
米ワシントンのホワイトハウスで行われた名誉勲章授与式で、ヘグセス国防長官の横を通り過ぎるトランプ大統領。2日撮影。REUTERS/Ken Cedeno
[ワシントン 2日 ロイター] – トランプ米大統領は、対イラン軍事作戦が11月の米中間選挙への政治的リスクとなる可能性を側近から非公式に警告されていたにもかかわらず、攻撃を決断した。ホワイトハウス高官2人や共和党員が明らかにした。
米国とイスラエルは28日、イランに対する大規模な攻撃を実施。トランプ大統領は、イランの最高指導者ハメネイ師が死亡したと発表した。
ホワイトハウス高官によると、トランプ大統領は攻撃に先立ち、軍事行動によって国内でどのように自身の力を明示できるかについて繰り返し説明を求めていた。側近らは、攻撃開始後のエスカレーションを回避できるという明確な保証を米情報機関が提供しておらず、予測不可能な政治的リスクを生むリスクがあると警告した。
最終的には、トランプ氏はたとえ長期的なリスクを伴っても、断固たる行動が「強い指導者」としての姿を示すと考える向きに賛同したという。
ホワイトハウスのレビット報道官は声明で「トランプ大統領による『猛烈な怒り』作戦開始の決定は、両党の大統領が50年超にわたり検討してきたものだが、誰も実行する勇気がなかった」と述べた。
当局者らは、イラン攻撃によって、直ちに政治的影響が出るとは想定していない。むしろ、紛争の期間や報復の範囲、米国人の犠牲者数、ガソリン価格の動きなどによって「じわじわと影響が及ぶ」とみられている。
<外交政策と国内経済政策>
ホワイトハウス高官の一角は、有権者が海外の紛争よりも生活費を懸念している時期に、こうした外交政策における「賭け」が、議会で共和党の多数派維持を阻害するのではないかと懸念している。
ホワイトハウス当局者やトランプ氏の側近らは、中間選挙を視野に「アフォーダビリティー(価格の手ごろさ)」や医療保険といった、国民の主要な関心事項に焦点を当てるようアドバイスしてきており、イラク攻撃前には、トランプ大統領が2月24日に行った一般教書演説でそうした取り組みが垣間見られた。
共和党のストラテジスト、ロブ・ゴッドフリー氏は「アフォーダビリティーや経済問題など有権者が関心を持つに焦点を当てて成功した一般教書演説と、その数日後の中東での戦争突入という状況は、めまいがするような対比だ」と指摘。「中間選挙の有権者にこの対比を納得してもらうことは、ホワイトハウスが今後数週間で取り組むべき最も重要なことの一つとなるだろう」と述べた。
1日公表のロイター/イプソス調査によると、イランへの大規模攻撃について「支持しない」と回答した米国民は調査対象全体の43%に達した。調査は、米軍兵士の犠牲者が発表される前に実施された。
<下院選により影響か>
関係筋によると、共和党が僅差で多数派を占める下院の激しい選挙区の方が、上院の選挙区よりもイラン攻撃の影響によるリスクがはるかに大きいと考えられている。
大統領補佐官らは、イランでの軍事介入の長期化、死傷者の増加、燃料費の高騰が、中間選挙の激戦州・区でいかに有権者の支持を損なう可能性があるかをモデル化している。これらモデルは、有権者のわずかな懐疑心さえも決定的な影響を及ぼす可能性や、共和党議員が厳しい質問に迫られるような激戦区が数十あることを示しているという。
共和党の議会多数派維持に尽力する幹部は、トランプ大統領にとって海外での介入はメリットよりも政治的リスクの方が大きいと指摘。ただ、外交政策の泥沼化は有権者のセンチメントを悪化させる一方、勝利が有権者に響きにくいことを指摘し、イランでの「作戦が失敗しない限り、とりわけ中間選挙では、有権者は外交政策に関心を示さないだろう」という認識を示した。
また、アナリストらは、イランが核開発計画を放棄し新たな指導者を据える結果を生む短期的な戦争であれば、好意的に受け止められるだろうと述べた。
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