meet at crosspoint
人と地域をつなぐ アンテナショップ探訪/三重テラス(東京・日本橋)

首都圏にある全国各地のアンテナショップは、その地域を訪れないと手に入らない名産品が揃っているのが大きな魅力。でも実は、それだけではありません。商品の販売だけでなく、さまざまな取り組みを通じて地域の魅力を発信しているのもアンテナショップならではの役割です。
そんな“地域文化の入口”としての視点から、毎回ひとつのアンテナショップを訪ねる「meet at crosspoint 人と地域をつなぐ アンテナショップ探訪」。今回は、東京・日本橋で三重県の食・歴史・伝統・文化などを発信する「三重テラス」にお邪魔しました。
東京にいながら、どんな三重に出会えるのか。さっそくご案内しましょう。
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・豊かな自然と多彩な味覚に恵まれた「美し国」三重
・三重のファン同士がつながり、もっと三重を好きになれる場へとリニューアル
・店内を巡っているだけで三重を旅した気分に
・もち街道を“食べ歩き”する、ちょっと贅沢な楽しみ
・食を通して、三重への愛着が深まる
・「三重に行ってみたい」が芽生える、体験型イベント
【スタッフさん*イチオシ!】
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豊かな自然と多彩な味覚に恵まれた「美し国」三重
皆さんは三重のキャッチコピーとして「美(うま)し国」という言葉を聞いたことはありますか? その由来は、日本最古の歴史書『日本書紀』までさかのぼります。伊勢国(現在の三重県)が「美しい良い国である」と記されており、「美し」には「満ち足りて心地良い」という意味も含まれているのだそう。
その言葉通り、三重は豊かで美しい自然が四季折々の表情を魅せるとともに、伊勢えびや松阪牛をはじめとした海・山・野の幸にも恵まれています。さらに、“日本人の心のふるさと”と言われる伊勢神宮や世界遺産の熊野古道など、日本を代表する歴史・文化遺産の数々も点在。
自然と文化、そのどちらもが日常の延長線上にある——それが三重という土地の大きな魅力です。

田植えを終えたばかりの丸山千枚田(熊野市)。約1,300枚の棚田が段々に連なり、日本最大級ともいわれる景観が山あいを彩ります。水面に映る空と緑のコントラストは、日本の原風景を思わせる美しさです。

紅葉に包まれた御在所ロープウエイ(四日市市)。山肌を彩る赤や黄色のグラデーションに加え、そびえる奇岩や珍岩も間近に。山麓から山頂へと色づきが移ろう三段紅葉も楽しめます。
そんな三重の文化的な特徴や魅力を知るヒントとして、今回の探訪でスタッフさんが挙げてくれたのは“南北に長い県”という地形でした。
「同じ三重でも、南と北では気候も産業も異なります。それぞれの土地で育まれた文化や歴史に特色があって、その多様性こそが三重の面白さですね。そうした各地域の個性豊かな魅力を発信しているのが三重テラスです」と教えてくれました。
なるほど。三重テラスは、三重を知る“入口”として、ぴったりの場所なのかもしれません。
三重のファン同士がつながり、もっと三重を好きになれる場へとリニューアル
三重テラスが日本橋に開設されたのは2013年。その立地についてスタッフさんに伺うと「日本橋は三重と深いつながりのある街なんです」という答えが返ってきました。
江戸時代に現在の松阪市出身の商人・三井高利が三井グループのルーツとなる呉服店を日本橋に開業。
かつて日本橋には多くの伊勢商人が店を構え、街の発展を支えていたといいます。現在も日本橋には“国分”、“にんべん”など三重ゆかりの企業があり、三重テラスの活動を応援してくれているのだそう。そんな歴史的な縁が、今もこの日本橋でちゃんと続いているんですね。
開設以来、名産品の販売やレストラン、イベントなどを通じて三重のさまざまな魅力発信を行ってきた三重テラスは、10周年を迎えた2023年に大きくリニューアル。
それまでイベントスペースとして使っていた2階に、三重に関心を持つ人なら誰でも無料で登録・利用できる会員制のコワーキングスペースが誕生しました。ここは仕事に向き合う時間もあれば、人と出会い、語り合う時間もある場所。常駐するコミュニティマネージャーによる場づくりの中で、会員同士が自然に交流できる環境が整えられています。さらに、日本酒やスイーツなど三重の魅力をテーマ別に掘り下げる「三重テラス部活動」も展開中(2026年2月現在17種類)。
1階のショップやレストランで三重に興味を抱いたら、2階のコミュニティスペースでさらに関心を深め、人とつながり、共通の趣味の仲間を作りながら三重をもっと好きになる——。そんな流れが自然に生まれる、新しいアンテナショップのかたちです。

左)旅のプランニングにうれしい、三重県内の観光パンフレットがずらり。気になることはコンシェルジュに相談できるのも心強いです。
右)木の温もりに包まれた2階のコミュニティスペース。ゆったりとしたテーブル席やカウンターが配され、仕事にも対話にも心地よい空間が広がります。

2階のコミュニティスペースで開かれている「三重テラス部活動」。写真は伝統工芸部の活動の様子。持ち寄った工芸品を囲みながら、その魅力や背景について語り合います。ほかにもビール部や湯道部など、テーマはさまざま。
店内を巡っているだけで三重を旅した気分に
三重テラスについて知るうちに、実際に店内を見てみたくなってきました。さっそく気になっていた1階のショップをのぞいてみることに。
百貨店や高層ビルが立ち並ぶ日本橋の大通りに面した入口には、厳選されたおすすめ商品が平台にずらりと並んでいて、入った瞬間からワクワク感が高まります。食品、お茶、伝統工芸品などジャンルも幅広く、あれこれ手に取りたくなるラインナップ。目移りしてしまいますが、なかでも気になるのが限定入荷の商品! 入荷予定は店内のカレンダーで確認できるので、「次は何に出会えるだろう?」と想像しながら、次のお楽しみを探すのもおすすめです。

ショップとレストランの棚やカウンターには三重県産のヒノキやスギが使われ、ほかにも伊勢木綿のカーテンや伊賀焼・四日市萬古焼のタイル、組子の照明など、三重の伝統工芸も随所に取り入れられています。店内に足を踏み入れた瞬間から、三重を感じられる空間づくりとなっているのです。
さらに店内を進むと、鳥羽のご当地銘菓「シェル・レーヌ」をはじめ、松阪牛を使ったビーフシチューなどのレトルト食品、伊勢うどんといった地元に愛されるソウルフード、地域の風土に育まれた地酒、伊賀焼などの伝統工芸品がずらり。店内を巡るだけで、三重の暮らしや文化に触れているような気分になります。
スタッフさんによると、「三重出身の方が『懐かしい!』と来店され、同じ三重出身のスタッフとの会話を楽しまれることも多い」のだそう。この空気感もまた、アンテナショップならではの魅力です。

左)伊賀焼の土鍋はもちろん、四日市萬古焼の紫泥急須も三重を代表する伝統工芸。お茶の香りと旨みが引き立ち、使うほどに味わいが増す“育てる楽しみ”がある急須なのだそう。
右上)伊勢で親しまれてきた練り物や、豆腐を使った郷土料理「ひりょうず」。伊勢うどんは、たれもセットで忘れずに。
右下)米菓やご当地スナックも充実。ついカゴに入れたくなる“三重のおやつ”が揃っています。
もち街道を“食べ歩き”する、ちょっと贅沢な楽しみ
スタッフさんからおすすめされたユニークな売場が「三重のもち街道」。
江戸時代に伊勢神宮を訪れた旅人たちは、手軽に食べられて腹持ちの良い餅を、道中食として好みました。桑名から伊勢へ続く街道沿いには餅菓子屋がたくさんあったことから、「餅街道」と呼ばれるようになったといいます。
その文化は今も受け継がれていて、三重テラスでも各地の名物餅を販売。東京にいながら、餅街道を“食べ歩き”できるなんて、なんとも贅沢ですね!
なかでも人気なのが、週末限定で入荷する「なが餅」。昔ながらの製法を守った素朴な味わいは何度でもリピートしたくなります。

食を通して、三重への愛着が深まる
ショップに併設されたレストランでは、三重の海・山・里の幸を、郷土料理を中心とした和食スタイルで味わえます。てこね寿しや伊勢うどんといった定番メニューのほか、3種類の週替わりランチも魅力的。さらに三重県産コシヒカリがお替わり自由という嬉しいサービスも。常に10種類前後揃っている三重の地酒と合わせて味わえば、食を通じて“三重愛”がますます深まりそうです。
三重から人気料理人を招いて産地の魅力を味わうイベントも不定期で開催されているので、こまめにチェックするのがおすすめです。

「てこね寿し膳」小鉢一種・お味噌汁付き 1,600円(税込)
新鮮で肉厚なカツオの漬けが、やさしい酢飯によく合います。ミョウガのアクセントも相まって、ペロリと食べてしまいました。赤だしのアオサの味噌汁も絶品。この日の日替わり小鉢はラタトゥイユ。さっぱりとして和洋の取り合わせの妙を感じました。
「三重に行ってみたい」が芽生える、体験型イベント
2階のコミュニティスペースでは、食・歴史・伝統工芸・観光PRなど、さまざまなテーマで年間約170ものイベントが行われています。コワーキング会員登録をして部活動に参加すれば、テーマを掘り下げたよりディープな楽しみ方ができる一方で、登録をしていなくても参加できる講座やトークイベント、体験型プログラムも充実。興味のあるテーマから、気軽に三重の魅力に触れられる場になっています。近年は講師の話を聞くだけでなく、名産品の試食やワークショップなど、参加者体験型のイベントが増えているのだとか。実際に味わい、体験してみることで「三重って面白いな」「行ってみたいな」という気持ちが自然と芽生えてきます。
2026年は三重県誕生150周年。三重テラスでも周年事業として、食や伝統産業の魅力を伝えるイベントが2月から3月にかけて開催される予定です。伊賀くみひもや市木木綿など三重の伝統工芸職人による実演・ワークショップ、日本酒と三重県産食材のペアリングをテーマにしたポップアップレストラン、津市出身のお笑い芸人・バッテリィズ寺家さんと餅街道について学べる講座など、多彩な企画が盛りだくさん! 三重の文化に親しむ入口として、気軽に参加できる機会となっています。

3月には、三重おいないナビゲーター2025のバッテリィズ寺家剛さん(津市出身)と皇學館大学・小林郁さんによる餅街道トークイベント(※申込受付終了)や、餅街道ポップアップカフェも開催。“おいない”とは三重の方言で「おいでなさい」の意味。その言葉通り、歴史を学びながら、お餅を味わい、三重の文化をぐっと身近に感じられる企画が揃います。旅人たちに愛されてきた“餅街道”の世界を、三重テラスで体験してみませんか。詳細は三重テラス公式ホームページ(https://mie-terrace.jp/)をご覧ください。※外部サイトに遷移します。
最後にスタッフさんに三重テラスでのイチオシの楽しみ方を尋ねたところ、
「興味のあるテーマの部活動に参加して、同じ三重ファンとのコミュニケーションをお楽しみください。多岐にわたるテーマがあり、掛け持ちも自由です」
とのことでした。
名産品やイベント、人との出会いを通して三重の多彩な表情に触れられる三重テラスは、日常の中で三重と出会うための“開かれた窓”のような存在。日本橋にいながら、三重との距離がぐっと縮まる場所です。
【スタッフさん*イチオシ!】
有機農業で育てた甘夏をぎゅっと絞ったジュースは、とても濃厚! ストレートで飲むのはもちろん、炭酸やお酒で割るのもおすすめです。尾鷲甘夏とシェル・レーヌを合わせた、三重テラス限定のオリジナル商品「シェル・レーヌ尾鷲甘夏」も人気です。
尾鷲甘夏のファンになったら、収穫体験をしながら尾鷲の散策も楽しめる甘夏収穫ワーケーションや みえみかん部にもぜひご参加ください。

左)農薬、化学肥料不使用で栽培、尾鷲の自然の恵みが凝縮された甘夏の果汁100%ストレートジュース。
右)「シェル・レーヌ」シリーズの中で、尾鷲甘夏は三重テラスだけの限定商品。
2026年1月訪問
取材協力:三重テラス
【ショップ情報】

三重テラス
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2-4-1 YUITO ANNEX 1F・2F
[TEL]
ショップ:03-5542-1033
レストラン:03-5542-1030
コミュニティスペース・観光案内:03-5542-1035
[営業時間]
ショップ:10:00~20:00
レストラン:ランチ11:00~14:30(L.O.14:00)・カフェ14:30~17:00(L.O.16:30)・ディナー17:00~22:00(L.O.21:00)
コミュニティスペース・観光案内:10:00~20:00
[定休日]年中無休(年末年始、施設休業日を除く)
[アクセス]東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」駅直結/JR総武線快速「新日本橋」駅直結/JR山手線・中央線・京浜東北線「神田」駅より徒歩8分
https://mie-terrace.jp/ ※外部サイトに遷移します。
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\ あわせてお楽しみください /
大阪芸術大学の学生が描いた「三重県」の魅力はこちら
