか。
福井の未来をつくる“人材像”とは 福井だから育てられる力とは?

鷲頭氏 福井で学びたいと思う人が増え、全国からも注目されるようになれば、地域の活力もさらに高まります。そのためには、福井の強みは何か、福井で学ぶことの価値はどこにあるのかを見つめ直し、磨き続けていくことが欠かせません。福井だからこそできる教育や、それによって育つ人材の未来像について、ご意見をお願いします。
池田氏 恐竜、宇宙技術、原子力などの研究は、全国どこの大学でもできるわけではありません。こういった恵まれた環境が福井にはあります。また、地域政策や観光、インフラといった身近な課題に向き合いながら学べる点も魅力です。こうした福井だからこそできる教育を、いかに県内外にアピールしていくかが、未来をつくる人材の確保と育成のカギを握ると考えています。福井ならではの高等教育と全国的に知られている小中学校の学力の高さを組み合わせ、「学ぶなら福井」というキーワードを発信していきたいです。

大森氏 学生に将来の目標を尋ねると、多くが「人の役に立ちたい」と答えます。その思いを、実感を伴ったものに変えていくために、企業や地域との協働が重要になります。たとえば仁愛大学では、地域と深く関わりながら、人間関係と心、ビジネス、食と健康、子どもの教育といった人の生活に欠かせないテーマを学べますし、他大学にも多様な学びがあります。それぞれの強みを生かし、県全体で人材を育てる視点が大切です。また、協働する企業からは、学生への期待の大きさを感じます。学生の力をしっかり生かしながら、企業や地域の課題に応える形へとまとめていく。その橋渡しとなる役割が、大学に求められているように思います。

北島氏 福井の未来をつくる人材とは、地域社会と接することで自ら問題点を見つけ、AIを使いこなしながら解決へ導ける人だと考えています。AIが答えを出す時代ですが、課題を見つけ出し、問いを立てるのは人間にしかできない仕事です。福井には顔の見える関係の中で学べる環境があります。地域の声を直接聞き、産業界と対話しながら実践的に学ぶ経験が、課題発見力や主体性を育てます。PBLなどで学生を盛んにほめる傾向がありますが、時には厳しい指摘も必要です。それが対面教育の良さであり、実践的な学びとキャリアにつながると思います。

米沢氏 対面教育などを通して地域を学び、その成果を認めるための仕組みが、福井にはあります。それが、プラットフォームが取り組んでいる「ふくい地域創生士Ⓡ」という認定制度です。福井という地域を題材として、課題を発見し、解決を目指す。その過程で産業界や行政などさまざまな関係者と対話を重ねることで、地域に貢献できる力を養えます。認定者数も増えてきているので、今後はふくい地域創生士の活躍の場をつくると同時に、世代を超えた縦のつながりを強めるための工夫をしていきたいと考えています。

大学連携・産学官医金連携の意義とは?

鷲頭氏 人口減少が進む中で、地域を支える人材を育てていくには、産学官医金が互いに補い合いながら一体となって取り組むことが欠かせません。中央教育審議会の「知の総和」答申でも、地域の大学と自治体、産業界が一体となって議論する場の重要性が強く打ち出されています。その先進的な事例として、全国的にも注目されているのが「未来協働プラットフォームふくい」です。これからも大学や地域のみなさんと力を合わせ、福井で多様な学びを続けられる環境づくりを推進していきます。福井の未来を、ともにつくっていきましょう。
米沢氏 今後も大学等が一体となったプラットフォームの関係性を生かして、具体的なアクションにつながる対話ができればと思います。互いの知見やリソースを共有すれば、さらに発展的な取り組みができるはずです。
北島氏 県内の大学等は学部の重なりが少なく、補完し合える関係です。プラットフォームという枠組みの中で協働することで、県全体としての「総合力」が生まれるのではないでしょうか。
大森氏 プラットフォームがあることによって、産学官医金の関係性が作りやすくなります。地域の発展に向けて非常に恵まれた環境だと思います。今後も継続的に話し合う場を設けることが重要だと考えます。
池田氏 県内の大学等が相互補完しながら生き残っていき、地域の人たちに学ぶ機会を提供し続ける。これはプラットフォームとしての大きなテーマだと思います。
協働でつくる、福井の豊かな未来 ~各大学への個別インタビュー~はこちらのリンクからご確認ください。
【PR】未来協働プラットフォームふくい
【企画・制作】福井新聞社
