東日本大震災の発生からあすで15年です。震災では津波が甚大な被害をもたらしました。そしておととしの能登半島地震では、富山県にも津波が到達しました。その中には海底地滑りによって発生したとみられる津波もあり、地震発生から3分で到達しました。富山の津波防災を考えます。

能登半島地震の後、富山湾の海底を研究する動きが加速しています。

「ブロック!ブロック!」
「岩盤のブロック、崩壊堆積物ですね」
「いや、これは完璧でしょう。これはわれらが望むもの」

富山大学 学術研究部 都市デザイン学系 立石良 准教授
「そうです、まさに。素晴らしい」

災害地質学が専門の富山大学・立石良准教授です。

去年7月に、富山湾の海底を潜水ロボットが撮影した写真などを分析。能登半島地震が引き起こしたとみられる、大規模な海底の変化の明確な痕跡を確認しました。

富山大学 立石良准教授
「こういった非常に大きなブロックが見られました。3枚の写真になってますけど、(岩が)大きすぎて1枚の画像には収まりきらない」

推定で高さ3メートル、幅10メートルを超える巨大な岩。射水市新湊地域の沖合、水深270メートル付近で見つかりました。

海底の斜面が地震で崩壊し、その破片が谷底に転がってきたものとみられます。「海底地滑り」と呼ばれる現象です。

海上保安庁などがこれまでに行った調査でも、富山湾の各地で海底地滑りが発生したことがわかっています。

地滑りを含めた海底の変化は、海の生き物にも大きな影響を与え、ベニズワイガニやシロエビの漁獲量の減少をもたらしたと考えられています。

さらに、海底地滑りは海面の急激な変動をもたらし、津波を引き起こします。

陸に近い場所に海底の谷が迫っている富山湾の西側エリアは、岩盤の崩落が起こりやすく、最大の警戒が必要です。

立石准教授は、富山湾には断層により震源地付近で発生する津波と、海底地滑りによる津波が重なってやってくる特性があると指摘します。

富山大学 立石良准教授
「海底地滑りによる津波は、実は遠くで地震が起きても発生し得る。なので、遠くの地震だから関係ないだろうと思っていると、海底地滑りによる津波がやってくる可能性もある。で、それらが重なり合うということも十分考えられる」

こちらは能登半島地震発生時の神通川河口の様子です。

激しい揺れの後、映像を早送りすると、地震発生から3分後、海面が下がっていくのが分かります。津波の前の引き波です。

その後、画面右側、沖から波が押し寄せ、砂浜はすっかり隠れて、海水が神通川をさかのぼっていきます。

この津波について研究しているのが、京都大学の岩井裕正准教授です。

京都大学 都市社会工学専攻ジオマネジメント工学講座 岩井裕正准教授
「割と角ばっているので最近崩れたのかなというような岩石片、ちょっと簡単に触っただけでは崩れないが、割と硬めですね」

海底から採取した土の密度や、水中ドローンの映像、そして、地震前後の海底地形の解析などから、地滑りで海面がどのように変化したのかをシミュレーションしました。

それがこちら。画面右側が東、左側は西で、神通川河口から沖の方向を見たものです。

青い点は、地滑りによる岩盤の崩れを表現しています。

岩盤が崩れることによってその真上の海面の動きを示したのが、この波線です。岩盤が崩れた真上では、海面が大きく沈み込み、大きな引き波が発生するメカニズムを再現したといいます。

京都大学 都市社会工学専攻ジオマネジメント工学講座 岩井裕正准教授
「海底地滑りが起きた斜面上で、どれぐらい初期に波が出たかというところを換算すると、この数値シミュレーションで出た水面変動と、実際に神通川河口で観測された津波の振幅が、およそいい合致をみせたと。富山湾で、最初に引き波が、結構顕著に50センチぐらい出ていた。そういったところも含めて、海底地滑りが原因の津波が到達したんだというふうに考えている」

海底地滑りによって津波が起きることを裏付ける結果が得られました。

京都大学 都市社会工学専攻ジオマネジメント工学講座 岩井裕正准教授
「海に近いところだと予想外の津波が到達したりとか、地震断層変位で起きた波と相まって、余計に大きくなったりとか、増幅してしまうという可能性もある。予想外の津波が到達するリスクがあるということを、事前に認識しておくことが重要かなと考えている」