インドのベロール工科大学(VIT)の研究者らは、血液中の遺伝子発現データと人工知能(AI)を組み合わせ、アルツハイマー病を早期に識別する新しい解析手法を開発した。科学誌nature indiaが2月17日に伝えた。研究成果は学術誌Scientific Reportsに掲載された。

アルツハイマー病の早期診断は侵襲的かつ高コストな方法が必要となる。研究チームは、血液検査で得られる遺伝子発現データと説明可能なAIを組み合わせることで、よりスケーラブルで非侵襲的な診断手法を提案した。

研究では、公開されている3つのマイクロアレイデータセット(GSE63060、GSE63061、ADNI)を、1万2459遺伝子を含む476サンプルのデータセットに統合した。重要な遺伝子を抽出するため、カイ二乗検定、分散分析(ANOVA)、再帰的特徴除去、ElasticNetなど複数の特徴選択手法を組み合わせた。さらに、説明可能なAI手法であるSHapley Additive exPlanations(SHAP)を用いて各遺伝子の重要度を評価し、モデルの解釈可能性を高めた。また、サンプルサイズの制限の問題を補うため、敵対的生成ネットワーク(GAN)によるデータ拡張を実施した。

選択された遺伝子に対し、ディープニューラルネットワーク(DNN)と1次元畳み込みニューラルネットワークの2種類のディープラーニングモデルを学習させた。その結果、DNNモデルは精度91%、適合率95%を達成し、従来の機械学習手法より高い性能を示した。

解析の結果、RPL36AL、CSF2RB、RMND5Bの3遺伝子がアルツハイマー病患者と健康な個人を区別する重要な血液バイオマーカーとして特定された。これらの遺伝子は、疾患に関連する分子シグネチャーを示す可能性があるという。

研究チームは、説明可能なAIと血液遺伝子発現データを組み合わせることで、アルツハイマー病の早期検出に向けたスケーラブルな診断手法の実現が期待できるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部