カナダの非営利利団体「カナダ林産業審議会」(「Canada Wood」)は、木造建築に関する普及・啓蒙活動を行なっている。本ページでは、沖縄県恩納村に開業したラグジュアリーリゾートヴィラ「URUUMI ONNA POOL VILLA」を例に、木造の宿泊施設の可能性に迫る。施工を担当した(株)エッジ・ファクトリー 代表取締役の秦 康展氏に、リゾート地に木造で建てることのメリットやツーバイフォー工法の優位性などを聞いた。
企画・本誌:森下智美 取材:はまだふくこ
沖縄本島の中央に位置する恩納村の海岸沿いは、ハレクラニ沖縄やANA インターコンチネンタル万座ビーチリゾートなどのラグジュアリーホテルが建ち並ぶ人気のリゾートエリア。その一角に開業したのが総合不動産事業を展開する(株)ファミリーコーポレーション初のリゾート開発プロジェクト「URUUMI ONNA POOL VILLA」。土地の文化や自然に寄り添った設計がなされ、“ ゆいまーる(助け合い・つながり)” の思想を空間全体で体感できる宿泊施設だ。約2600㎡の敷地は街を作るように設計され、14棟のヴィラはゲストの視線が重ならないように配置されている。
施工を担当したのは、地元で木造建築の実績が多く、沖縄特有の湿害・シロアリ対策にも長けている(株)エッジ・ファクトリー。
「沖縄は高温多湿の環境で、特に高い遮熱性が求められることから、鉄骨よりも木造建築物の方が適しています。中でもツーバイフォー工法は、6面体の箱型の構造により、地震などの揺れを面全体で分散して受け止めるため、耐震性が非常に高いのが特徴です。そのため風圧にも強く、台風や季節風が多い沖縄の気候風土に適しています。また断熱性、気密性ともに高く、冷暖房の効率がよい点も評価できます」
「配置図」 アプローチ道路を中央に設け、各棟のエントランスが向き合わないように設計することで、ゲストの視線が重ならないように配慮
鉄筋コンクリート造に不可欠な地盤の問題もクリアする。木造建築の場合は、地盤が強固でなくても杭を打つ必要が無く、直接基礎(ベタ基礎)を採用できるためコストを抑えられ、工期も短縮できる。このようにコストダウンしたことで細部に予算や手間をかけられるという利点もある。
「ゲストの幅広いニーズ(人数、世帯数など)やリピート需要に応えるため、14 棟はすべて異なる意匠。デザインは違えども工法と作業自体に支障はなく、工期も予定通りでした」
リゾートエリアのヴィラで、リラックス感を演出するため外壁の角はアールを施し、さらに手作業の塗り壁にすることで、沖縄の自然とマッチするような意図で造られている。各部屋から沖縄の自然の景観を遮らないように、電線の地中埋設工事も行なっている。
「風の圧力の大きい沖縄での2 ~ 3階建ての耐風設計がなされ、確認もしっかり行ないました。沖縄の木造建築で懸念されるシロアリ対策も実績があり、サッシなどの建材の防湿性能なども高まっています。沖縄における木造建築の認識を変えていきたいですね」
いま、沖縄本島全体でコンビニエンスストアや飲食チェーンの店舗、共同住宅などでもツーバイフォー工法の採用が増えている。なお、事業用定期借地権で、建物を解体して更地に戻す際のコストも抑えられるという点でも優れている。
「現状、沖縄での木造建築は個別のヴィラや2~3階の低層階建築が主となっていますが、今後は海外にあるような大きな宿泊施設に関しても、木造が求められる可能性が高いと実感しております」
今後もツーバイフォー工法のホテルやヴィラが増えていきそうだ。
夜間はライトアップで幻想的な雰囲気を演出

滞在をより快適にするコンテンツとしてケータリングサービスも用意

各棟のプール部分に設けた斜めにせり出したバルコニーが空間の奥行きをもたらす

客室は“ つながり” をテーマに全棟異なるデザインを採用

開放的なダイニングテラスではバーベキューもできる(Photo © Ichi Nakamura)
(株)エッジ・ファクトリー 代表取締役 秦 康展氏
URUUMI ONNA POOL VILLA
https://www.uruumi.jp/
所在地:〒904-0411 沖縄県国頭郡恩納村恩納6184 番地2
開業日: 2025 年8 月5 日
構造:枠組壁工法
階数:1 ~ 3 階建て
敷地面積:2, 589.07㎡
客室構成: 全14 棟
建築面積:1 棟当たり34.98 ~ 53.82㎡
延床面積:110.51㎡~ 152.85㎡
宿泊料金:1 泊1 棟 35,000 円〜(税込・時期により変動)
運営会社: (株)ファミリープロパティ(事業内容:賃貸管理事業/賃貸仲介業)
デザイン(内装・外装):(株)ファミリーコーポレーション
開発統括:(株)ファミリーコーポレーション
設計・監理:(株)コホーネス
施工:(株)エッジ・ファクトリー
構造材供給:(株)ダイリFPC
この記事は『月刊HOTERES』4月号に掲載しております。