千葉工業大学は2026年2月28日、米司法省が公開した資料に含まれていたとされる伊藤 穰一学長とジェフリー・エプスタイン氏のEメールをめぐり、エプスタイン文書が公開された後の同氏との関連や憶測に基づく一部報道やSNS情報で学内外に心配をかけたとして謝意を示したうえで、理事会がバックグラウンドチェックを実施しており問題はないという趣旨のリリースを出しました。
同リリースは、MITが委託したGoodwin Procter法律事務所の第三者報告書(2020年1月10日付)がMIT Newsで公開されていることを根拠に、MITでの寄付集めを含む活動はMITの許可・監督下で行われており、問題はないと結論づけています。
また、学長本人に事実確認し、本人は違法または不正な行為を認識しておらず関与もしていないことを再確認した、としています。
背景として、米司法省はEpstein Files Transparency Actに基づき、約350万ページ規模の資料公開に言及しています。
しかし、このプレスリリースは、現代の組織に求められる危機管理広報やコーポレート・ガバナンスの観点から見て、極めて不適切と言わざるを得ません。
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第三者委員会の必要性
今回のリリースにおける最大の問題は、調査のプロセスです。大学側は「本学理事会が精査した」「本人に事実確認を行った」ことを問題なしとする根拠にしています。
しかし、理事会は伊藤氏を学長として選任した当事者であり、自らの任命責任を否定するような判断を下しにくい「利益相反」の状態にあります。今回新たに米国司法省から公開されたのは、1万通以上に及ぶ膨大なメール記録や、日本国内での活動支援に関する一次資料です。
教育機関のトップとしての適格性を判断するには、大学の利害関係から完全に独立した外部の弁護士や有識者で構成される「第三者委員会」を設置し、客観的かつ厳格な再調査を行うことが不可欠です。
そのプロセスを踏まず、身内による」の聞き取り調査のみで早々に「信頼は変わらない」と宣言することは、組織としての自浄作用を放棄していると見なされます。
声明文では、2020年にマサチューセッツ工科大学(MIT)が公開した第三者報告書を引用し、「寄付集めはMITの許可・監督の下で行われていたため、何の問題もない」と結論づけています。
しかし、MITが公開した報告書の実際の結論は、伊藤氏がエプスタインを「不適格な寄付者」と認識しながら、寄付を匿名化することで大学の通常の審査プロセスを意図的に回避・隠蔽していたことを厳しく指摘するものでした。過去の不都合な事実を自らに都合よく解釈し、正当化の道具として利用する姿勢である事が分かります。
また、リリースでは、「本人が違法または不正な行為の存在を認識したことはなく(中略)一切関与していない」と強調しています。
確かに法的な罪に問われていないことは事実かもしれませんが、大学の学長(教育者・研究者のトップ)に求められるのは、単に「逮捕されるような法律違反をしていないか」という最低限の遵法精神だけではありません。児童買春等で有罪判決を受けた性犯罪者と長年にわたり極めて密接な交友関係を持ち、便宜を図っていたという「倫理的・道義的な問題」が問われているのです。「違法でなければ教育機関のトップとして適格である」という主張は、学生や社会の常識と大きく乖離しています。
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投稿者:三村
セキュリティ対策Labのダークウェブの調査からセキュリティニュース、セキュリティ対策の執筆まで対応しています。
セキュリティ製品を販売する上場企業でSOC(セキュリティオペレーションセンター)やWebサイトやアプリの脆弱性診断 営業8年、その後一念発起しシステムエンジニアに転職。MDMや人事系のSaaS開発を行う。
