(CNN) 中東で続く戦争が原油価格を急騰させ、米国内でガソリン価格を高騰させている。

原油価格は9日に1バレル100ドル(約1万6000円)を突破。米国内のガソリン価格の平均は米国がイランとの戦争を始めて以来、50セント値上がりして3.48ドルとなった。

現在のエネルギー危機は重要な事実を見せつけた。つまり、米国のガソリン価格を世界の原油市場と切り離すことはできない。たとえ米国が世界最大の石油輸出国であっても、ホルムズ海峡を通過する石油タンカーの停止状態、そして中東の石油大国サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の減産分を埋め合わせることはできない。

シェール革命のおかげで米国は、フラッキング(水圧破砕法)の新手法を使ってテキサスやニューメキシコ、ノースダコタの各州で石油採掘量を増やし、世界最大の産油国になった。だがこの国は、全ての石油が同じではないことを身をもって知った。米国民が消費する石油は、自分たちが生産する石油とは異なる。

原油は硫黄の含有量によって「軽質」から「重質」に分類される。米国でフラッキングによって地中から掘削しているのは高価な軽質原油で、2025年には米国が輸出した原油の大部分に相当する日量390万バレルを占めた。

専門家はこれを「原油のシャンパン」と呼ぶ。

しかしこれは、米国で長年にわたって車の燃料や産業用に使われてきた石油とは種類が異なる。米国はカナダやサウジアラビア、中南米諸国など他国から来た粘性の高い、ドロドロした原油で成り立っている。

原油の種類:米国が主として採掘しているのは軽質のスイート原油。この種類の原油は精製が最も容易で、高価値の石油製品を生産できるため「石油のシャンパン」と呼ばれる/US Energy Information Administration, Kimray, University of Zagreb
原油の種類:米国が主として採掘しているのは軽質のスイート原油。この種類の原油は精製が最も容易で、高価値の石油製品を生産できるため「石油のシャンパン」と呼ばれる/US Energy Information Administration, Kimray, University of Zagreb

「原油の中にはコーヒーかすのようにドロドロで粘性が高く汚いものもあれば、軽くて硫黄を含まないシャンパンのようなものもある」。コンサルティング会社ラピダン・エナジー・グループのボブ・マクナリー社長は昨年、CNNにそう語った。

米国はこうした国産の「シャンパン」を地中から大量に採掘している。エネルギー情報局によると、米国産の原油は約80%を軽質原油が占める。

一方で米国は、「コーヒーかす」石油を大量に使用する。昨年、米国は日量約620万バレルの原油を他国から輸入しており、そのほとんどが重質から中質だった。輸入元は隣国カナダが圧倒的に多く、25年は日量約390万バレルの原油がカナダから米国に輸入された。

だが、米国がたとえ原油のほとんどを北米の隣国であるカナダとメキシコから輸入していても、中東の原油供給不安と無関係ではいられない。

サウジアラビアは米国にとって第3の石油輸入元で、エネルギー情報局の統計によると、日量約27万バレルを米国へ輸出している。

それ以上に重要なのは、原油市場のグローバル性だ。

「原油の価格は世界共通で決まる。我々は全員、同じ価格のジェットコースターに乗っている」とマクナリー氏は最近のインタビューで語った。「石油市場の現実として、どこであろうと供給が途絶えれば、米国を含めて世界中の給油所でガソリン価格が急騰する」

さまざまな質の原油の価格は世界市場で決まる。ホルムズ海峡を通過する原油の大部分がアジアへ向かうとしても、米国も無縁ではいられない。

影響は米国のエネルギーインフラにも及ぶ。米国の製油所の多くは(中には1930年代やそれ以前から存在するものもある)、軽質原油ブームの何十年も前に建設され、従って重質原油の処理を想定して設計されている。

一部には国産の軽質原油に対応した製油所も存在するものの、状況は地域や地理によって異なっている。