「前衛土佐派」の活動を戦後日本の前衛美術運動のなかで再検証する
高知出身の美術家、高﨑元尚(1923〜2017)と浜口富治(1921〜2009)の活動を中心に、1960年代の高知で起きた前衛美術運動の実像に迫る展覧会「高知の前衛 高﨑元尚と浜口富治」が、高知県立美術館で開催されている。会期は3月31日まで。
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第二次世界大戦の終結後、途絶えていた欧米美術との接触が再開すると、日本各地で前衛美術運動が活性化した。1950〜60年代には大阪の「具体美術協会」、福岡の「九州派」などが生まれ、高知でも1962年に高﨑と浜口を中心とした「前衛土佐派」が結成される。
この前衛土佐派に光を当てる本展では、1997年の「こんなアヴァンギャルド芸術があった!──高知の1960年代──」展以降、高知県立美術館が継続してきた研究調査の成果として、新たに確認された作品や遺族宅から発見された貴重な資料などを一挙公開する。長らく全体像がとらえられなかった浜口の1960年代の活動や、高﨑の代表作「装置」シリーズの発展を初めて体系的にひもとくと同時に、前衛土佐派に参加した地元作家の作品や、彼らと並走した詩人たちの活動にも注目。約200点の作品を通して、1960年代高知のアートシーンを浮かび上がらせる。担当学芸員は同館の塚本麻莉。
展覧会はふたつの会場・全7章構成で、ライバルでもあった高﨑と浜口の制作を対比しながら、関わりのあった作家たちの作品も含めて時系列で紹介。前衛土佐派の活動終了、そしてその後のふたりの展開までをたどる。各章の見どころを追っていこう。
高﨑元尚の「朱と緑」、浜口富治の「反絵画」
1960年代高知の前衛美術運動において重要な役割を果たしたのが、高知県美術展覧会、通称「県展」だ。展覧会冒頭ではまず、プロローグとして高知県展の設立背景が紹介される。
戦時の大空襲と1946年の昭和南海地震で壊滅的な被害を受けた高知市では、復興に向けて文化活動の再開を望む機運も高まっていた。そんな状況のなかで洋画家の山脇信徳と中村博が県庁に持ち込んだ公募展構想を高知新聞社が拾い上げ、現在まで続く高知県展がスタートした。「県展」でありながら行政主導ではなく、作家たちの自主運営の側面も強く、作家たちのあいだには「私たちの県展」という意識が芽生えたといい、60年代の前衛運動の土壌となった。
