東アジア「深層取材ノート」

近藤 大介

近藤 大介
ジャーナリスト・明治大学講師

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2026.3.7(土)

中国全人代で、李強首相の政府活動報告に拍手する習近平国家主席=3月5日、北京の人民大会堂(写真:共同通信社)

 3月5日、年に一度の国会にあたる全国人民代表大会(日本では一般的に「全人代」と訳しているが、ここでは中国式に「人大」と訳す)が8日間の日程で開幕。初日の午前9時過ぎから、恒例となっている李強首相の「政府活動報告」が行われた。

 習近平時代になってから、「人大」は軽視されてきた。おそらく、すべての重要事項は共産党の中央政治局で決めるのだから、人大は「形式的な承認機関」にすぎないという発想なのだろう。

 実際、前任の胡錦濤時代には約2週間行っていた人大を、7日間に半減させた。「政府活動報告」も、胡錦濤時代の約2時間から1時間以内に半減させた。閉幕日の恒例行事だった首相による年に一度の記者会見は、胡錦濤時代の温家宝首相は4時間以上行うこともあったが、記者会見そのものを止めさせてしまった。

「小さな異変」と「大きな驚き」

 私は「中国ウォッチャー」として、過去30年以上にわたって毎年、人大を見てきたが、今年は、「小さな異変」が起こった。まず日程が、7日間→8日間と1日延びた。李強首相の「政府活動報告」も、50分(2024年)→55分(2025年)→1時間7分(2026年)と延びた。「習近平」という単語は、13回俎上(そじょう)に上ったが、やや減った(2024年と2025年はそれぞれ15回)。

 私が「政府活動報告」をインターネットの生中継で見ていて一番驚いたのは、人民大会堂の「万人大会堂」1階席を埋めた代表たち(国会議員に相当し、参加者は2765人)が、しきりに大あくびをしていたことだ。習近平主席が壇上中央に鎮座する重要会議で、しかもCCTV(中国中央広播電視総台)のカメラが四方八方から映しているのに、あちこちで代表たちが、あくびをかましていたのだ。

3月5日に開幕した第14期全人代第4回会議に出席した全人代代表たち=北京・人民大会堂(写真:新華社/共同通信イメージズ)

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 日本の国会でも「居眠り議員」が絶えないので隣国のことを言えたものではないが、これまでは見られなかった。少なからぬ代表たちが、緊張感なく李首相の報告を聞いていたのではないか。俗な言い方をすれば、「場がシラケていた」のである。

 そんなことを前提に、以下、李強首相の発言から気になったものをピックアップし、短評を加えていく。