ひろしまAIサンドボックス第1期成果発表会


ひろしまを学ぶ | 2026年3月11日(水)

「広島の可能性をAIで解き放て」。そのスローガンを合言葉に取り組んでいる「ひろしまAIサンドボックス」。全国のAI開発者と、課題を抱える県内企業や自治体が共同で、AIを活用した新たなソリューション開発に挑む注目のプロジェクトです。

昨年から取り組んできた第1期採択者の19件の成果発表会があり、驚きのアイデアが続々登場!私たちの暮らしを一歩先へ進める「夢の種」をご紹介します。

「ひろしまAIサンドボックス」成果をお披露目
展示ブースの様子

2月にあった成果発表会では、19件の企業や自治体の課題解決につながる技術が紹介されました。会場には、県内外のAI開発者や県内企業など約300人が訪れ、時代のニーズを反映した最新の技術に、注目が集まっていました。

会場で見つけた!未来の夢の種
小さなロボットの卓上ペーパークラフト

会場に足を踏み入れると、各ブースに最新のデジタルツールがずらり。AI企業約40社が、それぞれ開発したシステムや試作品を展示していました。

見守り介護ロボットや事業承継計画づくりの支援、eスポーツのファンとゲームを一緒に応援するAIデジタルヒューマン…。来場者は、各ブースで実際に開発者と意見交換をし、次期実証や自社のDX推進に役立つヒントを得られる場となりました。

広島をより豊かに
発表を聞くイベント来場者

ピッチ会場では採択者が、開発したソリューションについて発表しました。開発のきっかけや目的、ソリューションを使うことでどのような課題が解消されるのかを発表。どの企業もAIを技術的な側面だけでなく、「広島の未来や人々の暮らしをどう豊かにするか」という視点で語っていました。

多彩なアイデアは、私たちの日常を変え、広島の新しい未来を切り開く力に満ちていました。

「暮らしを変える」注目のプロジェクト

実際にどんなアイデアが発表されたのでしょうか?採択された19件のうち、ユニークなプロジェクトをご紹介します。

AIで職人技術を継承「庭園マスター」
技術継承の動画をスマートフォンで見る

広島の伝統、そして日本の現場が抱える「技術継承」の壁を、AIの力で打ち破る―。有限会社Directors (東京都) と、50年以上の歴史を誇る株式会社寺尾園芸土木 (広島市) がタッグを組み、造園職人向けプラットフォーム「庭園マスター」を開発しました。

これまで「技は見て盗むもの」とされてきた職人の世界。しかし、人手不足や効率化が叫ばれ、技術継承や育成が難しくなっています。AIがその架け橋となり、熟練の技を1分ほどの動画に編集し、若手がスマホでいつでも学べる環境を構築。

さらに生成AIを活用し、庭師や造園技能士などの検定試験対策の問題集を作ったり、多言語展開で外国人労働者の育成を支援したり。現場の職人からも次々とアイデアが飛び出し、伝統とテクノロジーが化学反応を起こしています。

このシステムは造園業界のみならず、他の伝統産業への応用も期待されています。広島の庭園技術から、日本の「ものづくり」の未来が塗り替えられようとしています。

ニーズを調査「AI棚田アナ」
「AI棚田アナ」掲示資料

テレビと視聴者の関係を劇的に変える「AIインタビュアー」。Lighthouse株式会社 (東京都) と株式会社テレビ新広島 (広島市) が開発したのは、人気アナウンサー棚田徹さんをモデルにしたAIアバター、通称「AI棚田アナ」です。

テレビ離れや情報収集コストの増大といった課題に対し、地元局アナウンサーならではの親しみやすさで視聴者の潜在的な「本音」を引き出すことを目的としています。開発では、相づちなどの「会話の自然さ」、システム軽量化による「応答速度」、そして「広島弁の再現度」という技術的ハードルを乗り越え、人間らしいリアルな対話を実現しました。

実際に、棚田アナの表情や声を忠実に再現したAIが24時間体制で対話を行い、「今年一番嬉しかったこと」などのリアルなニーズを収集しました。集まったデータは世代やエリアごとに分析され、視聴者が本当に求めている番組やイベント制作の指針として活用されます。エンタメ性と情報収集を両立させた多様なビジネス展開が期待されています。

AI電話サービス「DELNE」
「DELNE(デルネ)」掲示資料

認知症のご家族から「何度も電話がかかってきて、仕事や生活が止まってしまう」─。そんな介護家族の切実な負担に向き合い、医療法人松栄会監修のもと、株式会社オノゴロが認知症向けAI電話サービス「DELNE (デルネ) 」を開発しました。

AIが24時間365日、介護家族様の声で丁寧に自動応答し、自然に会話します。ご契約時に付与されるDELNE専用電話番号にかけるだけで利用できるため、導入もシンプルです。

応答は医療法人松栄会監修の知見を踏まえ、「感情ケア」を重視。認知症の方の状態に合わせた口調・速度で、やさしく寄り添う対話を行います。通話終了後は、会話内容の要点をメール/SMSで介護家族様へ通知するため、介護家族様のタイミングで確認し、必要に応じて折り返し対応ができます。

その結果、仕事中・会議中・就寝中などの「電話の割り込み」を減らし、介護と仕事 (生活) の両立を支援します。実際に「仕事への集中力が戻った」「介護を理由に退職せずに済んだ」「家族関係に温かさが戻った」といった声も寄せられています。

プロジェクトを支える広島県
村上桂太さん

広島県は、ひろしまAIサンドボックスの広がりを後押ししています。商工労働局イノベーション推進チームの村上桂太さんに展望などを聞きました。

取組の狙いは?

一番は、果敢なチャレンジを大胆に応援することで、「広島でなら新しいことに挑戦できる」というムードを高めていくことにあります。

そのために、たとえ完成に至らなくても、AIソリューションの開発・実証にかかった経費の2分の1を、広島県が支援するという「失敗を恐れない」仕組みを整えました。

集まったアイデアへの手応えはいかがですか。

第1期では266件もの熱意ある提案をいただき、その中から新規性や創造性に富んだ19件を採択しました。緑内障の早期発見や、出店場所を検討するためのAIシステムなど、我々が当初想定していなかったバリエーション豊かなソリューションが次々と誕生しています。

このプロジェクトが描く、これからの広島の姿を教えてください。

実証はあくまでスタートです。ここで生まれたソリューションが、県内企業の価値を高め、皆様の暮らしをガラリと変えていく。そんな未来がすぐそこまで来ています。

現在、第2期の募集も進めており、第1期以上の盛り上がりを期待しています。ぜひ、広島県のさらなる挑戦に注目してください!

※第2期の募集は2026年3月23日までです。

広島から新たな挑戦が始まる
イベントの様子

広島から世界を驚かせるイノベーションを―。そんな熱気にあふれた「ひろしまAIサンドボックス」の成果発表会。今回、266件もの応募から選ばれた19件のプロジェクトは、介護、製造業、事業承継など、どれも現場の課題に寄り添った創造性豊かなものばかりでした。

AIサンドボックスではまだまだ進行中のプロジェクトがたくさんあります。私たちの暮らしがガラリと変わる取組に、目が離せません!

ひろしまAIサンドボックス