再び侍ジャパンの一員としてWBCに挑む吉田正尚(32歳)。MLBボストン・レッドソックスでの3年間を取材したジャーナリストが大一番への覚悟に迫った〈全2回〉

 一見淡々としているように見える吉田正尚だが、実は驚くほどの熱さも持ち合わせているのが垣間見えることがある。昨秋、レッドソックスの一員として臨んだ初めてのMLBプレーオフでもそう。ヤンキースとのワイルドカードシリーズ第2戦で内野安打を打った際、接戦の中で勝利を手繰り寄せようと一塁にヘッドスライディングした姿を覚えているファンは少なくないはずだ。日常は温和で優しいが、仕事においては責任感が強く、逆境に負けない強い芯を持っているとされる福井県人。第6回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)に臨む侍ジャパンへの吉田の想いももちろん本物である。

井端ジャパンの“ラストサムライ”

 2月下旬、レッドソックスのキャンプ地であるフロリダ州フォートマイヤーズを訪ねた際、「こうやって出場できることになったので、それをご縁に感じて日の丸を背負ってプレーしたい」と目を輝かせて語っていた32歳の姿が印象的だった。

 保険問題などで出場発表が遅れたのはご存知の通り。吉田自身も「自分自身も(2月)26日に発表って聞いていたのに、ちょっとストップがかかって、危ないのかなと思った」こともあったのだという。それでも最終的には“最後の一人”として発表され、晴れて“ラストサムライ”となった。侍ジャパンへの出場を熱望する気持ちが途切れなかった背後には、昨季レッドソックスで55試合の出場、4本塁打に終わった後でも出場を熱望してくれた指揮官への想いがある。

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「井端(弘和)監督とも話はしてきました。(自分を含む)メジャーリーガーには最初からかなり声をかけてくれていたんです。監督とは東京オリンピックでもコーチと選手という間柄でしたし、今回のWBCにむけても去年のキャンプからもう足を運んでくれて、コミュニケーションを取ってきました。そういう中でいい関係を築きながら、侍ジャパンでも一緒に戦えるんじゃないかと思っています」

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